LED素子を使った照明のDIY~自動点滅器の交換

下記の前回記事で紹介したように、自治会館の蛍光灯器具をLEDに改造しました。

LED素子を使った照明のDIY~玄関照明をLED化改造
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ところが数日後、昼間に点滅しているとの知らせがありました。設置工事を夜に行い点灯状況を確認していたのですが、昼間の点灯は予想外でした。

【警告】電力線を扱う電気工事には、電気工事士の資格が法律上必要です。

不具合状況と対策方針

数秒に一回瞬間的に点灯

照明が「パカパカしているよ」と言うことで実際に現場で観察すると、通常は消えているのですが、数秒に一回瞬間的に点灯します。

原因推定

常夜点灯のため自動点滅器でオンオフしているので、そこいらの問題ですね。

自動点滅器で完全に回路がオフになっていればこんな症状は出ないはずで、おそらく少し漏れ電流があって、照明器具のLEDドライバーがその電荷を溜め込んでLEDを駆動するも、点灯で電荷がすぐなくなるので一瞬だけの点灯に終わると推定されます。

漏れ電流は自動点滅器が故障しているか、あるいはこの自動点滅器の特性なのでしょう。後者であれば、LEDドライバーと相性が悪いということになります。

自動点滅器を交換して対策する

器具側で対策できないこともないが、自動点滅器は10年以上経過しており、寿命の可能性が高いと見て交換することにしました。

自動点滅器の購入

自動点滅器は各社から発売されていますが、代表的な商品がPnasonicのEEスイッチ EE8113KPです。(ちなみにEEとはElectoric Eyeの略)

  • JIS形式:131P
  • 負荷容量:AC100V 3A
  • 消費電流(定格電圧・1000 lx):7mA以下
  • 標準点灯照度:20~80 lx(定格電圧、周囲温度20度において)
  • 標準消灯照度:点灯照度の5倍以下(定格電圧、周囲20度において)
  • 使用可能周囲温度範囲:-10~+40度
  • 開閉性能:3000回(定格電圧、周囲温度20度、開閉頻度6回/時間にて)

右のようにアマゾンでも売っていますが、てっとり早く近所のホームセンターで購入しました。1,058円でした。

交換作業

現状の自動点滅器を取り外し

現状の自動点滅器は下のように取り付けられており、照明器具から直接光が入らないようない位置になっています。

現状の自動点滅器

結線を外す

接続の様子

結線部を覆っているビニールテープを剥がし、VAケーブルの芯線を切って結線を外します。黒の線は電気が来ている活線(Line)ですので感電しないよう、また他とショートしないよう注意が必要です。

元の結線の仕方は、右のように、VAケーブルの芯線(1.6φの単線)に点滅器側の撚り線を巻きつけて単線側を折り曲げてありました。あまり感心できない方法です。

点滅器を外す

取り付け金具で壁にネジ止めされているので、ネジを緩めて外します。

新しい自動点滅器を取り付けて結線

取り付け

取り付ける点滅器を横から見たところ

こちらにも右のように取り付け金具がついています。元ついていた同じ壁の穴を使ってネジ止めします。

結線

壁から来ている3本の線(黒、白、赤)と点滅器の3本の線を同じ色同士でつなぐだけです。

AC電源ラインの結線は差込形コネクタ(クイックロック、下の左側)で行うのが手軽で一般的なのですが、今回は点滅器のリード線が撚り線であるため使えません。それで絶縁被覆付閉端接続子(圧着スリーブ、下の右側)を使います。

  

接続のため線の被覆を向く

この圧着スリーブのサイズに合わせて単線の先を12mmの長さで皮を剥きます。右写真で左側の赤線です。

撚り線は最初から黒線のように長く剥いてあるのですが、半分で折返すとちょうど赤線のように12mmぐらいになりました。

撚り線と単線を両方をスリーブに差し込んで圧着ペンチで圧着すれば結線完了です。

下は3本とも結線完了した様子です。

絶縁被覆付き圧着スリーブによる結線が完了した

点灯確認

繋いだ瞬間点灯し、その後2分ほどで消えました。これは説明書にあるとおりの動作です。
そして、もう昼間の点滅症状はなく、正常になりました。
あと、黒い帽子で光が入らないよう覆い、2分ほどで点灯するのを確認しました。

線処理

あとは見栄えをどうするかですが、いい案を思いつかず、下のようにビニールテープでまとめておきました。先代よりましというところでしょうか。

線処理の様子

点滅器の解析

工事は終わりましたが、どうして点滅が起こったのか、点滅器の仕組みはどうなっているのか少し調べて見ることにしました。

自動点滅器の方式

街灯などを夜間に自動点灯させるスイッチは、JISでは光電式自動点滅器と呼称され、商品では自動点滅器EEスイッチフォトスイッチなどとメーカーにより違います。バイメタル(サーマルリレー)式電子式の2種類の方式があります。

元の自動点滅器は電子方式

下は取り外した自動点滅器です。光電式自動点滅器(電子式)と表示があります。

取り外した自動点滅器

中身を見たいのですが、どうしても蓋が開かない。どうせ廃棄するものなのでケースを壊して開けました。案の定、接着剤も使ったはめ殺しという’気に食わん’構造だった。

内部には下の基板が入っていた。

取り出した回路基板

光電素子はCDSではない光センサーがついています。他にIC、FET、フォトカプラ、トライアック等があり結構複雑な回路になっている。トライアックはACラインのスイッチ素子です。

光センサーで外部光を増幅検出し、一定レベル以上になったらトライアックでオフする仕組みです。

このトライアックに少しリーク電流があるのが、今回の症状の原因のようです。半導体なので劣化したというより新品の時からと思われます。

蛍光灯では問題なく、LEDドライバーで問題になるのは相性が悪いというか、商品開発当時はLEDドライバーのようなものが負荷になるとは想定していなかったでしょう。

購入した自動点滅器はバイメタル(サーマルリレー)方式

一方PanasonicのEEスイッチはネジを外すと簡単に蓋が開きました。

こちらは下のように回路基板がなく、部品点数が少ないです。

Panasonic EEスイッチの内部

この右方向からリレーの接点部を見たところが、下の写真です。

奥にリレー接点が見える

回路図

この回路は下のようになっています。

自動点滅器回路(バイメタル式)

動作説明
  1. 暗いとリレー接点は閉じていてスイッチとしてオン状態です
  2. CDSに光が当たるとその抵抗値が下がる
  3. その為電流が増加し、ヒーター抵抗が熱を発する
  4. その熱がバイメタルに伝わり、バイメタルが湾曲し、付いている棒が可動片を押す
  5. 可動片が押されてリレーの接点が開き、スイッチオフになる

簡単な構成で実によくできていますね。

電子式とバイメタル式の特徴比較

電子式
  • 機械接点がないので寿命が長い
  • 感度を高くできる(点灯照度5~20 lx)
    十分暗くなってから点灯するようにできる
  • 省エネが可能
    常時、回路が電力を消費しますが、その電力は小さくできます。
  • 電子回路の部品点数が多い
    価格が高くなる。雷にも弱く、故障確率的に不利。
バイメタル式
  • 寿命がやや短い
    リレーという機械的接点を使っているため寿命がやや短い。寿命が仕様にある3,000回とすれば、一日一回オンオフして8年強もつということになります。日本製ですから実力はもっとあると思いますが。
  • やや感度が悪い (点灯照度10~80 lx)
    バラツキによってはまだ少し明るいのに点灯を始めることがある。
  • やや消費電力がある
    消灯中(昼間)にヒーター抵抗とCDSに電流が流れ、電力を消費します。仕様に消費電流7mA以下とあり、これは電力で言うと0.7W以下ですので、一日15時間0.7W消費するとして計算しても月8円程度ですが。
    (0.7W×15h×30日×0.024円=7.56円)
  • 構造が簡単
    価格が安く作れ、故障確率で有利

現在市場で電子式は値段が高い(バイメタル式の2~3倍)ためかあまり見かけませんが、高感度省エネであることを考慮すれば蛍光灯ならそのコストを回収できるのではないでしょうか。

ただ、今回のようなLEDドライバーを使う場合、相性が悪いと使えません。

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