LED素子を使った照明のDIY~アマゾンで部品を選ぶ

アマゾンで購入したLED照明用の部品

常夜点灯している玄関灯の蛍光ランプが切れたのを機に、この器具をLED照明に改造することを思い立ちました。アマゾンで中国製のLEDチップやLEDドライブ用電源が超格安で売られていますが、説明が不十分でどう使えばいいのか非常にわかりにくい。そこで少し調査して整理してみました。

わかりにくい要因

理解を難しくしているのは次の2つの要因があります。

記載の電気的なスペックの意味が曖昧

販売ページに記載されているわずかの情報だけだとそのスペック値の前提条件がわからない。販売商品の品番が明記されておらず、別途その詳細スペックを調査することもできないので、どういう意味でのスペックなのかを類推判断するしかないのです。

例えば同じ10Wとかあっても消費電力であったり、熱損失であったりその意味するところ、前提条件が明示されていません。一般的には

  • 部品は最大負荷電力を表す事が多い
    例えば規定環境(周囲環境20℃で理想的な放熱板に取り付けた状態)における部品が壊れないことを保証できる最大値
  • 製品もしくはユニットは一般的環境に於ける実用値を表すことが多い
    例えば0℃~40℃の雰囲気中において実際的な放熱板に取り付けた場合の実用値
LEDが電流ドライブ型の素子であること

もう一つの理解されにくい理由はLED素子の特性にあります。LEDは所定の電圧をかけるのではなく所定の電流を流すように使う必要があります。詳しくは次項以下で述べます。

LEDとは

まず、LEDに関する知識を簡単にまとめておきます。

LEDは発光ダイオード

発光原理

LED(Light Emission Diode)はダイオード特性(一方向にだけ電流が流れる)をもつ半導体の一種で、順方向に電流を流すと発光するものです。発光原理をやさしく説明するのは難しく、かくいう私だって正確には理解していません。(電子回路は得意だったが半導体物理は苦手でした)

発光効率

近年LEDが照明の主役になってきたのは発光効率(消費電力のうち何パーセントが光になるか)が70-90%と高いからです。これは大まかに言って白熱電球の10倍、蛍光灯の2倍です。

光にならなかった電力エネルギーは熱になります、白熱電球は熱いのにLED電球はそれほど熱くならないわけです。

LEDで白色照明を実現する原理

LED自体は赤、緑、青など特定の単色で発光し、白色ではありません。開発当初は難しかった青色LEDが実用化されてLEDで白色照明ができるようになりました。2つのタイプがあります。

3原色LEDタイプ

光の3原色である赤、緑、青のLEDで白色光を作る方法です。色再現性に優れますが、構成が複雑になりコストが高くなります。

青色LED+黄色蛍光体

青の光によって周辺の黄色の蛍光体を励起し、両者の混合により白色光を作るものです。アマゾンで売っている黄色のチップLEDはこのタイプです。

安価ですが、色再現性に劣ることが多いので写真撮影などで色再現が必要な時には注意が必要です。

また蛍光体は紫外線により劣化し易いので、屋外で使用する器具では対策が必要です。

LEDの電圧電流特性

LEDの動作電圧は非常に微妙で僅かな電圧の変化で電流が大きく変化します。しかも個体によるバラツキや温度ドリフトがあるため、白熱電球のように「何ボルトで発光させる」ということは不適切になります。

LEDの発光量は電圧にではなく電流に比例しますので、安定して所定の発光量を得るには動作電流を制御して電源供給する必要があるのです。以下詳しく述べます。

LEDの使い方

LEDは電流で駆動する

電圧源でそのままドライブはNG

LEDの電圧-電流特性は、少しの電圧変化で大きく電流が変化し、その電圧もバラつきと温度特性があります。そのため電圧源でそのままLEDをドライブすると固体バラツキにより暗かったり、逆に電流が流れ過ぎ、更に発熱により電流が増加する熱暴走が発生し、ついにLED素子が破壊に至ることがあります。

直列に抵抗を入れて電流を制限するのは簡易法

その対策として回路に直列に抵抗を入れて電流を制限する方法がありますが、せっかく発光効率が良いLEDを使っているのに、制限抵抗が消費する電力が無駄になります。

LED駆動の理想は定電流ドライバー

所定輝度を安定して得るには、特定の電圧を供給するのではなく、所定の動作電流になるように電源供給するのが理想です。定電流ドライバーです。電圧はLEDの特性により結果的に決まります。

LED駆動用定電流ドライバー

AC入力のLED駆動用のドライバーが販売されています。

一例を上げると右の商品の場合、スペックが

  • 8-12×1W
  • I/P:85V-265V 50-60HZ
  • O/P:20-40v 300mA

と記載されています。

これを読み解くと

  • 8~12WのLED1個用
  • 入力はAC85~265V、50~60Hzの範囲であること
  • 出力電流は300mA。ただし動作時の電圧が20~40Vの負荷(LED)を使った場合

という意味になります。

無負荷時に高い電圧が発生するのは正常

通常の電源は一定の電圧を供給する定電圧電源であり、定電流電源はなじみが薄く理解されにくいですね。そのため、例えばLEDドライバーの購入者の

「出力電圧を測ってみたら、スペックより大幅に高い不良品だった」(アマゾンでの評価)

というような書き込みが見受けられます。おそらく無負荷で測っているためと思われます。

無負荷の場合電流ゼロですが、ドライバー(定電流電源)はそれでも電流を流そうと能力一杯の電圧を発生します。そのため動作スペックの1.5倍とかの高い電圧になるのは正常なのです。

ドライバー販売ページに電流スペックの記載がないことがある

販売ページを作る人も知識がないのでしょうか、LEDドライバーの電流は最重要スペックなのに販売ページに記載がないことがあります。そういう場合でも現物写真を拡大しでみると書いてあります。

アマゾンで販売されているチップLEDとドライバー電源

アマゾンに格安でチップLEDと販売されていて、その駆動ドライバーも販売されているのですが、自分の目的のためにどれを使ったらいいのかわかりにくいです。

必要な光量を得るためのLED照明は何ワット?

およその目安ですが、LEDを10Wで駆動すれば、蛍光灯なら2倍の20W、白熱球なら10倍の100Wに相当する光量(科学的には光束と呼ばれる発光の総量、単位はルーメン)が得られます。

更に同じ光量でも、一般にLEDは指向特性がある分だけ正面方向が明るくなります。

以下、アマゾンで販売されているLED素子とドライバーの幾つかを一覧表にしてみました。

LEDチップ、ユニット

画像 ブランド 色温度 最大定格
電力
光量 電圧 電流 価格 備考
°K W lm V mA
1   SODIAL 6000-6500 10 1100 9-12 1,050 20 1,164
2   SODIAL 6500 10 750 32-34 350 5 351  電圧違いが交じるとの情報あり
3 SODIAL 3200 10 800 9-12 1,050 5 321
4   SODIAL 6500 30 2200 32-34 1,050 1 223
5   SODIAL 6500 50 3800 32-34 1,500 1 224
6   SODIAL 6500 100 7500 32-34 3,000 1 476
7   E-auto Fun 6500 *1
6
12 500 2 449 バー型ユニットタイプ
8    SODIAL  3000-
3500
 3  230-240  3.0-
4.0
 700  10  282 放熱板付き
9   海渡電子 6000-6500 3 250-280 3.0-3.2 700 5 850 放熱板付き
  • ブランド名をクリックするとアマゾンのページに飛びます
  • 価格は2018年2月10日時点、送料は加味せず。
  • *1:これは実用電力値と思われる

表中の電力は7番以外は部品としての最大定格であり、然るべき放熱対策をしての上でも実用的には半分程度の電力で使用しないと破壊する恐れがあると思います。

AC入力LEDドライバー

LEDを駆動するドライバー(AC電源入力の定電流電源)も下記に例のようにアマゾンで安く売っています。

画像 ブランド 電力 AC入力電圧 DC出力電圧 出力電流 価格  備考
W V V mA
1 SODIAL 8-12 85-265 20-50 300 1 238
2 SODIAL 20 100-265 25-42 600 1 442
3 SODIAL 18-36 85-277 50-120 300 1 486
4   SODIAL 5.4 85-265 9 600 1 234 LEDとペア販売
5 SODIAL 1-3 85-260 3-14 250 1 194
 6    SODIAL  50  90-240  30-36  1500 1 671  防水
 7   HiLetgo  4-7  85-265  (16-24)  280-300
240-260
5  750
 8  HiLetgo  3  85-265  3-12  280-300  5  650  1WLED×3個用

Hommy

30 85-265 24-38 900 1 292 10W 3個
または
30W 1個
  • ブランド名をクリックするとアマゾンのページに飛びます
  • 価格は2018年2月10日時点(送料は加味せず)

組み合わせ例

LEDにどのドライバーを組み合わせるか。

右商品(=上記ドライバーの4)のようにLEDとペアで売られているものもありますが、一般には自分で組み合わせを考えなければなりません。

上記の表の中から組み合わせてみた例を以下に記します。

1.バーライトLEDを2個使用の7.2W照明

使用部品
  • LED7 12V、6W(実用電力と思われる)バー型(細長い平板)の形状
  • 電源1 300mA 20-50V
動作仕様
  • 動作電流は300mA
  • 12VのLED2個直列接続で24V
  • 消費電力は7.2W

最大6WのLED素子を3.6Wで使うので余裕のある使い方です。

600mAのドライバーを使えば2倍のパワーになりますが、放熱対策をきちんとすれば大丈夫かどうかというところ。理想的には500mAぐらいで使いたいが、適当なドライバーが無い。

2.チップLED3個使用の19W照明

使用部品
  • LED1:10W 10.5V(9-12V )
  • 電源2: 600mA 25-42V
動作仕様
  • 供給電流は600mA
  • LED3個直列接続で31.5V(27-36V)
  • 消費電力は18.9(16.2-21.6W)

最大定格10WのLEDを6W程度で使うので妥当な使い方です。

3.チップLED一個使用の20W照明

使用部品
  • LED4: 30W 32-34V
  • 電源2:600mA 25-42V
動作仕様
  • 動作電流は600mA
  • LEDの順方向電圧Vfは33V(32-34V)
  • 消費電力は33×.6=19.8W(19.2-20.4W)

最大定格30WのLEDを20Wで使うので妥当な使い方です

4.チップLED一個使用の50W照明

使用部品
  • LED6 100W 32-34V
    もしくはLED5 50W 32-34V
  • 電源6 1500mA 30-35V
動作仕様
  • 供給電流は1500mA
  • LEDの動作電圧は33V(32-34V)
  • 消費電力は49.5W(48-51W)

LED6を使うのが妥当です。LED5だと最大電力で使いますので無理があり、放熱を完璧にする必要があります。

複数組み合わせる場合

LED素子を複数接続して使用する場合直列接続にします。並列接続にすると各素子の特性バラツキで流れる電流に偏りが発生するからです。

どうしても並列接続したい場合は、特性の揃ったLED素子を選ばなければなりません。

LEDの取り付け法

LEDは効率が良いといえど大パワーのものは非常に高温になるので放熱対策が必要です。

放熱が必要なLEDの背面はアルミ板になっていますのでこれを放熱板に固定します。

放熱板

放熱板はアルミ板や銅板が一般的です。

長いものなら右のような、アルミチャンネルと呼ばれる断面がコの字型のものが安くて加工が簡単で使いやすいです。

接着

チップを放熱板に固定する手段は次の2種類あります。いずれも専用の熱伝導性の良いものを使います。下記に例をあげます。

接着剤

放熱用シリコングリースと同じくニベアのようなクリーム状です。

  • 使用温度:-60℃~250℃
  • 硬化時間の目安:12時間
  • 内容量:5g
  • 色:白色
両面テープ

手軽に固定できる専用の両面テープです。

  • 長期耐熱温度: 120 ℃
  • 短期的な熱抵抗温度:180 ℃
  • 熱伝導率: 1.3 W / m-k
  • 初期接着力: 1.3 kg /インチ
  • 耐圧: 4kv
  • 厚さ: 0.25 mm
  • 寸法: 20 mm x 25 m (幅×長さ)

購入と制作

上記検討結果に基づき、当初の写真の部品をアマゾンで購入しました。

そして上記「1.バーライトLEDを2個使用の7.2W照明」を既存蛍光灯照明を改造する形で製作しました。詳細は下記記事で紹介します。

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