常夜点灯で使っている蛍光灯照明をLEDに改造しようとしています。前回の下記記事ではアマゾンで格安で売っているLEDチップやLEDドライバーを調査・検討しましたが、今回は実際に部品を購入して、改造を行います。
目次
現状品の取り外しと内部検分
玄関の壁から取り外し
シェードを外す
シェードを外すために、まず器具の下にある手ネジを緩めます。ところがネジが馬鹿になっていてしっかり止まっていませんでした。
入力のACコード線を端子台から抜く
壁から器具内にVAケーブルが引き込まれ、端子台に接続されています。端子台は差し込み式でドライバーでロックを押すとケーブルが抜けました。絶縁のため先の裸銅線にビニールテープを巻いておきます。
器具を壁から外して持ち帰る
本体を壁に固定している2本の木ネジを緩めると本体が壁から外れました。壁側を見ると樹脂製アンカープラグが使われていました。
こうして外して持ち帰った照明器具が下の写真です。シェード木部の下部が雨で表面塗料が劣化して汚れています。
器具の中を調べる
器具の中を見ると鋼製底板に部品がついてシェードでカバーする構造です。
光源はツインタイプの13W蛍光灯です。他に安定器(トランス)、グロー球、端子台があります。
表示ラベルには
- メーカー:koizumi
- 品番:AUG345036
- 2007年製
となっており、製造から10年経っていますね。
下部にシェードを止めるためM3のネジが切ってあるのですが、薄い鉄板なのでバカになったのでしょう。本来ピッチがもう少し粗いM4にするか、出っ張り加工をしてネジを切るべきところでしょう。
裏は5mmぐらいの厚さの黒いスポンジが貼ってあるのですが、経年劣化して黒い汚れがいっぱい手につきます。
改造構想と部品入手
バー型LED照明2個を使う
前記事で紹介しましたが、右のバー型LEDが
- 長さが丁度収まる
- 2本組で蛍光灯に近い面発光
と用途にぴったりで価格は449円です。これに決め発注しました。アマゾン自体の販売で日本発送ですので直ぐ届きました。
下が届いた現物の本体部です。
付属の両面テープが厚い
周辺が黒い金具でおおわれ、裏面を見ると、下のように内部アルミ板より周囲枠金具が出ています。そのままでは放熱板にくっつけても放熱板との隙間ができてしまいます。
両面テープが付属していますが、この対策なのか、かなり厚みがあります。あるいはこのバー型LEDは車に取り付けることを想定しているらしく、多少の凸凹があっても吸収して取り付けできるように考慮しているのかもしれない。
いずれにしても、この厚みでは熱伝導率が相当悪くなると思われます。
枠を外して使う
爪を上げると簡単に枠が外れ、表はセラミック板、裏はアルミ板です。アルミ板を直接放熱板に接着すれば隙間なく理想的ですので枠なしで直付けすることにします
サーマル接着剤
私の場合熱伝導性を優先したいので、テープより熱伝導性の良い接着剤で固定することにし、右のものを購入しました。アマゾンで価格は350円、送料160でした。
LED駆動用300mA定電流ドライバー
電源ドライバーも前記事で紹介した組み合わせのLED駆動用のドライバーを選択しました。
- 8~12WのLED1個用
- 入力はAC85~265V、50~60Hzの範囲であること
- 出力電流は300mA。ただし動作時の電圧が20~40Vの負荷(LED)を使った場合
価格は送料込み234円!中国発送で時間がかかりましたが無事届きました。
中国製はハンダ付けの品質の悪いことが多いとの噂ですので、蓋を開けて確認することにしました。
蓋を開けてみると、なんとプリント基板の固定がされておらず、入出力のリード線にぶら下がっているだけです。(右写真)
これでは振動の加わる用途では問題になるでしょう。
基板を取り出して下のように表裏を見ましたが、ハンダ付けは問題ありませんでした。
アルミチャンネル
放熱と高さ調整を兼ねてコの字型アルミチャンネルを使います。
寸法20✕20mm、板厚2mm、長さ1mのものをモノタロウで購入しました。
L字金具は幅20mm、厚さ2mmのアルミバーから作成します。
ヒューズ
蛍光灯と違いLEDドライバーという電子回路が入るので、安全のためヒューズを追加します。
車の追加電装でよく使われるガラス管ヒューズのケースが手元にあったので利用します。
改造工作
蛍光灯関係の部品の取り外し
蛍光灯のソケット固定金具、トランス(安定器)、グロー球、接続端子台を全て取り外し、汚れを清掃しました。
配置検討
購入した部品を右のように置いて見て配置を検討しました。
右のもの以外に端子台とヒューズがありますが、問題なく納まりそうです。
うまく配置すればリード線も延長無しで接続できそうです。
シャーシー金具とL字金具の作成
シャーシー金具の作成
放熱と取り付けを兼ねたシャーシーをアルミチャンネルを加工して作ります。バーLEDが余裕を持って取り付けられる長さにします。
回転で左右に向きが変えられるように、上下の端は直角に折り曲げて中央にネジを切り、上下のL字金具を通したビスで固定します。
必要な2個を作りました。右写真の手前ができたシャーシー金具の単体です。
L字支持金具の作成
L字金具は別のアルミ板から作りました。底板に当たる面は固定のためのネジを切ります。
- 厚さ2mm、20mm幅のアルミバーを万力に挟んで直角に曲げる
- チャンネルを止める方に4.2φの穴を開け、板に固定する方はM4のネジを切る
これは4個作りました。前掲写真に、できたL字金具と、シャーシーと組んだ状態も示しました。
底板の加工と部品の取り付け
底板のL字金具、接続端子台を固定する位置に4.2φの穴を開け、裏からM4のビスで固定します。
LEDドライバーはケースにある固定用つばの切欠き穴が小さいので、内側から2mmのセルフタッピングネジで止めます。そのため底板に1.7φの下孔を開けました。ネジの裏面に出た分はスポンジの厚さに収まるようカットしました。
通電試験とドライブ電流の検討
バーLEDを取り付けて仮配線
L字金具にシャーシーを取り付け、バーLEDは不良だと困るので枠をつけたまま、両端を両面テープでシャーシーに仮止めします。
入力端子台とLEDドライバー間の配線をします。ヒューズは右のように1Aを入れておきました。
LEDへの配線は測定のための電圧計や電流計も繋いで仮に結線します。2個のバーLEDは直列接続です。
通電確認
仮配線ができたら、いよいよ通電試験です。端子台にAC100Vの電源線を接続し通電すると下のように無事点灯しました。
この時の電流は280mA、電圧は2個で23.0V、電力は2個で約6.4Wとほぼ予定どおりでした。
バーLEDはシャーシーが浮いているにもかかわらず発熱は緩やかです。LEDドライバーもほとんど熱を感じません。
カメラの絞りを絞って見ると下のようにたくさんの小さいLEDが並んでいるのがわかります。
バーLEDの接着
上記点検の結果、バーLEDは内部のLED全てが点灯しており正常を確認できたので、この段階でシャーシーに接着します。
将来の補修のことを考え、両端と中央の3箇所にのみ接着剤を付け。残りの場所は通常のシリコングリースを塗りました。説明書では硬化時間は12時間ですが、24時間放置しました。
600mAドライバーで駆動してみた
シャーシーに接着して放熱効果が上がり、これなら600mAで駆動しても大丈夫だと思ったので、一緒に買った右の600mAのドライバー(442円)での駆動を試してみました。
結果、すごく明るい! 熱的にはこれでも十分行けそうです。
この時、電流:600mA、電圧:24.6Vでしたので電力は14.8Wとなり、従来の蛍光灯の13Wより少し消費電力が増えます。
この600mA駆動で使うか迷いましたが、LED照明に改造する第一の目的は省エネだったので結局不採用としました。
300mAドライバーの改造
300mA駆動だと消費電力は前記のように6.4Wでした。LEDの発光効率が蛍光灯の2倍だとすると、その光量は13Wの蛍光灯と同等かやや暗めと推定されます。
これは少し物足りなく、もう少し輝度アップしたいと思いました。今の駆動状況は
- LEDの入力電力はまだ余裕
- LEDドライバーの出力電流は300mA固定
なので、LEDドライバーの出力を400mAぐらいに増やしてして10W弱で使いたい。その為LEDドライバーの改造を検討することにしました。
ドライバーの制御ICの動作解析
基板を見ると使われている制御ICはBP3125という品番で、ネットでメーカーのデータシート(中国語)を参照できました。
解析の中身は長くなるのでここでは省略しますが、簡単に言うと次のように電流増加させることが可能とわかりました。
ICの電流検出端子に繋がる検出抵抗Rsで出力電流を検出しており、Rsは実際の基板では Rs1=1.1ΩとRs2=5.6Ωの2個並列で構成されていました。ICはこのRsの両端に発生する電圧が一定になるように動作しているので、抵抗値を小さくすれば出力電流が増加するはずです。
ドライブ電流を増やす改造
手持ちにサイズは大きいが2.2Ωの抵抗があったので、検出抵抗に更に並列に追加する形でハンダ付けしたのが下の写真です。
この改造の結果、思惑通り出力電流が360mAに増加し、LEDの入力電力は8.6Wとなりました。
LEDやドライバーはまだ余裕がありますが、常夜灯なので節電が第一、これくらいがいいところだと判断し、採用を決定しました。
追加した抵抗をホットメルトで固定してケースに収めた後、ついでにワイヤーとケース間や基板とケース間もホットメルトで固定しておきました。それとケースに適当に孔を開けて風通しを良くしました。
仕上げ
ネジバカの対策
シェードを止めるM3ネジがバカになっているのを対策します。次の3つの手段が候補として考えられます。
- M4にサイズアップする
手っ取り早いが、板が薄いのでまた馬鹿になる懸念が残る。また長い手回しネジが入手しづらい。 - リベット止めしたあとリベットにネジを切る
M3なら4φサイズ(孔径4.1mm、芯のサイズが2.6mm)のブラインドリベットが合う。 - ナットを取り付ける
ブラインドナットをナッターという工具を使って取り付ける。
もしくは、もったいないですが、かって下記記事で紹介したターンナットを使うこともできます。
実はナッターが前から欲しかったので注文したのですが、在庫切れで納期が先です。それで今回は2の方法で行いました。
- ドリルで孔を4.1φに拡大
- ブラインドリベッターで4φのリベットをかしめる
- リベットにドリルで2.4φの孔を開ける
- タップでM3のネジを切る
最終の組み付けと配線
最終の組み付け、配線した様子は下のようになりました。
配線は、もともとバーLEDについていた細いリード線は取り去り、LEDドライバーのリード線を直接ハンダ付けしました。ヒューズとリード線は、照明光の影を作らないよう低くまとめています。
写真を撮るときは忘れていましたが、端子台のハンダ付けのところはカバーがつきます。
点灯するとこんな感じです
シェード木枠の再塗装
内部ができたのでシェードをきれいにします。
シェードと木枠の分解
シェードは樹脂ケースが木枠に木ネジで固定されているので、木ネジを緩めて分解します
汚れの除去
汚れが酷いところだけペーパーをかけて塗装してみたらムラがでてしまいました。それで一旦、外面全体をサンダーで塗装を剥がしました。
木枠の塗装
塗料は雨にも強い柿渋塗料を使いました。色味は元が黄色味だったのに対し、赤味がかりました。木桟の細かいところは重ね塗りですが、色合いの違いは気になりません。
下は、きれいになったシェードを取り付けて点灯してみたところです。
取り付け結果
器具の取り付け
夜に現場に持っていって元の位置に取り付けました。夜でも頭につけるヘッドライトがあるので平気です。
結線は、LEDドライバーの茶色の線がL(Line、活線)なのでACの黒線(または赤)に、青色がN(Neutral、中性線)なのでACの白線に接続します。
結線ができたらまず点灯を確認し、次にLEDの向きの調整です。右側が玄関入口なので、そちらが明るくなるよう右側のシャーシーを右に少し回転し、左側は正面に向けて固定しました。
最後にシェードを取り付けて完成です。下が点灯の様子。
LED化の効果
実際目で見た感じでは従来の蛍光灯より相当明るくなった印象です。しかも消費電力は13W⇒8.6Wと約2/3に節電です。
なお、本記事での消費電力は蛍光灯やLED等発光体での電力のみを言っており、実際のAC入力での消費電力は測定していません。実際には蛍光灯における安定器(トランス)やLEDドライバー等での電力ロスがあるのですが、熱の持ち方でわかるようにこれらの電力ロスは本体に比較して無視できるくらい小さいです。
昼間に点滅する不具合判明【2018年2月17日 追記】
数日後に昼間に数秒に一回瞬間点灯するということがわかり、対策として自動点滅器を交換しました。詳細は次の記事を参照ください。