私は共立のAZ600(上写真)という相当古い型式の歩行型あぜ草刈機をメンテナンスしながら使っています。
最近、草刈り中にガラガラと異音がするようになり、刈り刃に動力伝達しているVベルトが損傷している模様。修理を始めてみるとVベルトの交換だけでは済まず、結局下記項目を実施、その記録です。
- Vベルトの交換
- 主刈刃のベアリング交換
- 塗装(部分)
- 飛散防止ゴムカバーの交換
刈り払い機と比べた畦草刈り機の特徴
草刈りの道具には、鎌、鍬、刈り払い機、歩行型草刈り機(自走型草刈機、畦草刈り機)、乗用草刈り機等色々ありますが、私は以前オークションで入手した中古の歩行型あぜ草刈機AZ600を使っています。
この種の草刈機を使用されたことがない方の参考に、肩にかけて使う刈り払い機に比べた特徴をまとめてみると
- 刈り刃が2枚有り、畦、畝等の平面と斜面を同時に刈れる
- 二つとも平面にすると刈り幅が広く効率が良い。
実感で刈り払い機より3倍くらい効率が良い。 - 歩行型で疲れない
乗用草刈機ほどではありませんが楽です。ついて歩くだけで肩にかけたり振り回したりしなくてよい。 - 刈った草が細かく切断されていて扱いやすく、堆肥にしやすい
刈り払い機で長い草を刈ると後の処理がやりにくいが、これは細かく切断されて良い。
【短所】
- 草を地際で短く刈れない。
乗用草刈機でも同じですが、刈払い機ほど短く刈れないので、次に草が早く伸びます。 それで草刈後にある程度緑が残り、草刈跡がきれいという人もいます。 - 進行方向にでこぼこや石があると刈り刃が当たってやりずらい
- 刈り払い機に比べ、補修用刈り刃を入手しづらい。
過去の整備
農機具、特に中古はメンテナンスしながら使っていかねばなりません。このAZ600にこれまでに行った主なメンテナンスを記します。
- キャブ清掃
中古で買ってエンジンの調子が悪かったのですぐ実施。以降始動性バッチリ。馬力はいまひとつだがエンジンの実力か? - Vベルト交換 使い始めてまもなくVベルトが磨耗して切れたので交換
- 斜面刈りの刃が付いているサイド部は斜面に合わせて傾斜が変わる機構になっているが、その傾斜の回転軸のヒンジが溶接部分でとれた
今回と同じ修理屋さんで溶接してもらった。 - 刈り草の散乱防止カバー交換
ホームセンターで買ってきたゴムシートを切って作成し、交換した。しかし使っているうちに損傷してきた。ゴムの耐久性はあまり無い。 - 刈り刃下の皿型カバーを外して使用
刈り刃下に皿型カバーがついていた。皿型カバーが地面に接触しても刃の回転が止まらないようにべリング機構がついていたが、ベアリングが損傷して回転の負荷になってしまっていたので取り外した。無くても大きな問題は無い。事実他の機種はこの皿型カバーが無い。 - 刈り刃の交換
刈り刃が磨り減っていたが、形式が古すぎて仕様に合うものが売られていない。仕方なく類似機種のものを買い、加工して取り付けた。
【2013.9.4追記】最近合うものがヤフオクで出品されています。
今回の修理の記録
使用中に主刈刃のある前部付近からガラガラと異音が聞こえるようになったので、Vベルトが原因ではないかと見当を付け修理にかかりました。
1.Vベルトの交換
カバーを開けるとやはりVベルトが写真のようにひどく痛んでいた。交換が必要だ。
Vベルトはこの主刃用の他にサイド刃を駆動するものがあり、計2本使用されている。
その様子は上からはわからないので、本体を横倒しにしますが、側面の刈り刃部が邪魔になるので、固定ピンを外すなどしてを上方にまくり上げます。
そうしておいて、下側から覗いたのが下の写真です。
見えているのはサイド用Vベルトである。こちらは損傷していません。
損傷している主刃用Vベルトは、下側のプーリーと軸を共にする上(奥)のプーリーにかかっている。そのため、見えているサイド用Vベルトを外さないと上(奥)側にある損傷した主刃用Vベルトを外せないのである。
Vベルトは以前にも交換したことがあり、主刃用、サイド用共にA25(25は25cmの長さを表す)というタイプのVベルトである。 近所のホームセンターで調達して、交換作業に取り掛かる。
無事交換終了して早速草刈をやってみる。暫くは順調だったが、やはりガラガラという異音がする。
どうも主刈り刃の軸受けから音がしている。ベアリングが損傷しているようだ。 ( ̄▽ ̄;)!!ガーン
ベアリングをDIYで修理できるのか??
2.近所の自動車修理店に相談
困って近所の修理屋さんに相談したところ「軸受け部を外してを持ってくればベアリングを交換してあげる」という話。そこで軸受け部を取り出す決意。
右は、下から見た写真。主刃を外し、覆いを外したところ。金属カバーと軸受け部を止めている4本のビスを外したが、軸受け部を取り出せない。軸受けユニットをカバーの穴から抜くには軸を抜かないといけないのだが、軸を止めているナット(上にある)が硬くて緩まない。狭くてナットを力を入れて回せないのである。
仕方なく、カバーをフレームにとめているビス(写真で残っている3本)を緩め、カバー(赤)ごと取り外した。
右はフレームから外したところだが、軸が下から通っている状態で、頂部に問題の取れないナットが見える。
こうなれば簡単と思ったが、やはり硬くてなかなか緩まない。逆ねじかと思ったがそうではではなかった。 苦労して何とかナットをゆるめ軸を抜き取ることができた。 右は軸受けユニットを軸と軸受けに分解できたところ。
取り出した軸受け部を修理屋さんに持ち込んだ。
修理屋さんは棒を使ってトントンとたたいてベアリングユニットを簡単に外した。 はめ込みになっているだけなのだ。 品番を見て在庫品から近いものを選び、交換してくれた。
このときの写真は撮っていませんが、ベアリングの交換については後ほど自分でやってみました。 別記事歩行型草刈機の修理(2)回転刃カバーのベアリング軸受けを交換で紹介しています。
3.塗装
取り外した機会に、金属カバー部の再塗装をすることにしました。サイド側も合わせて行いましたが、その他は今回は見送りました。
下は塗装後の表裏の様子です。表は錆止め入りラッカー、裏は車用のシャーシーブラックを用いました。
4.飛散防止カバーの交換
先に書いたように、刈り草飛散防止のカバーは、ホームセンターで買ってきたゴム板で作成して取り替えていたが、今では相当傷んでいる。ゴムは弱いようだ。
先の修理屋さんでプラスティック製のトラック用の泥はねカバーの端材をもらってきた。
元の形にあわせて切る。 右は新旧のカバーを並べて比較したもの。副刈刃の方は長さが足りず2枚で重ねることにする。
元はあった切り込みは今回は入れない。必要があれば後から入れることができるからだ。 次に止め孔を開け、取り付ける。下は取り付け後の様子です。
コメント
e-farmerさん、こんにちわ。(2)の記事も合わせて拝見しました。私も親父が買ったAZ600を約10年程使っています。あぜ草刈にはたいへん重宝しておりますが、ゴムカバーは取れてしまい、また最近は異音がするなど、故障に対する不安をずっと持っておりました。
親父が亡くなって取説も行方不明で購入先も判らず、壊れたらどうしようと思っていたのですが、記事を拝見してたいへん勇気づけられました。もしかしたら自分でも修理できるかも、という気になりました。今、同じようなものを新品購入しようとすると20万円くらいの値段ついてますので、買い替えるというのも厳しいです。
同じ機械ということもあるでしょうが、記事は写真付きでとても分かりやすかったです。
ありがとうございました。
>あぜ草刈にはたいへん重宝しておりますが…
このタイプは4サイクルエンジンなので音が静かで、あぜの草刈には丁度良いですね。
最近「たすかる」という斜面対応のもの(中古)を入手しましたが、2サイクルなので音が大きく排ガスもきついです。
>もしかしたら自分でも修理できるかも、という気になりました。
私も機械系は素人ですので、最初は自分で修理できるか不安でしたが、思い切って実際にやってみると何とかなることが多いです。
私もこの機種と同じ物AZ600Aですか? 使用していますがベルトが切れる寸前です。
ベルトはどこで購入しましたか? ベルト交換は難しいでしょうか?
>ベルトはどこで購入しましたか?
地場のホームセンターで買いました。
ネットでも売っています。「Vベルト A25」で検索してみて下さい。
Aが形、25が長さを表します。REDとつくのが高級タイプです。
>ベルト交換は難しいでしょうか?
ナットを回すスパナ類をお持ちでしたら、難しくありません。
記事にも書いているように、上側のベルトを交換を交換するときも、機械を横倒しにして先に下側を取り外す必要があります。
お陰様でベルト交換はしましたが、通常クラッチレバーを握らないと刃が回転しませんがエンジンを始動すると刃が回転してしまいます。
何処が故障しているでしょうか?
刃のクラッチ機構が働いていないのですね。
このクラッチは、Vベルトが張っている時に回転し、ゆるむと回転しない仕組みです。
たしか、クラッチを握ると本体下部にあるプーリーを引っ張って張るようになっていたと思います。クラッチを握る、放すによってプーリーが動くか調べて下さい。
考えられる原因として思い浮かぶことを上げると
1.クラッチワイヤーが錆び付いたり、切れたりしていて動かない
2.クラッチ機構の調整(プーリーの動き量等)がうまくいっていない
Vベルト交換時に触ったものが再調整されていない
3.Vベルトが合っていない
A25タイプなら間違いないと思いますが、新品でなじんでいないため滑らない可能性があります。2.の調整をするか、使い込めばなじみます。
おそらく2.の可能性が高いと思います。
もう少しで修理完了です。頑張って下さい
こんばんは。私もAZ600Aを長らく使用しています。大きいほうのVベルトがボロボロになって困っています。型番、サイズお解りでしたらご教授頂けないでしょうか。
文中にも書いていますが、A25と言うタイプで、上側(主刈り刃用)と下側(サイドの刈り刃用)とも共通です。汎用品なので、メーカーが違っても「A25のVベルト」と言えば互換性があります。
サイズ訂正
回答ありがとうございます。
皆様の質問、回答を参考にさせて頂いていましたが、外したVベルトの外径が965㎜ありました。A25であれば635㎜の為、AZ600Aでも形式が違うのか、悩んでおりました。
亡くなった父親が使用していた為、年式や形式がわかりません。
ありがとうございました
そういう事情でしたか。私には所有のAZ600についてしかわかりません。
ちなみに、私が始めてVベルトを買いに町の工具屋さんに行ったとき、店の主人は、持ち込んだ古いベルトの消えかかってわずかに残った品番文字と現物からA25に間違いないと判断してくれました。
はじめまして。最近オークションにてAZ600を購入しまして使用しております。それに伴いメンテナンスの参考にと探してあなた様のホームページを見つけました。非常に参考になります。宜しければご教授願いたいのですが、刈刃の研磨をする為刃を外そうとした所皿型カバーのネジが錆もありきつい上に、カバーが回りはずし難くて困っています。このネジは逆ネジと言う事はないでしょうか。この近辺のアドバイス頂ければ幸いです。宜しくお願い致します。
この機種は手放しましたが、記憶では皿型カバーを止めているネジは逆ネジ(左ネジ)ではありませんでした。逆ネジにする意味のないところだと思います。
もし私がそのような状況になれば以下のことを行うと思います。
・クレ556をかけて時間をおく
・力のかけられるボックスレンチを使う
・カバーの回転を止める工夫をする
例えば、2個のナットを同時に掴むような治具を作る
以上、参考になれば幸いです。
はじめまして、参考となる内容で感謝しております。小生もAZ600を中古購入し、利用していますが、Vベルトを交換したところ、レバー無関係でローターが回転してしまいます。何せ機械に素人のため、どうしたら良いのか判りません。アドバイスを頂けませんか。
この機種は手放しましたので記憶での回答になりますが、参考にしてください。
レバーを動かすとVベルトをきつく張って回転させるのですが、うまく動作していないのでしょう。下記を調べて見てください。
1.レバーの動きによってVベルトの張り方は変わりますか?
2.Vベルトの組付け法は正しいですか?
2.Vベルトが長すぎませんか?元のベルトの長さと比較したりして合っているか調べてください。
追伸、プーリーの動き量の調整方法を教えて頂けませんか。
Vベルトを交換したとき、プーリーの動き量を調整した記憶はありません。
現物がないので確認出来ませんが、おそらくプーリー側にその動き量を調整する機構はないのではと思います。
レバーからつながっているワイヤー側にはワイヤーの伸びに対応するための調整はあるでしょうが。
はじめまして。先日ネットでAZ600Aを入手しました。刈り刃の交換を考えていますがネットの品物が310ミリと345ミリとありますが平面用と斜面用どちらにどれを使ったら良いのでしょうか?
返事が大変遅くなりました。
今はこの機械は手元にないですが、平面と斜面は同じ刃と記憶しています。当記事の写真を見てもおわかりのように同じサイズに見えます。
サイズについてはあまり自信がありませんのでご自身でお調べください。