我が家は道路から奥まったところに駐車スペースがあり、その間の通路が狭いので車の通過時気を使います。今回軽から普通車に乗り換えるにあたり、DIYで拡張工事をしましたので紹介します。
現状と拡張の必要性
もう30年ほど前になりますが、車(タウンエース)が通れるように、邪魔になっている離れの玄関ポーチのコンクリを業者にカットしてもらいました。下の写真の丸印です。
車は道路のある右手後方から来て右折してここまで来ます。駐車するのは前方左側に見えているカーポートですので、入って行って直ぐ左に曲がるのですが、普通車(2000ccクラス)で切り返し無しで入ることは難しく、車を右に寄せすぎてタイヤをポーチ(上写真の赤丸印)でこすったこともありました。
ポーチを削ってみた
今回、軽から普通車に買い替えるにあたり改善したいと思い、試しに自分でポーチを更に削ってみました。下の写真がそれです。
これでだいぶましにはなりますが、最近の車はドアミラーが大きく張り出しているので、ポーチの屋根を支えている柱も邪魔になります。どうせやるなら柱を移動してポーチも更に大きくカットして全体を広げたくなり、その検討を始めました。
ポーチの柱を移動する
構想と設計
柱を逃げる方法
柱はポーチの屋根を支えていますので、単純に削除するわけにはいかず、何か屋根の重量を支える手段が必要です。次の3案を思いつきました
- 建物の内部の柱から斜めのつっかえ棒をつける
- 建物から横桁を伸ばして支える
- 柱を途中で曲げて逃げる
1と2は建物を触らないといけないので厄介ですが、3は建物は触らなくて済みますので、この方法で、途中で柱を曲げる方法を考えます。
切断して移動した柱を繋ぐ方法
曲げると言っても木の柱ですから切断して繋ぐことになります。思いついたアイデアは
- 柱は切った元の柱をそのまま利用
- 繋ぎは2×6材の板を使用
- 接続はボルトで固定する
この方法で20cm以上柱を移動できそうです。
柱受け金具を設ける
検討中に偶然右の柱受け金具を見つけました。
ステンレス製で75mm角の柱用で、今の柱に寸法が丁度合います。柱の腐食防止になり見栄えも良いので採用することにしました。
設計図
以上の構想でうまくいきそうなので設計図を書きました。設計図にすると
- 構想のメモだけではありがちな見逃しを発見できる
- 必要な部品の寸法が正確に決められる
- 全体のサイズバランスがつかめる
- 記録に残るので、時間経過後に見たり、他の人が見てもわかる
少し手間ですが簡単なものでもキッチリ設計図にしておく価値があります。
設計ができたので、板と塗料など材料を買い揃え、以下実際の工事に入ります。
柱受け金具用の穴堀
ポーチの柱の移動先地点に柱受け金具が納まる穴を開けます。金具の位置を固定するとともに、モルタル(セメント)で底板を隠して見栄えをよくできます。
今回コンクリートを打った上に1cmほどの厚みでモルタルを塗ってあったので。モルタル部分を削りました。使った道具は、前出の写真にあるディスクグラインダー(ダイヤモンドディスク付き)、チス、ハンマーです。
繋ぎ板の制作
切った柱と元の柱を繋ぐ板材はホームセンターで2×6材を買ってきました。
切断
別記事テーブルソーETS-10KN (1)購入で紹介しているテーブルソーで切断しました。斜めの切断も角度定規で簡単に設定できます。角はサンダーで削って形を整えました。
穴あけ加工
直径8mmのボルトを通すため10φの穴を開けますが、さらにボルトの頭やナットを落とし込むための直径30φ、深さ12mmの座繰りも開けます。
そのために右のボアビットなるものを見つけて購入しました。
今回必要なのは30φだけですが、今後必要になることもあるだろうと一本当たりの値段が安くなるセットを買いました。
加工手順は
- 3mmの下孔(貫通)をあける
- ボアビットで座繰り穴をあける
- 10mmの貫通孔を開ける
ボアビットも10mmのドリルも3mmの下穴があるので中心が狂いません。
座繰り穴の深さは丁度ビットの厚みと同じだったのでわかりやすかった。
継ぎ板の塗装
塗料は防腐、耐水、見栄え(周囲とのマッチング)を考え柿渋塗料を使うことにしました。耐水性はそれほど高くないが軒下で濡れないので問題ありません。
普通の柿渋塗料は匂いがきつく匂いが抜けるまで時間がかかるのですが、今回買った右の無臭柿渋は最初から匂いがせず大変使いやすいです。
下は塗ってみたところ。塗った時はニスのように色が薄いですが、時間が経過すると赤みを帯びてきます。
多少濃くなっても元の柱の色には程遠いので、右写真の紅蘭という商品名の弁柄(ベンガラ)を混ぜて塗ってみました。
弁柄は和風建築で耐候性塗料として古くから使われてきましたが、柿渋原液と混合し塗ることで防水、防虫、防腐抗菌作用て建築物の木材に耐久性を与えることができるとされます。
実際塗ってみると下のようにそこそこ柱に近い色合いになりました。後で分かりましたが、柿渋の特徴で時間経過で色合いに変化し更に柱に近い色になりました。
ポーチの柱の切断
仮受けの設置
柱を切断する前に、工事中屋根の荷重を支えておく仮受けを設置する必要があります
最初建築工事用のジャッキ柱を買おうと思ったのですが、床下束を利用することを思いつきました。
調べてみると下のように安く売っていました。
匠力 T型鋼製束NDT1928 1個
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これを2個買い、仮柱はありあわせの材料で右の写真のようにしました。
柱の切断は横板の下で行います。
丸鋸で柱を切断
最初に上側を斜めに切ります。
下の写真は反対側(裏側)から見たところですが、切断位置を決めて角度切りガイドを2個のクランパーで固定しています。
この状態で電動丸鋸を使い柱を切ります。丸鋸の刃は直径190mmですが、72mmの柱に対し切り込み深さが不足し、残りは手鋸で切りました。板と同様に角はサンダーで削りました。
次に下ですが、測定誤差など考慮して設計長さ+アルファの長めで切ります。実際組んだ時、長すぎるのは切れば良いですが、短いのは困りますから。
下側もうまく切断できました。
が、柱が倒れて開けていた扉にぶつかり小窓のガラスを割ってしまいました(≧▽≦;)
切った柱の根元を見ると下の写真のように腐っていて、触るとスポンジのように柔らかいのです。
これは支えていたというよりくっついていただけの状態であったようです。
柱の下が腐るのは雨がかかり濡れている時間が長いためです。今回柱を移動すると同時に本来の支える働きを取り戻すことができるわけです。更に柱受けを追加するのは見栄えだけでなく腐食防止になり大正解でした。
柱の加工
ボルト穴開け
柱は大き過ぎてボール盤が使えず、手持式電動ドリルで開けましたが、垂直に穴を開けるのが難しい。厚みが75mmもあると入り口と出口でずれているのがわかります。多少斜めになっても問題ないところですが。
それでも切った柱は台において加工できますが、残った柱はそれができないので一段とやりにくいです。
下は先に10mm孔を開けた後、ボルト頭周辺の30φの座繰り孔を開けようとしましたが、ボアビットのセンターが固定できずうまく行きませんでした。
それで、別の板の30φの穴をあけたガイド板を作り、下のようにクランプで固定してうまく行きました。
柱に10mmの穴を開けるときも、先にボール盤でガイドを作ればよかったんだと後で反省しました。
柱の塗装
穴あけやその他の外形を整えたら、柱の汚れだけを取り、上塗りで塗装しました。
組み立てと仕上げ
組んでボルトで締めて、用の済んだ仮柱を外せば構造は完成です。
座繰り穴のボルトの周囲が白かったので追加塗装し、ついでに周辺の木部(屋根下や窓枠周辺)も塗装の劣化が目立っていたので上塗り塗装しました。
下が完成した様子ですが、塗装から時間が経って色合いも元の色に似てきていい感じになりました。
ボルトの頭やナットを隠せるように座繰り穴を設けたのですが、見えているのも力強さが感じられて悪くないと思い直し、蓋はしませんでした。
コンクリート土間を削る
柱の移動ができたので、ポーチを更に削ります。
コンクリの破断・除去
使た道具は
- ダイヤモンドディスクを付けたディスクグラインダー
- チスとハンマー
- 電動ハンマー(借りた知人はバリバリと呼んでいます)
借りものです。これがあると効率が上がります。
コンクリートの中に隠れた石がありました。元の柱の敷石になっていたようです。コンクリはすごく埃が出ますが比較的軟らかいので電動ハンマーで簡単に砕けます。石は固いのでそうはいかず、グラインダーで切り込みを入れて少しづつ割っていきました。
仕上げ
モルタルで削った跡の表面をきれいにします。
凸凹やいびつな形はみっともないし、平面か曲面かどちらでもすっきりした形にすることが大事です。わかっていても左官仕事は経験を積まないとうまくいきません。今回は下のような仕上がりになりました。
コツは押さえてならす。それを時間を空けて乾き具合を見ながら繰り返すことです。
柱受けの足元もモルタルで穴を埋めました。全体の様子は下のようになりました。
実際購入した車で使ってみて
実際車(ステップワゴンスパーダ)を購入してみると拡張後でもギリギリ、うまく運転すれば切り返しなしで入れるというところでした。
上の写真は車が入るところ、当初の写真が出るところです。車の購入前に拡張工事をやっておいて良かったと思いました。
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