年末に和室に床板を張るDIY工事をしましたが、端の隙間を幅木で隠せないので、板を正確に切断して隙間を作らないようにする必要がありました。スライド丸鋸がないので、丸鋸を使って正確に切る方法を工夫しました。
目次
床材を正確に切断する必要と丸鋸使用時の問題点
幅木で隠せないところは正確な切断が必要
通常の洋間ですと壁の下部に幅木と呼ばれる飾り板を張り付けるので、多少の隙間があっても隠れて問題になりませんが、日本間の改造では隅は敷居ですし、洋間でも壁のないところは幅木で隠せません。
ところが床板の切断面の隅に隙間を作らないようにするのは簡単ではありません。隙間ができないように部屋の寸法に合わせて板を正確に切るのが難しいのです。少し長めに切って最終カンナやサンダーで仕上げるとしても、鋸での切断が相当正確でないとカンナやサンダーでの削る量が多くなり手間がかかってしまいます。
丸鋸を使って正確な横切りをしたい
このような理由で床板の正確な横切りがしたいのですが、おそらくスライド丸鋸を使えば簡単でしょう。しかし、私は持っていませんのでそれ以外の方法を考えます。
小型テーブルソーは長物の横切りが苦手
小型のテーブルソー(テーブル丸鋸)は持っていますので縦切りはこれを使います。しかし、このテーブルソーは長物の横切りが苦手です。床板は180cmほども長さがあり、横切りガイドが小さく、板とテーブル間の滑りが悪いため、刃と直角を保ったまま平行移動することが難しいのです。(テーブル全体を覆うタイプの直角切り治具を作れば良さそうですが、今回には間に合いません)
それで以前は、板を固定したまま鋸の回転刃を押し上げて突っ切る方法を試したらうまくいきました。板幅が狭いときはそれで良かったのですが、今回は板の幅が回転刃より広くて一度の突っ切りで切れません。
丸鋸と丸鋸ガイドを使用
丸鋸(丸ノコ)もあります。丸鋸のベースをガイドに沿わせながら材料を切断することにより、真っ直ぐに切断することができる丸鋸ガイドも持っています。
丸鋸ガイド使用時の問題点
丸鋸ガイドが正確な位置に固定されて動かなければ、簡単に正確に切れるはずです。しかし実際やってみると下記の問題点があり、毎回正確に切断することが難しいのです。
ガイドの設定位置がわかりにくい
切断線に丸鋸の切断マークを合わせ、その丸鋸ベース左端に丸鋸ガイドを当てるのですが、正確な位置合わせがやりにくい。また手元から奥の方まで正確にあっているか確認しづらい。
ガイドがブレてしまう
上記の状態でガイドを手で固定しながら切断するのですが、切断してみるといつの間にか、ブレてしまっていることが多い。(私の丸鋸は定規を押しのける傾向があります)
クランプがうまくいかない、クランプの手間が面倒
それでブレないようにクランプを使うのですが、丸鋸の左側に出っ張っているモーター部と干渉しないよううまく逃げなければならない。また、ねじ式の固定クランパーは手間がかかります。
このようなこれまでの問題点を克服する方法を工夫した私の方法を以下に紹介します。
丸鋸切断用ガイドを使って正確・確実に切る方法
今回私が床板を切断した方法を紹介します。
使う道具
丸鋸
下の写真のマキタの5812Aという品番のもので、本職用の丸鋸です。
知り合いの大工さんが亡くなったとき遺品として頂きました。
丸鋸用角度切りガイド
丸鋸ガイド定規には直角専用と角度切り用定規(フリーアングル)があり、私が所有しているのは下写真の以前ホームセンターで買ったフリーアングルタイプです。以下これを角度切りガイドと呼びます。
固定用クランパーが付属していましたが、クランパーの固定位置が丸鋸より遠いので固定が万全ではないのと、固定する方法がネジなので面倒くさくて使っていません。
これから購入されるならシンワなどからさらに使いやすく改善したものが売られています。例:丸鋸ガイドーアマゾン
丸鋸用幅定規(自作)
ガイドに当てる丸鋸ベースの左端と切断線との間に一定の距離があります。通常は刃を切断線の位置に合わせてベース左端にガイドを合わせます。丸鋸に切断線に合わせる目印があるのですが目印であって厳格にどこに合わせるのかは難しいです。
この距離を設定する定規が下の写真の丸鋸用幅定規(治具)です。
作り方はいたって簡単で、適当な大きさの板を丸鋸のベースの左端で揃えて切っただけのものです。右端を切断線に合わせれば左端がガイドの位置になります。
バイスプライヤー(ワンタッチクランパー)
木工用等に使うクランパーは通常はネジて固定するものが多いですが、ワンタッチで固定できるものがあります。
例えば右のものはバイスプライヤーとかロッキングプライヤといわれるもので、プライヤーのように掴んで固定でき、手を放してもそのまま保持します。
私は下写真のように大中小の3個を持っています。
これを使って2枚の板を固定するとネジ式と違いワンタッチで手間がなく便利です。挟むものの厚みにあわせて調整が必要で、持ち手の元側についているネジで行います。
C型バイスプライヤー(ワンタッチクランパー)
先ごろこのバイスプライヤーの懐が広いC型のタイプをモノタロウで見つけました。右のように同じものがアマゾンでも売っていました。
下写真がそれですが先端可動式なので広い範囲で平行クランプできます。今回、懐の広さが丸鋸ガイドを固定するのに役立ちました。
確実な切断の仕方
以下、具体的に床材の端のツバ部分を切り落とす例で説明します。
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幅定規をセットする
切断線に幅定規の右端面を合わせ、ワンタッチタイプのクランプを使用して固定する。
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角度ガイドをセットする
次に、幅定規に合わせて角度切りガイドをセットします。通常、角度切りガイドの角度は直角に設定していますが、あえて切断線を直角よりずらしている場合は切断線に合わせて設定することもできます。
C字型バイスプライヤーで角度切りガイドを板に固定する。C形で懐が広いので角度切りガイドのネジ頭を逃げることができる。もちろん丸鋸のモーター部分が通るスペースも逃げています。
下は当初の写真と同じ状態を斜めから見たところです。C字型を使ったクランプが分かりやすいと思います。
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幅定規のクランプを外す
角度切りガイドが固定できたら幅定規を外します。(下写真)
外した幅定規を角度ガイドに合わせて滑らせ、右端が全体的に切断線にあっているか確認します。角度切りガイドをクランプで固定しているので、納得できるまでじっくり最終確認できます。
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丸鋸で切断する
確認ができたらいよいよ切断です。丸鋸を角度定規に当てながら動かして切断します。
角度切りガイドの固定がしっかりできているので、切断自体は簡単、確実です。
DIY(木工)の工夫
丸鋸で正確に切断するには、要はガイドを正確な位置に固定し、ブレないようにすることです。今回紹介の方法は幅定規により位置決めを簡単にし、ワンタッチクランパーにより固定も簡単にできました。
熟練しているプロなら、スライド丸鋸を使うか、丸鋸でも角度定規だけで手早くこなすでしょうが、たまにしかしないDIYでは、多少の時間はかかっても治具などを使って失敗を少なくすることが大切です。機械や腕の足りない分、頭を使えということですが、今はネット検索すれば先人の知恵を借りることができます。