木工に加えてボール盤を使った金属加工もするようになり、時々に便利そうな万力(バイス)やクランプを購入してきました。その結果今では色々の種類を所有していますので、まとめて紹介します。
目次
万力とバイスとクランプはどう違う
万力とバイスはは同じもので、対象物を2つの口金の間に挟み保持する工具です。クランプも似ていますが、万力は材料だけを挟むのに対してクランプは材料を作業台などに共に挟んで固定します。実際にはどちらの使い方もできるものも多いです。
万力(バイス)
ベンチバイス(取付万力)
作業台に手でネジを締め付けて固定する、家庭工作用の万力です。
下の写真の万力は、おそらく40年以上前から私がいろいろな工作に使ってきたものです。
作業台(机)の端に鉛筆削りと同じように固定するのですが、固定力が弱くて使っているうちにガタついてくるのが欠点です。
リードバイス(横万力)
何年か前に購入したかなり大型の万力です。上部を回転させて向きを変えられます。
本来作業台にボルトで取付けて使用するものですが、私は固定していません。最近になってネットで見かけたのを参考に、写真のように木の台に取り付けました。
作業現場に持って行くと、重いのでそのまま地面に置いても安定し、たいへん役に立っています。
ボール盤用バイス(べたバイス)
写真はボール盤の付属品としてついてきたものです。このタイプはベタバイスと呼ばれますが、背が低いのが名称の由来でしょう。
ボール盤本体はそこそこ精度があるのにこの付属バイスは全くダメで、ワークテーブル上で天秤しました。それで自分で底(裏)面をやすりで削って修正して使っています。
クイックバイス V-65A
写真のバイスも形はべたバイスですが、口部の開閉をスライドでできるクイック操作が売りです。アルミ合金製軽量バイスで、口の開き66mm、幅68mm、深さ25mmです。モノタロウのSK11ブランドの物が安かったので購入してみました。
確かにクイック操作は便利ですが、ドライバーのように握りを回転して締付ける方式なのであまり力が入りません。クイック機構の保護のため、わざと力がかかり過ぎないようにしているのかもしれませんが。
小型卓上万力
以前紹介しましたが、アマゾンで安く売っている樹脂グリップが特徴の小型バイスです。
手工芸などで「とにかく掴めたらよい」場合は良いのですが、バイスとしての精度は不足しています。なので私は以下の記事で紹介しているように精度アップの改造をしました。
プロクソンミニバイス
プロクソンマイクロクロステーブルに取り付けるため購入しました。小型ですが精度は良いです。小型である他、形状は下記のマシンバイスとヤンキーバイスの両方の特徴もあります。
マシンバイス(作業機械用万力)
マシンバイスとは、例えばフライス盤用のXYテーブルなど、機械に取り付ける前提の万力のことです。
ヤンキーバイス
底面と側面が直角になっていて、加工物を挟んだままで90度まわして直角方向の穴あけも同時に出来るボール盤用バイスです。
アングルバイス
通常万力は水平方向から挟みますが、アングルバイスは掴む口の角度が変えられるバイスです。
写真のアングルバイスをオークションで見かけ、落札しました。0度~90度まで角度が変えられます。
実物が届いてみると所有の小型ボール盤には大き過ぎてあまり使う機会がありませんでした。
後になって中古の大型のボール盤(と言っても企業では普通サイズ)を買い出番が回ってきました。といっても使うときは水平状態が殆どで、傾斜させる機能はまだ宝の持ち腐れですが。
クロスバイス
バイスとX-Yテーブルが一体化したもので、ボール盤の正確な穴あけやフライス加工に使います。
私が買った安物はたいへん精度が悪かったので精度アップの改造をしています。(右写真)
改造については下記記事で紹介しています。
バイスプライヤー(ロッキングプライヤ、手万力)
写真のプライヤは対象を挟んでそのままロックできます。対象に合わせてネジでを口幅を変えます。元のところで針金のカットもできます。
このプライヤは加工物を挟んで手に持って作業できますので、一種の手万力に分類されます。
C型バイスプライヤー
前記のバイスプライヤーの懐を大きくしたものです。
こちらはプライヤーというより万力やバイスのイメージが濃いですね。
クランプ
F型、C型、ハンドクランプ
Fクランプ(パワークランプ、Lクランプ、エビ万力)
木工作業によく使うF字型のクランプです。強力かつクイック操作できるので便利です。
C字型クランプ(シャコ万力)
ハンドクランプ、スプリングクランプ
最近買ったもので、洗濯ハサミを大きくしたようなクランプです。写真の大きい方ともなると片手で握るのが難しいほど大きくて且つ開くのに両手が必要なほど強力です。
最近百均の(ダイソー)でも小さい方を見かけます。
バイスクランプ VC-06C
最近買ったもので、前記バイスプライヤー2点と同じ原理です。違いは、テーブルの穴に差し込んで、対象をテーブルに押さえ付けるようにして使う点です。
ボール盤のワークテーブルに加工材やバイスを固定するのに便利です。
最初アメリカのAmazonで見つけたのですが、台湾製で日本では新潟精機が扱っていて、私はモノタロウで購入しました。
大小ありますが、これは小さい方で最大締付可能厚:25mm、最大取付可能厚(テーブルの厚み):17mmです。取付ネジはW3/8(インチ規格)で、ついているナットはアイナットと呼ばれます。
ワークテーブルのスリットにネジを通して、下からアイナットで固定します。最初手で締め、最後にドライバー等をアイナットの穴に挿して増し締めします。テーブルの下はスパナが使いにくいですが、これはやり易くていいです。
そんなに種類が必要なの?
まとめるとこんなにあるんですね、自分でも驚きです。
何故そんなにいるの?と言われそうですが、正確な加工にはキチンとした固定が重要です。ピッタリのバイスやクランプがあると、固定の手間がかからず効率良く正確に固定できるのです。
例えば、下記写真は、ボール盤で旋盤加工を行ったときの様子です。
旋盤加工の切削バイトを保持するのに、プロクソン マイクロクロステーブルに取り付けた
- プロクソン ミニバイス
を使い、そのマイクロクロステーブルをワークテーブルに固定するため
- バイスクランプ 2個 (一個はマイクロクロステーブルの向こう側)
- ハンドクランプ(小)
を使っています。更に下部でベアリングを保持するため
- クイックバイス
を使っています。
こうして比較的手軽にボール盤での旋盤加工を実現しているのです。