庭木の手入れのためお手頃価格の充電式電動高枝切りを買いました。
実際使用してみて満足できるものでしたが、バッテリーが専用なのだけが不満で汎用性の高いマキタの18Vバッテリーを使うように改造しました。
目次
ONE STEP高枝電動のこぎり
手の届かない木の高い枝(3mくらいまで)を、下から楽に切れる電動のこぎりがあります。
充電式電動高枝切の購入
この手のものは各種売られていますが、切断部の方式により2方式あります
- レシプロソー(鋸)式
先端についている鋸刃が往復運動して切るタイプです
-
- 先端部は比較的軽い
- 切れが悪くなったノコ刃は交換しますが、比較的安価です
- チェーン式に比べ切断に時間がかかる
- チェーンソー式
先端に小型のチェーンソーが付いています
-
- 先端部が重くなりがちです
- 切れがわるくなったチェーン刃は研ぐか買い替えですが高価です
- 切断が早い
選択で重要視すること
- 先端部の軽さ
長い竿の上に切断部が付いているので先端部が重くなりがちです。手元ならまだしも先端が重いと取り扱いが大変です。できるだけ軽いものを選びます。 - 価格
ほんのたまにしか使わないので、切断スピードより値段を優先したい。
ONE STEP高枝電動のこぎりを選択
下記の判断によりレシプロソー(鋸)式の商品を買いました。
(今はこの販売ページがなくなりましたが、各種の電動式高枝切りが売られています)
- 先端部が同様の商品より軽量
- 購入者評価が悪くない
- 値段が安い
- 20Vの充電式
20Vと表記していますが、中身は「リチウム電池直列5本」とにらみました。ならばマキタでいう18Vと同じであり、マキタ互換化の改造がしやすいはずです。
購入価格は14,280円でした。
注文後直ぐに届き、1m強の長さの箱に入っていました。
全体として右のようなものが入っています。充電池は専用で80分充電で35分連続使用できるとあります。
- 販売しているのは大阪の会社(製造は中国)
- 取扱説明書が日本語でしっかりしている
- 替刃が6本付属
- 手袋(軍手)と保護メガネも付属(私は要らないが)
箱には分割された状態で入っていますが、説明書に従い、迷うことなく組み立てできました。
バッテリーの充電器はACアダプターみたいな簡素なものです。充電制御回路がバッテリー内に取り込まれているのでしょう。
製造は中国ですが、日本側が管理して作らせているようで、ざっと検品したところしっかりした構造で、品質的にも問題なく安心して使用できそうです。
使ってみた感想
試しに庭の梅の枝を切ってみました
・6本ついている刃は短いが枝切りには十分で、切れ味も悪くない
・細い枝は刃の往復と一緒に揺れて切りにくい
・延長ポールを付けると3mくらいの長さになるが、重い(女性にはしんどいかも)
・枝の重力がかかって刃が挟まれてしまう事があり、こうなるとなかなか取れない
・コツは、なるべく上側から刃を軽く当てて時間をかけて切る
・太い枝の場合ゆっくり前後に動かして木くずを排出すると良い
メーカーに対するさらなる改善要望
・モーターを手元につけることができないか。
伝達ロスとかコストの問題があると思うが、この手の物は先が軽い事が重要なので、
・20Vの表記であるがマキタの18V相当だと思うので、これを使えるようにしてほしい
手持ちのマキタのバッテリーを使いたい人は多いと思う
付属のバッテリーについて
バッテリーと取り付け構造の観察
バッテリーを取り付ける部分は右の写真のようになっています。
電源のプラスマイナス用2端子が出ています。
バッテリーは後ろから溝にはめ込んでスライドする方式です。
横から見るとこんな感じです。
黄色が鮮やかですが、安っぽく見えて工具としてはセンスが?と感じます。
バッテリーには4段階の残容量表示があり、ボタンを押すと数秒間点灯します。
ちなみに、ラベルが切れているのは、私が切ったものです。次に記述するように中身を調べるためです。(蓋を開けないよう警告がありましたが、自己責任で)
付属バッテリーの内部調査結果
やはりマキタ18Vバッテリーと同じ5段直列接続でした。
- 18650型リチュウムバッテリーを5個直列接続
- セルの容量表示は2000mAh
- BMS(制御回路基板)はオリジナルか?
- シリーズ接続の各バッテリーの電圧を検出している
これは互換バッテリーではあまりなく、高く評価できる
交換用バッテリー
電池の予備が欲しいときは、商品と同じ販売ページで別売されています。
マキタは1500mAhで8千円以上するのに比べ、4,280円と良心的です。
マキタ18Vバッテリーを使うための改造
18Vのリチウムバッテリーだとわかったのでマキタの18Vバッテリーで使えるよう改造します。バッテリーのマキタ互換化です。
マキタバッテリーから電源を取り出すアダプタ部品
改造のための購入部品は一点のみです。
マキタバッテリーから電源を取り出すアダプタで、アマゾンで売っています。
右の商品を2個1599円で購入しました。
下が入手したものです。
本体握手部分の分解
下の写真に見えている6本のビスを外します。ビス頭は+です。
貼り合わせ構造になっているので、継ぎ目に張ってあるシールを取ります。
次に2体を分離するように開けます。硬いですが、なんとか蓋が開きました。
外したショックでレバーやバネが外れてしまいましたが、写真はそれらを戻したところです。うまく外せば上のようになるはずです。この写真を撮っておかないと後でうまく組めるか心配ですから。
電池ベース部を取り出す
電池を取り付けるベース部(以下「電池ベースと」呼ぶ)はツバが付いていて、これを挟むことにより本体持ち手部分に固定されます。スライドすると本体から外れるので左右とも外します。下は左右のツバを合体したものです。
電池ベースの加工
電池ベースの裏側を削る
下は裏側の写真です。スライド溝の爪の部分を削るとアダプタが丁度ハマります。
削る部分をマジックで書きます。
直線部分は丁度段差のところですので、カーブのところだけ書いています。
加工手順
- 書いた線に沿って削る
簡易フライス盤を使って削りましたが、あまり目立たないところだと油断していたら汚くなりました。 - ビス止めの穴をあける
4箇所でアダプタをビス止めします。孔の位置は四隅で端から少し余裕のある位置に決めました。M4のビスを使うために4.2φの孔を空けました。
加工後は下のようになりました。
アダプタに穴を開けて電池ベースに取り付け
右写真は中蓋を外したアダプタをベースに取り付けた状態(仮)です。
アダプタ側にも対応した穴を開けて、ビス・ナットで固定しています。ビスは長かったので中蓋に当たらぬ程度に切りました。
電池ベースには元々リード線を通していたスリットがあり、アダプタ側にも対応したスリットを空けます。後で線が太くてスリットを通らないことがわかり、スリットを太くしました。(写真はベース側の穴がまだ細い状態です)
加工ができたら線を通して中蓋を閉めます。
本体との電源リード線の接続はアダプタ内でも可能なのですが、作業しやすい本体内ですることにしました。そのためアダプタのリード線を本体側に引き出しています。
右写真はリード線が出ている様子です。アダプタの線は硬くて通しにくかったです。
ビスは最初鍋頭のビスを使ったのですが、組み上げてスライドする時、頭が干渉しましたので、皿ネジに替え、孔をザグリして対策しています。強度の点からザグリを浅めにしたのでまだ少し頭が出ていますが、このぐらいなら干渉しません。
本体に組み込み
リード線の接続
リード線は
- プラス側:アダプタの赤リードと本体の赤リード
- マイナス側:アダプタの黒リードと本体の青リード
のように繋ぎますが、実際の手順は以下の通りです。
- つなぐ位置を決め、それに合わせて各リード線を切り、先の被覆を剥く
- 本体側の線にヒシチューブを入れ端に避けておく
- 各々ハンダ付けする
- ヒシチューブをハンダ部分を覆うように移動し、ヒートガンで熱収縮させる
3.のハンダ付け以降はツバの部分を下側の持ち手の溝に差し込んだ状態で行います。
下は結線が終わったところです。リード線がアダプタから出て直ぐスペースがあるところで繋ぎました。
組み立て
下の写真のように線を溝に入れて固定し、レバーと保護ロックスライドを入れます
これに上側の持ち手を被せてネジ止めすると下のように組み上がりです。
出来上がり
マキタの電池パックを付けて試用
いよいよマキタのバッテリーを付けて試験します。下はマキタバッテリーを取り付けたところです。
電源スイッチを入れると問題なく動作します。完璧です。
当然、下写真のように薄型・標準型のバッテリーどちらでも状況に応じて使えます。
高枝電動のこぎりの全体像
改造後の全体像は以下のとおりです。
従来とのサイズ比較
改造前後のの電池部のサイズを比較してみます。
長さ
長さはオリジナルより2cmほど短くなった。
高さ
オリジナルより1cmほど高くなったが、アダプタを介しているのでその厚み分です。
製品評価
今回購入したONE STEP高枝電動のこぎりは安いのにしっかり作られており、コストパーフォーマンスが良く、品質も悪くなさそうです。後で、分解して電池の容量を実測したところ、表示通りしっかり2000mAありました。
使用頻度が高いプロ用途でなければ十分です。
更に今回の改造で、予備がたくさんあるマキタバッテリーが使えるようになり、作業途中のバッテリー切れや将来の劣化に対しても安心です。
改造により、もうメーカー保証は受けらなくなりました。故障しないことを願っています。