インク切れしたプリンタインクカートリッジの残量を測定

デジタル精密はかり 測定中

EPSON社製プリンタPM-A900を使用していますが、インク切れで交換したカートリッジには、振ってみるとまだかなりの量のインクが残っているのがわかります。 具体的に何割ほど残っているのだろうか。

それは精密に重量を測定すればわかるはずなので、先の記事 軽量デジタル精密はかり で紹介したものを購入したわけです。

これで交換したカートリッジのインク残量(残存率)を調べたところ、驚くべき結果がでた。

カートリッジの重量測定

手元にあったカートリッジを測定した。右上の写真はは測定中の様子。
このために過去にインク切れしたカートリッジを全て残しておいた  ・・・てなわけではなく回収に持って行くのをサボっていただけ σ(^_^;)

測定結果

                            (単位:グラム)

No 新品
袋入り
新品
本体のみ
インク切れ
表示で
交換時
本当に空
1 黄色 35.97  32.00  -  -
2 黄色  -  -  - 15.37
3 ライトシアン  -  -  - 15.60
4 ライトシアン  -  - 21.94  -
5 シアン  -  -  - 15.65
6 ライトマゼンタ  -  -  - 15.54
7 黄色  -  -  - 15.25
8 マゼンタ  -  -  - 15.30
9 ライトシアン  -  -  - 15.39
10  -  - 20.84  -
11 マゼンタ  -  - 21.15  -
12  -  - 20.77  -
13 シアン  -  -  21.10  -
 14 ライトシアン  -  -  22.07  -
15 マゼンタ  -  - 21.33  -
16 シアン  -  - 21.71  -
17 マゼンタ  -  - 21.69  -
18 ライトシアン  -  -  - 15.41
19 シアン  -  - 20.16  -
20 マゼンタ  -  - 21.42  -
21 ライトマゼンタ  -  - 20.78  -
22 ライトマゼンタ  -  - 20.48  -
23 黄色  -  - 21.28
24 黄色  -  - 19.69  -
25 ライトマゼンタ  -  - 20.12  -
26  -  - 21.77  -
27 黄色  -  - 20.72  -
28 ライトシアン  -  - 19.75  -
29 ライトマゼンタ  -  - 21.10  -
30  -  - 21.74  -
31 ライトマゼンタ  -  - 21.25  -
32 ライトシアン  -  - 20.62  -
33 黄色  -  - 21.49  -
34 マゼンタ  -  - 20.40  -
35 シアン  -  - 20.80  -
36 黄色  -  - 21.24  -
37 ライトマゼンタ  - 20.00  -
38  -  - 21.39  -
39  -  - 21.03  -
40  -  - 22.08  -

※「本当に空」とはリセッターで初期化して本当のインク切れまで使用したもの

(リセッターについては関連記事で紹介しています)

インク残量率の計算

上記測定結果からインク残量率を計算する
残存率とは、当初の満杯のインクが、プリンタのインク切れの表示時にどれだけ残っているかである。

①新品時の重さ

未使用のカートリッジ本体の重さで、上記表の新品本体のみ:32.00g

②交換時カートリッジ重量

プリンタで表示でインク切れになって交換したものの重さで、上記表の「インク切れ表示で交換時」の列の平均値:21.03g

③空の重さ

通常のインク切れしたものを初期化して本当にインクが空になるまで使用したカートリッジの重さで、上記表の「本当に空」の列の平均値:15.44g

④新品時インク量

①新品の重さ-②空の重さ = 16.56 g

⑤交換時残存インク重量

②交換時カートリッジ重量-③空の重さ = 5.59g

⑥平均残存率

⑤交換時残存インク量 ÷ ④新品時インク量 = 33.8%

なんと平均で 三分の一も残っていた のである。

なぜこのような仕様にしているのか

交換したインクカートリッジにインクがたくさん残っているのはエコに反し実にもったいない。 PM-A900はかなり古い機種だが、おそらく他の機種でも似たり寄ったりであろう。

なぜこのような仕様にしているのか考えてみた。
根本問題はインク残量を正確に検出できない・していないことだろう。 ネットの情報によるとインクカートリッジのICチップに「回数」を記憶させているらしいが、一回あたりのインク消費量が一定でないだろうからインク残量もアバウトにならざるを得ない。 廃インクの件(*注1)もそうだが、回数でインク量を測定したことにしている設計思想を疑いたくなる。

では、インク残量が正確に測定できないことを前提になぜ今のように残量が多くても印刷できない仕様にしているのか
①インク切れで色調が変わる等の印刷の失敗を防ぐために余裕をもたせている
高価な用紙(特に大判)を使っている場合や連続して大量に印刷する場合などにはインク切れによる印刷の失敗は痛い。(一般的な少量印刷をする場合は一、二枚失敗したからといって問題ないが)
②故障の原因になる
インク残量が少ないまま長期装着しっぱなしにしておくとインクが固まりヘッドが詰まる危険性がある。
ここ数年間、リセッターを使用して最後まで使用してきたが問題はおきていない。
④インク自体のコストは実は安く?残存量は問題ではない。定期的に交換してもらうことが重要
ヘッドのつまりを防止するなど故障防止。あるいはインクの変質による品質低下防止。   あるいはインクの商売で設けるため?
⑤カートリッジの再利用の際、完全に使い切ってしまうと乾燥して固着し洗浄しずらい

勝手な想像を書いたが、本当のところはメーカーでないとわからない。
もし①が理由なら、残量測定が簡易法なので不正確なことを公表した上で、インク切れ表示で印刷できなくするのではなく、「残りインクが少なくなりました。かすれなどの印刷不良を防ぐため交換してください。」と表示して印刷は続行できるようにすべきと思う。

メーカーとしてもECO対応を謳うならインク量の三分の一も捨てさせていることへの説明責任があるのではないだろうか。また、正確でコストかからないインク残量測定法を、インクノズルなどと同じ位力を入れて開発して欲しい。

*注1:ある日突然プリンタが使用できなくなった。廃インクタンクが満杯になり、メーカー修理に連絡せよとの表示がでた。これも廃インクの量を測定しているのではなくヘッドクリーニングの回数が一定値に達すると満杯としている。メーカーに送って修理?してもらった(有料)ので実際にどれだけ溜まっていたかわからないが、これも相当余裕をもたせているのだろう。


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