パソコン連動タップの改造

連動タップ別記事テレビアンテナ用電源の節電で紹介しているように、節電のため録画用PCがオンのときのみテレビアンテナに電源を供給するようにしています。写真がそのために使っているパソコン連動タップです。

先般、節電型PCに変えてからパソコン連動がうまく動作しなくなっていたので、対応の改造をします。

不具合の状況

PCを更新してから内部から音がする

実は、時々内部リレーがカチャカチャ・ビビーとチャタリングを起こしていたのですが、そのまま使用していたら、これから電源を取っているアンテナ用電源が故障してしまいました。(その修理については別記事「テレビアンテナ用電源の修理」で紹介)

調べていくと、使用PCが省電力過ぎてタップの仕様に合っていないのが原因の模様。 USB端子の電源供給を検出する「USB連動型」のタップに買い替える方法もあるが、DIYが看板の当サイトとしては改造を試みることにします。

使用している機器

連動タップ
感度切替スイッチ
感度切替スイッチ

SOHO-TAPという名称のMade in Chinaの製品で随分前に購入したもの。ACプラグが抜けないように回転して固定するタイプなのだが、左に回転して斜めになったところが固定ポイントという通常と逆で使いにくい仕様になっている。

PCと連動する仕組みは「電流検知式」と呼ばれ、PCの消費電力を検知して連動出力コンセントをオン・オフする。
感度切り替えSWがあり、通常のPCではHiで使用する。使っていませんが、Loだとわずかな電力でもオンするので、使用目的によっては役に立つかもしれません。

PC

ホームサーバー機 NEC製格安サーバー機 Express5800/GT110b のマザーボードとCPUを入れ替えてWindws2011ホームサーバーとしたもので、テレビチューナーPT2を入れてテレビ番組録画機を兼用しています。

このPCは通電時間が長いので省電力になるよう構成しており、アイドル時40W以下になります。 これがタップの想定より低過ぎてチャッタリングを起こしている模様です。

連動タップの調査と改造

テーブルタップの分解

このテーブルタップはどういう回路になっているのか興味がわきます。

まず分解してみることにする。
ところが下の写真のような見たことない特殊ビスを使用しており、合うドライバーがなくて外せない。 これは 素人が蓋を開けて改造・修理したりすると火災の原因になったりします のでその対策と思われます。
仕方なく先を細く削ったラジオペンチで強引に回したら何とか外れた。

 特殊ビス特殊ビス_緩めた
ビス頭の形状(左)と緩めた特殊ビス(右)

 

下は蓋を開けたところ。基板の裏面がやにで汚いまま。裏面のマップ表示は無い。

 

 連動タップ_蓋をあけた

基板取り出し
プリント基板を外して表側の部品を見えるようしたのが右の写真。

大きい順で、トランス、リレー、オペアンプICがある。 リード線でつながっている子基板は感度設定用スイッチである。

外観からは、特に故障している部品は見当たらない。

 

回路の解析

プリント基板を調べた結果、回路は下図のようになっていました。(厳密な調査ではなく、ミスもあるかもしれません)

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なお、この回路図は水魚堂の回路図エディタBSch3Vを使って作成しました。 今回初めて使用しましたが大変使い易い良いソフトです。フリーで公開されている水魚堂さんに感謝します。

回路の分析・解釈

以下は私の解釈です。

  • パソコンのACプラグに流れる電流をトランスで検出し、ダイオードで検波、整流し直流に変換
  • オペアンプの片側で構成されたコンパレータ(比較器)で所定の閾値と比較しする  
  • 閾値を超えた信号は残りのオペアンプ(バッファーアンプ)でリレーをオンして連動ACコンセントに電源を供給する
  • 感度切り替えはコンパレータの設定閾値を変えて行う
  • リレーがオンするとその駆動電流の負荷で電源電圧VCCが下がるので、設定閾値も下がる。このためますますオン状態に傾くという、ヒステリシス効果がある。しかし、実動作では、平滑コンデンサー容量が不足しているせいかチャタリング対策は不十分である。
  • この制御回路の電源供給はトランスレス方式である。回路図で共通電位としてシャーシーアースマークを使用しているが、その対地電位はゼロではなくAC100Vで浮動している。当然、対地や他の器具とは絶縁しなければならない。

閾値電力の測定

測定中のワットモニター

測定中のワットモニター

PCの消費電力を検出して連動ACコンセントをオン・オフしているわけですが、何ワット以上でオンするのかその境い目の電力、すなわち閾値電力を測定調査します。消費電力の測定にはワットモニターを使います。右は測定中のワットモニター。

PCの代わりに電球などさまざまな機器を組み合わせて負荷を作り調べると38~39Wが閾値電力でした。(感度切り替えSWがHiのとき。Loのときは閾値電力は1W以下)

サーバーPCのアイドル時の消費電力は丁度38W程度なので、やはりこれが原因でチャッタリングが起きていたと考えて間違いなさそうです。 この連動タップの説明書は残っていませんが、PCの消費電力は50Wぐらい以上を想定しているのでしょう。

 

改造

動作感度を決めているのは、R1、R2で作られている閾値電圧なので、R2の抵抗値を低いものに交換して閾値を下げることで対策します。
R2(抵抗値33KΩ)を小さいものに交換して閾値電力を測定すると確かに下がっています。いくつか試して、最終10KΩに決定しました。 閾値電力は 38~39W だったものが 19~20W になりました。

これで安定して 動作することを確認できたので、元のようにケース内に納めてネジ止めします。ビスは汎用のビスに交換しました。


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