自転車ライトを前カゴに付けるアダプタを作成

下記前回の記事で自転車にかばんタイプの前カゴを取り付けましたが、ハンドルに取り付けたライト(前照灯)が、かばんの影になって近くの地面を照射できない問題が残りました。

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前照灯をハンドルからカゴに移せば影になりませんが、カゴを取り外したときに困ります。なのでどちらにも取り付けできるよう、前カゴ用の取り付けアダプタを作成しました。

自転車の前照灯を購入

選択基準

明るさ、防水、尾灯付き、リーゾナブルな価格の他に下記事項を考慮して決めました。

2022年6月現在では廃番となり売っていませんが、取り付け方式等似たものとして右のものがあります。

リチウム電池の充電式

以前乾電池式を持っていましたが、やはり充電式のリチウム電池が良いです。

着脱はレールはめ込み式(ロック付き)

着雑式は充電時に外す他、懐中電灯のようにも使えますし、盗難防止にもなります。この着脱が容易で勝つロックがしっかりしていることが大事です。これを実現しているのがレールはめ込み式(ロック付き)です。詳細は次項で述べます。

着脱の方式について

販売されている商品を調べると、着脱の方式に大きく分けて2種類ありました。

1.板バネクリップ方式
板バネ式の商品例

金属の板バネを利用してクリップする方式で、一般に採用されています。右はその商品の一例です。その裏面は下のようになっています。板バネが見えますね。

右商品の裏面(アマゾン販売ページより)

特徴は

  • バネのロックが効きが弱いと振動で外れやすい
    購入者評価で「振動で外れた」などの書き込みがたまに見られます
  • 逆にロックが強いと外すとき手を下に回してバネを持ち上げる必要があります
  • アダプタのDIYが容易である
2.樹脂のレールはめ込み式(ロック付き)

今回買った商品の方式で、その特徴は

  • ロックがしっかりしていて外れる心配がない
  • 取り外しが楽そう
  • アダプタのDIYはレール部を作るのが難しい

迷いましたが、ロックが確実で外れる心配のないこのレール式を選択しました。

ハンドルバーに取り付けてみるー影になって前方地面が見えない

ハンドルに取り付けた前照灯

普通にハンドルバーに取り付けると右のようになります。案の定カゴの影になる部分が見えません

前照灯を少しぐらい高くしてもだめです。

前照灯を前カゴにつければ影はできませんが、今度は前カゴを取り外しているときに困ります。

 
対応策

前カゴの取り外しに対応するため 

  • 前カゴがないときはハンドルに取り付け
  • 前カゴ使用時は前カゴに取り付け

とします。このためには前カゴに取り付けるアダプタを追加すれば良いことになります。

前カゴに取り付けるアダプタの構想

前カゴに追加するアダプタを作ります。まず構想から。

構想

  • カゴ上部のアルミ金具につける
  • ワンタッチで取り外しでき、かつ落下の心配がないこと
  • 上下角度が簡単に調整でき、かつ振動でずれないこと
  • 使わないときアダプタ部の出っ張りが小さいこと(折り畳みできる)
レール式の構造

前照灯の裏面(後述のロック穴を加工済)

右は前照灯本体の裏面で、下が取付アダプタ側です。

本体には取り付けのための溝があり、T字型を構成します。

アダプタ側はCの字型のレールがあり、ストッパーの突起があります。

本体後部下(断面がT字)をアダプタ(断面がCの字)に左からはめ込み、奥までスライドさせると、ストッパーが溝に喰い込んで固定されるわけです。

 

取り付けアダプタ

前から見たアダプタ(コの字型の様子)

 

問題はこのスライドレール構造をどう作るかです。

設計

樹脂なら3Dプリンタを使えばできるかもしれませんが、今回はアルミL金具を利用することにしました。

設計はJW-CADで断面図のような図面を書きながら進めました。

下図は横から見たところです。黒線がアダプタ本体で、上の青い部分がライトを表します。

右下の紫がカゴの金属を表します。部品ごと線の色を変えてにわかりやすくしています。

後から見た図面です。これも断面図的に書いています。

私は上記のような図面で構造を検討し部品サイズを決めていきました。私以外の見た人にはわかりにくいでしょうが、趣味ですので正式な設計図は作っていません。これらは参考程度にしてください。

支持金具は以下のようになります。

左は展開図で、このように切り出した後折り曲げて右のようなものに仕上げます。

アダプタの制作

本体部の作成

部品構成

下記材料を設計図に沿って切り出します。

  • アルミチャンネル(断面がコの字)
    厚さ1mm
 

  • アルミアングル(断面がL字)
    厚さ1mm。
    材料は等辺ですが片側を短く切って不当辺に加工します。

     
  • アルミブロック
    5mm厚の平板を切り出します。M3の雌ねじを切って結合部材として使います。

これらの形を整え、穴あけ、ねじ切りを行います。下が揃った本体部の部品です

組み立て

これらを組立ててと下のようにアダプタ本体部ができました。

蓋部の作成

部品構成

  • 蓋板
    1mm厚のアルミ板を以前作った折り曲げ機(下記記事参照)を利用して曲げました。

    https://e-farm.org/blog-entry-29493.html

  • ローレットつまみ スガツネ BRT4-15CR

    モノタロウの商品ページより

    モノタローで見つけました。クロームメッキで先がM3のネジになっています。ナイロンワッシャ付きです。

    ネジ先がスライド部分の下から本体の穴に突き出てロックするようにします。つまみの大きさや長さも丁度都合良く、値段も税抜229円と手頃でした。

  • アルミパイプ
    外形10φ、厚み1mmのアルミパイプを切りました
  • バネ
    近所のホームセンターで購入。
  • ナット M3
蓋部の組み立て

組み立てると下のようになります。

バネはパイプの中に仕込みます。

右側の写真で動作を説明します。通常はバネの働きによりつまみネジは上方にあります。組み上がった状態ではスライド部分から先部分が頭を出して、本体の穴に入りロックします。

次につまみを下に引くとナットがパイプに当たるまで下ります。ビスの頭が引っ込みロックが外れます。

ナットはつまみを引いたとき頭が完全に出ないよう調整しますが、後ほど動作確認してから接着剤で固定します。

支持金具の作成

カゴの上部金属部分にネジ止めしてライトを支える支持金具を作ります

切り出し

  1. 罫書き
    端材のアルミ板に右写真の様に印刷した展開図を貼り付けます。この方法は罫書きの手間が省け、サイズも正確です。
  2. 切り出し
    ジグソーなどを使って切り出します。
  3. 孔開け
    ドリルで4箇所の孔(4φ)を開けます。
曲げ加工

  1. 木製ブロックの用意
    ツヴァイフォーの板を曲げ位置に合わせ他サイズに切って曲げ治具とします。
  2. ネジ止め
    右図のようにアルミ板をネジ止めします。
  3. 曲げ加工
    万力などを使ってコの字型に曲げます。
  4. 仕上げ
    ブロックから取り外して紙をめくり、ヤスリで仕上げます

下が完成した支持金具です。

 

表面

裏面

 

組み立てと完成

揃った部品

本体と支持金具、それに両者を結合する軸部品です、

モノタロウの商品ページより

  • ビス M5
  • ゴムワッシャー
  • パイプ
    内径6mm
  • ローレットノブ 大阪魂 RNSFS5
    右写真のもので、これもモノタロウで見つけました。手回しナットです。ネジはM5、外形は20mmです。ステンレス(SUS303)ですが、値段も税抜249円と高くありません。

 
本体と支持金具を組み立て

組立後、前から見たところです。レール形状をL字金具で構成しているのがわかります

下は鳥瞰したものです。

ロックピンが少し出ています。ライトをはめ外しするときは下のノブを引いて引っ込めます。

回転固定ネジ ビスは空回りしないよう支持金具に接着剤で固定しました

板が薄く皿ネジは使いにくかったので低頭ビスを使っています。それで頭が1mmほど頭が出ています。スライド部分が心配だったのですが、奥なのでこのままで問題ありませんでした。

 
本体のロック穴の加工

本体のロック用穴は長方形のスリットですが、今回制作のものはビスの先ですので円形が必要です。従来のスリットの中央に丸穴を彫って対応しました。当初の本体の裏面写真はその加工が既に済んでいます。

ライトを取り付け

試しにライトにアダプタを付けてみます。

差し込みがやや硬かったのでビス止めのガタを使って調整しました。

ロックはうまく機能し、ビスの出具合も丁度いい感じです。ナットを接着剤で固定しました。

 

前カゴバッグの加工

右写真のように、かばんの口(上面)はアルミパイプを扁平にしたような金具でできています。ここにライトを付けるための加工をします。

アルミの板厚が薄いのでネジを切っても弱いし、通常のビスとナットだと裏にナットが出てしまいます。そこで今回はパイプの中にブラインドナットを仕込みます。(ブラインドナットについては後述します)

表からビスを通す孔を2個開け、ブラインドナットをつけて右のようになります

ブラインドナットは取り付け時板の背面に空間が必要ですが、今回厚みが不足するので裏面まで通し孔にしています。なのでナットは見えませんが内側から孔が見えます。実用上支障ないので孔を塞いだりせずそのままにしています。

 

ライトを付けてみると以下のようになりました。

 

 

自転車に取り付け

いよいよ自転車に取り付けです。下記写真のようになりました。

下の左写真は横から見たところです。右はライトを下に折り畳んだところです。

 

乗車位置からライトを見る

乗車位置からライトを見下ろすと右のようになります。

ゴムワッシャのおかげで、照射範囲が最適になるよう、乗りながら上下角度を調整できます。調整後のズレもありません。

 

上からアダプタを見たところ

ライトを取り外したアダプタ部は右のようになります・

 

使ってみて

下記のように意図どおり便利に使えており、不満はありません。

  • 明るさや照射範囲は問題ない
  • ゴムワッシャーの効果で振動で角度が変わることはない
  • ライトが荷物の出し入れのじゃまにならない
  • ワンタッチで外せて懐中電灯として使える

反省

レール式は工作の敷居が高かったがアルミL字金具を利用してうまくできたと思う。ただ全体として手間と材料費がかかってしまいましたが、趣味のDIYとしては大満足です。

あと、今考えるとカゴの下に残っている金具に取り付ける方法もありました。ただ照射角度が水平に近くなるのでやや見にくいのではないかと思います。

ブラインドナットについて

ブラインドナットとは

例えば、「金属板でできた箱の内部にボルトを仕込みたいが、手が届かない」というときに役立つのがブラインドナットです。手が届かない(見えない)板の背面に仕込めるナットで、リベットナットとも呼ばれます。

ブラインドリベットをご存知でしょうか。そのナット版ですね。

ブラインドナットを取り付けるのに使う手工具をハンドナッターといいます。
私はモノタローで買いましたが、同じようなものが右のようにアマゾンで売っています。

これはM3~M12サイズまで対応するかなり本格的なものです。小さなナットしか使わないなら、片手でかしめる簡易なものもあります。

 

しくみ

ブラインドナットは予めメネジが切ってあるブラインドリベットのようなものです。

  1. 板にブラインドナットが通る穴を開けます
  2. ナッターの先にあるオネジにブラインドナットを取り付け、板の孔に通し押し付けます。
  3. ナッターのハンドルを閉じてブラインドナットを強く引きます。
    すると潰れるようにかしめられて板に固定できます。
  4. 後はオネジを回してナッターを外せば完了です

手工具でかしめるので硬すぎる材質は無理があり、ナットの材質はアルミか軟鉄が多いです。

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