過去の記事で紹介しましたが、滋賀県竜王町に室町時代のものと推定される石造の仁王尊が残っています。来る6月23-24日には年に一度の千日会(せんにちえ)という行事が開催され、仁王尊像が御開帳されます。
この仁王尊は阿形しかなく、ペアである吽形仁王尊は山に埋もれてしまったと伝わっていたのですが、数年前になんと金沢市の今枝地区で祀られていることがわかりました。
この記事はその金沢の石造金剛力士像(仁王尊)への訪問を紹介します。訪ねた時期は昨年(2019年)10月です。
竜王町仁王尊の千日祭・千日会について
竜王町の仁王尊は以下の過去記事で紹介しています。
年に一度行われる千日会の行事については
から引用しますと
西光寺跡地のお堂に祀(まつ)られている石の仁王尊(におうそん)は、足の病を癒してくださると言い伝えがあり、毎年6月下旬の千日会(せんにちえ)には、草鞋(わらじ)をお供えする風習があって平癒を願う参拝者が絶えません。前日の夜には千日祭と言って鏡集落から仁王尊までの道に浮世絵の描かれたぼんぼりが立ち並びます。
普段はお堂の扉が閉まっていて仁王尊を格子の隙間からしか見ることができませんが、両日は御開帳になります。この機会に尋ねられてはいかがでしょうか。国道8号線沿いにある「道の駅鏡の里」駐車場の奥から山の斜面を少し登った所です。
金沢市を尋ねる
金沢にある仁王尊は
- 住所:金沢市長土塀1丁目16番6号 (長土塀地区)
- 名称:今枝仁王尊(いまえだにおうそん)金沢市指定文化財
詳細については金沢市のホームページ(下記)で紹介されていますので参照ください。
2019年10月、竜王町歴史倶楽部の有志メンバーは石川県金沢市今枝町にある仁王尊を訪ねました。予め連絡をとっていた先方の関係者の方が出迎えてくれ、現地を案内していただきました。
立派なお堂に祀られていた
下は仁王尊が祀られているお堂です。竜王町のお堂より断然立派です。
仁王尊を拝観
祀られているお姿
中に入ると下のように祀られていました。
幕を撮って詳しく観察させてもらう
通常は上記のようにお祀りされているのですが、今回特別に幕を取って見せていただきました。まず正面から
両仁王尊を比べるとサイズ、全体の印象、石の質感、細部の造作など、どこを見てもペアであると確信できます。
今枝仁王尊の由来
右はお堂の入り口に掲げてあった由来書きです。ポイントを要約すると
「今枝氏は豊臣秀次に仕えていたが、文禄4年9月、加賀藩主前田利長の招きに応じて加賀藩に来た。その時この石像を牛車に乗せて遠路金沢に運び、邸内にお堂を建立して守護仏として祀った。」
そのとき荷車を引かせた牛の頭部の骨が残っていて、下のように祀られていました。
最後に
通常はここまで見せていただくことはできません。龍王町仁王尊との関係で特別に案内していただいたわけです。ありがとうございました。
我々はこの後金沢城、尾山神社、近江市場を観光して帰途に付きました。ちなみに近江町市場の名前は、町を近江商人が作ったことに由来しています。こちらでも滋賀県とつながりがあったんですね。