ディスクグラインダーは有用ですが手で持っての作業は安定しません。今回、ディスクグラインダーを取り付けて切断機として使えるスタンドを導入しました。これと関連して125mmのディスクの使用についても併せて紹介します。
目次
安全について
ディスクグラインダーは金属の研磨や切断などに大変便利ですが、剥き出しの刃が高速回転する大変危険な工具です。取り扱い説明書には下記注意点が明記されています。
- 作業時手袋、保護メガネ、マスクなどの保護具を着用
- グラインダーメーカー指定のディスクサイズを使うこと
- 付属のカバーを外して使わない
今回紹介する内容は上記2,3に抵触する内容です。
私は、なぜ危険なのか下記のように理解した上で対策も紹介していますが、保証の限りではありません。同様のことをされる方はもちろん自己責任になります。
ディスクサイズ
直径100mmの砥石は円周の長さが短く、効率的な研磨に必要な周速を得るため回転数が毎分11,000回転程度と早く設定されています。
これに大きいディスクをつけると周速度が更に速くなるため危険なのです。また能力以上の負荷がかかるため工具の寿命に影響を及ぼす可能性があります。
砥石カバー(保護カバー)
加工時の飛散物から身を守るぶためのカバーですので、しっかりしていないと危険です。
グラインダーに切断砥石を付けてはいけない!?
下記写真の右側はグラインダーに切断砥石を付けています。私だけでなく、このような使い方はよく行われています。
ところが、普通売られているグラインダーの説明には、「切断砥石を付けて切断できる」とは書いていないんです!
下記によると、片面カバーがついた普通の機種では法律上認められないということです。
理由は切断時は特に破片が飛びやすく危険なのです。実際「古しい砥石を使用したら刃が割れて腕に怪我をした」という書き込みがあり、両面をしっかりした材質で覆うカバー(上記写真の左側)が必要だということらしい。しかしこのタイプのカバーが付いているのはごく一部の機種で、店頭に並んでいるのは片面カバータイプばかりです。
現実には100mmタイプの切断砥石が多く売れていますが、ディスクグラインダー用としてではなくマルノコのオプションとして販売されているとか。(゚ー゚)(。_。)ウンウン それで取付孔径が丸鋸用のサイズになっているのか、と納得。
ディスクグラインダーで切断砥石を使う人は、このことを強く認識する必要があります。一般に売られているグラインダーは研磨用であり、砥石カバーもその用途向けになっています。切断用途に使うには砥石カバーを切断用に交換すべきなのです。
ディスクグラインダーをもっと有効に使いたい
さて本題ですが、私のやりたいディスクグラインダーの改善点は以下の2点です。
固定スタンドが欲しい
手で持っての作業は安定せず、正確性・再現性に欠けます。T先輩は板を取り付けてガイドにすることにより安定させる工夫をされていましたが、スタンドに固定すれば格段に安定性が高まります。
大きいディスクが使いたい
ディスクグラインダーに取り付けるディスクは直径10cmですが、これだと切り込み深さは25mm程度です。もっと深く切れるものが欲しいことが多くあります。
ディスクグラインダースタンドの導入
SK11 ディスクグラインダースタンドを購入
藤原産業のSK11ブランドのスタンド(右写真)がアマゾンで2,630円と安く販売されており、購入しました。
届いたものは箱を開けると、下のような部品キットが入っており、自分で組み立てなければなりません。
手持ちのグラインダーが古すぎてつかない
手持ちのグラインダーは下記写真の古いものです。
早速取り付けてみようと思ったのですがつきません。スタンドは、グラインダーのサイドハンドル取り付け用ネジ穴を利用して固定する仕組みですが、このグラインダーは古くてサイドハンドル用ネジ穴がないのです。
サイドハンドル固定用のネジ穴はM8またはM10が必要です。
スタンドに合うグラインダーを購入
仕方なくスタンドに合うグラインダーを買うことにしました。
選択条件
- スタンドに取り付けられること
- 本体サイズが大きすぎないこと。
- M8またはM10のサイドハンドル取り付け用ネジ穴があること
- ディスク交換時の回転止め(スピンドルロック)機構があること
- パワーが小さくないこと
- 砥石用カバー取り付けの径が大き過ぎない
単体で125mmの砥石を使うとき、それにあったカバーが必要になる。現状容易に手に入るものは右のAmazonで売っているものである。
購入者のレビューによると、取り付け部分の径が大きいと取り付けられないとのことである。 - 値段が手頃であること
回転速度可変タイプについて
安全、騒音、発熱の問題からディスクの回転数を落として使いたいことがあります。それで最初は、右の回転可変できる機種が良いと思ったが、上記4の問題でやめました。
回転可変は手持ちに外付けのコントローラー(下の写真)があるので、値段の安い固定タイプにすることにしました。
ディスクグラインダーはモノタロウのMRO-200DGを選択
DIY用のディスクグラインダーは、アマゾンでは右の物が定番になっていますが、私は当時セールで安かったモノタロウブランドのディスクグラインダーMRO-200DGを買いました。
上記1-5にすべて当てはまり一年間の保証が付いていて購入者の評判も良いので、15%割引のときに(^∀^)発注しました。
届いたものは補助ハンドル、レンチ、砥石カバー、予備のカーボンが付属 砥石カバーは鉄板が厚くしっかりしている。
’ギアのグリスが不足していた’という評価もあったので、分解して確認しました。下の写真のようにグリスはありますがギアへの付着が少ないようです。ギアにグリスを追加しておきました。
スタンドに取り付け
取付ネジはM8とM10の両方付属しており、合う方を使います。
取り付けにいろいろ調整があり、時間がかかりましたが下のように組み上がりました。
右は手前から見たところです。
付け外しで調整が狂わないよう一応考えられていますが、面倒です。付けっ放しになりそうです。
刃のカバーは樹脂で弱々しく、両面を囲うタイプではありません。前記の日本の基準では安全上問題があります。近いうちに改善策を打とうと思います。
台座に加工物を固定するバイスが付きますが、高さが低いので掴めるものが限られます。
バイスの切り込み
試用【2017年9月13日追記】
幅50mm、厚さ10mmのアルミの板を鉄用切断砥石で切断してみました。
アルミだと火花が出ずに簡単に切れます。熱はかなりでます。
切り口は右の写真のようにきれいです。
被切断物を固定する受け側の金具は切断する角度を変えられるようになっています。固定している2本のボルトを緩めて調整するのですが、正確に直角に合わすのに手間取りました。
100mm用グラインダーで125mmディスクを使用
このスタンドは100~125mmディスク」用になっていて125mmのディスクも使えます。100mmから125mmに替えると最大切り込み深さが25mm⇒35mmに改善されます。
しかし下記問題点があります。
周速度が速過ぎる
前記のように125mmにすると周速度が速くなります。この程度ならそのままで使えないことはないですが、回転数コントローラーを併用したほうがベターでしょう。また負荷をかけ過ぎないよう注意します。
取り付けの孔径が合わない
100mm用グラインダ-の軸径は15mmですが、125mmの切断ディスクの内径は、通常は22mm(一部15mmのものもある)です。これを100mmの砥石用のグラインダーで使うには、22⇒15mmの変換アダプタが必要となります。
ところが22⇒15mmのものは見つけられません。それで入手容易な22⇒20、20⇒15を組み合わせて対応します。
私が使っているのは下記写真のとおりで、いずれも購入したディスクに付属していたものです。中央が20⇒15のアダプタ、22⇒20の変換は、左側の変換リングまたは右側のアダプタを使います。後者の場合、変換アダプタ2種をそのまま重ねられないので表裏に当てれば使えました。
砥石カバー
スタンドのカバーは125mmの砥石まで対応していますが、グラインダー単体で使うときは別途125mm用のカバーが必要です。
これが探しても手頃なのがなかなかなくて、右の山新 CBA-125-CVを見つけました。
このカバーの取り付け可能範囲はグラインダー側の直径が40~45mmくらいですが、MRO-200DGは直径42mmぐらいで丁度使えました。
アルミ製のしっかりした造りで、両面をカバーするタイプで安全です。
研磨するときには片面カバーでないと邪魔になりますが、切断時ほど125mのメリットがなく別途用意する必要を感じません。
専用切断機とどちらを選ぶべきか
今回新たにディスクグラインダーを買うはめになりましたが、それなら最初から右の切断機を買った方が良かったかもしれません。一般にディスクグラインダーとスタンドの組み合わせか、いっそ専用切断機にするか迷うところです。
この関係は、電動ドリル+ドリルスタンドとボール盤の関係に似ています。ドリルスタンドの場合は精度がいまいちで、ボール盤がお薦めです。実勢価格もドリルスタンドが割高でボール盤が割安なので変わりません。
一方ディスクグラインダーの場合、鉄やコンクリート、煉瓦の切断などそれほど精度は必要なく、大物(切り込み深さ35mm以上)を切らないならスタンドとの組み合わせで十分だと思います。組み込みとセットに手間がかかりますが、コストと収納スペースを節約できますのでDIY使用ならお薦めです。