クロスバイスの改造~遊びを減らし動きをスムーズに

ボール盤での正確な位置決めやフライス加工するときにはクロスバイス(もしくはX-Yテーブル)が必需品です。私は安物のクロスバイスを買ったのですが、精度が非常に悪くて使い物にならず、自分で改造するはめになりました。

クロスバイスの購入から一次改造まで

X-Yテーブルとクロスバイス

高級なX-Yテーブル

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X-Y方向に精密に移動でき、かつフライス加工に耐える強度のものとして、例えば右のようなX-Yテーブル(XYスライドテーブルとかクロステーブルとも呼ばれる)が売られています。

上部の溝を使って加工対象やバイスを固定し、ダイアルノブをくるくる回すとテーブルがスムーズに移動します。

右のものは安い方で、ちゃんとしたものは何十万円もするほど高価です。オークションでも同様のものが出品されていますが、精度・品質のほどはわかりません。

プロクソンのマイクロクロステーブル

小型・安価なX-Yテーブルに右のプロクソン(PROXXON)のマイクロクロステーブルがあります。

私は後にこれも買いましたが、精度も悪くありませんでした。ただ、アルミと樹脂でできていますので大きな力がかかる加工には向きません。

トラスコ中山のクロスバイス

動かす原理は同じだと思うのですが、バイスをX-Y方向に移動するようにしたもので、右のように比較的安く売られています。

精度はやや劣りそうですが頑丈そうです。別途バイスは不要な代わりに面積の大きい板などは取りつきません。また背がかなり高くなるので、背の低いボール盤の首下には入りません。

モノタロウブランドのクロスバイスを買ってみた

前記のトラスコ中山のクロスバイスにそっくりな商品がモノタロウブランドで売っていたので、安さにつられて買いました。

サイズと設置

シリーズ中で一番小型(開口75mm)を買ったのですが、手持ちの小型ボール盤(SK11 SDP-300V)には大き過ぎて取り付け位置にかなり制約を受けます。ハンドルノブが3方にあるので下写真のように設置すると、バイスが左右から挟む形になり、長物だとボール盤の支柱が邪魔になります。

ボール盤への設置例。上段の左右は既に購入時と逆にしている。

その後いろいろ試行錯誤しましたが、最近は上記状態から反時計回りに45度回転した斜め設置(固定は2点止め)に落ち着いています。

サイズ的には、プロクソン(PROXXON)のマイクロクロステーブルに専用バイスを付けるのが、小型ボール盤にマッチングします。

XとYで動きが逆

回転ノブを右回転すると下側は手前に、上側は奥に移動します。ネジ棒は両方とも右ネジですが、雌ネジが下側は可動部に、上側は固定部にあるからなのです。高級機では片方を左ネジにして移動方向を揃えているようです。

精度がめちゃ悪い

棒ネジのピッチが3mmなので、回転ノブを一回転すると3mm摺動します。軸の固定カラーに0.1mmの目盛りがあるので、遊びが大きいですが一応0.1mm単位で読めます。

しかし、今回は当たりが悪かったようで、動きが固い。
上段の摺動がまともに動かないのです。こんなものをよく出荷できるものだ、検品もしていないのか! ヾ(。`Д´。)ノ
過去モノタロウで安いものをいろいろ買ってきましたがここまでひどいものは初めてです。

購入価格も安かったので不良返品しないで、何とかなるだろうと素材として色々改修して見ることにしました。

検分と調整

  • ベースとなる下段底面精度が悪く天秤します
    底をやすりで修正して平面を出しました
  • 分解して摺動部のグリスUP
  • 上下段の摺動部の隙間調整ネジ設定
    下写真の両側のビスを一旦奥に当たるまで締めたところから少し戻してナットで固定します。

    摺動部の隙間調整ネジ

    なお、中央の手回しネジは、移動後その位置に固定したいときや摺動が軽すぎるときにに使います。

  • 目盛り付カラーの固定位置の設定

    軸固定部の拡大

    右写真は支持固定部の拡大です。固定金具の両側からネジ棒の太い部分と目盛り付きカラーで挟んでいます。

    ここに隙間があると、遊び(摺動はしていないのにハンドルが回転する量)が大きくなります。かといって隙間なく強く当てるようにカラーを固定すると、ハンドルが固くてスムーズに回りません。スムーズに回る範囲で遊び(隙間)を小さくします。

以上の処置で下段は良くなりましたが、上側が妥協できる範囲の遊びでは、どうしてもスムーズに移動しません。

摺動雌ネジの位置が大きくずれている!

原因を探るため上段可動部を外してみると、
ネジ孔のセンターが明らかに左にずれている!?( ゚o゚;)
ではありませんか。(下写真)

上段の可動部を外したところ

これでは固定金具の穴の遊び範囲での調整では追いつかず、スムーズに動くはずがありません。

上段のネジ孔ズレの対策(一次改造)

軸固定金具の加工

穴を拡大した固定金具

ネジ位置のズレに合わせられるよう、右のようにやすりでボルト穴を拡大しました。

これでかなり良くなりましたが、十分ではありません。固定金具がネジに近いときと遠いときで、最適点が違うのです。どうもネジ穴が位置だけでなく角度も斜めになっているようです。

可動部の逆付けにより距離を取る

下は上段の可動部を取り外して上から見たところです。ネジ孔のある突起は中央でなく操作側に近い左側に偏っています。固定ナットと固定金具のズレはその距離が近いと効いてきますので、写真では操作部が右になるようネジ棒を逆方向から入れたところです。

逆方向からネジ棒を入れたところ

この形で上段を組みつけると、ズレの影響が小さくなり、回転ハンドルの遊びを大きめ(5目盛り)にすれば動きは全範囲でスムーズになりました。

底の干渉部分を削る

可動部を逆に取り付けた場合、固定金具が2段目の底と干渉する部分が長くなり摺動長さが減少します。それで下のように底の干渉する部分をやすりで削ることにより可動範囲を広くしました。

底を削った様子

以上によりクロスバイスとしてまともに使えるようにはなり、下の記事のフライス加工でも使ってきました。

ボール盤でフライス加工 (2)アルミブラケットの製作
先の記事でバイクのハンドルエンド(ステンレス)の加工を紹介しましたが、今回はもう少し本格的にアルミ板を加工してみます。作るものはボール盤の改造に使うブラケットです。

ただ、ハンドル回転の遊びが5目盛りと大きいのが気に入りません。何とか改善したいのですが、目盛り付カラーで固定金具との遊びを小さくするとハンドルの動きが硬くなるのです。グリースも塗ってみましたがほとんど効果がありません。

遊び改善にベアリングを試す

更に遊びを小さく軽く動くように改善するには、前回の下記記事で使ったスラストベアリングが効果があると思われ、試してみます。

ボール盤でフライス加工 (3)ボール盤のZ軸機能改造
最近の記事でおわかりのように、今ボール盤を使ったフライス加工がマイブームです。今回はボール盤をフライス盤のように使うためのℤ軸の精密移動機構とデジタルスケールを追加する改造を紹介します。

10.5φの軸に合うベアリングがない

固定金具に通る軸の直径は約10.5mmと中途半端で、丁度合う内径のスラストベアリングが売っていません。市販されているスラストベアリングは、10φの次は12φで11φがないのです。

12φ用スラストベアリングを購入

仕方なく大きいですが12φを試してみることにして、下記ベアリングを購入しました。

モノタロウ M12用スラストベアリグ

以前買ったミネベアのM6用と違い座金にベアリングの溝があります。この構造は、軸径と金具の内径差が大きくて中心が定まらない今回の場合は、却ってよくないかもしれない。

ベアリングの組付け

本来、奥へ送るときと手前に戻すときの両方の接触面にベアリングが必要ですが、上段、下段とも軸固定板の内側にスペースがありません。

それでまず外側だけに取り付けて効果を見ることにします。下写真は下段に取り付けたところ。

やはり効果はてき面で、遊びを小さくしても画期的に軽くなります。但し、当然ですが軽くなるのは右回転のみです。右回転が軽くなった分遊びを小さく設定すると左回転が重くなります。

両側にベアリングが必要

ベアリングの効果が確認できたので、軸固定板の内側にもベアリングを付けたい。さてどうするかが問題です。

上段へのベアリング追加

軸を削って小型ベアリングを付ける方法

まず考えたのは軸を10φに削って、10φのベアリングを付けることです。前回買ったミネベアのM6用と同じ小型スラストベアリングのシリーズでM10用があり、上段の内側スペースにも納まりますので購入しました。

ミネベア製スラストベアリング。写真はM6用

軸を10φに削る旋盤加工

物を丸く削りたい時に使うのが旋盤という機械です。我が家に旋盤はありませんのでボール盤を使って旋盤加工をやろうと思います。この場合、問題は削る対象である軸をどう固定するかです。

ネジ棒のドリルチャックへの取り付け

ネジが切ってある所やノブ用の四角の部分は、ドリルチャックでセンター出しながらしっかり掴むことはできません。

軸先端のネジに継ぎ手パイプ取付

軸の先端にあるノブ固定用ナット用のM8のネジがあるのでこれを利用することを考えました。このネジに継手パイプをねじ込んで取り付け、パイプをチャックで掴むのです

モノタロウでM8の内ネジ付パイプを見つけ、さっそく注文しましたが、特殊品ですので納期がかかります。

12-6のパイプの内側にネジを切る

注文したパイプの到着を待っていられず、他の用途で買い置きしていた外形12φ・内径6φのカラー(鉄パイプ)があったのでこれを加工してみました。

  1. ボール盤で6.5φの下孔をあける
    バイスに縦の切り込みがあったのでここで掴むと垂直(らしく)に保持できました。
  2. M8のメネジを切る
    最初ボール盤にタップを取り付けでネジを切ります。右手でハンドルで押し付けながら左手でチャックを回します。

ボール盤を使ってネジを切る

タップが食いついてくると、カラーが滑って回転してしまいます。カラーの表面が鏡面であるのと使っているバイスが弱いのです。

少し食いついたところで外して、下のように大型万力を使用します。

大きな万力でパイプを固定

これで何とかネジがきれました。8mmのネジを切るのは初めてですが、ハンドタップで大きなネジを切るのは大変だと実感しました。

チャック部のセンター出し

こうして何とかネジが切れましたが、精度が悪くセンターが出ていません。そうこうしているうちに注文しておいた内ネジ付パイプが届きました

届いたパイプを早速試してみると、ネジ棒の雄ネジのセンターが偏心しているのが判明しました。

困りましたが、ネジセンターが偏心した自作のパイプと組み合わせ偏心をキャンセルする方法を思いつきました。下の写真のようにビニールテープの切れ端を挟み、位置を調整しするという安易な方法です。怪我の功名でこれでもなんとか芯ブレが実用範囲に収まりました。

軸の切削のため、旋盤加工のセッティング

写真でわかるように持っているバイスやクランプを総動員してボール盤で旋盤加工のセッティングしていますが、以下少し説明します。

ネジ棒の下端の固定

軸の下端は、ボール盤の台座に置いたバイスで保持したボールベアリングで受けています。

息子のバイク改造で余ったベアリングに内径15mmのものがあったので使いました。軸のネジの外形は約13.5mmですのでビニールテープを巻いて太くしています。ベアリングの内側を上下動する範囲でできるだけ隙間がないようにテープの長さを加減しました。

以上で加工に支障のない程度に芯ブレなく軸が回転するようになりました。

切削バイトの固定

切削バイトはオークションで小型のものを入手しました。本来買ってから自分で研ぐものらしいですが、今回はそのまま使っています。固定はプロクソンのマイクロクロステーブルに専用バイスを取り付けたもので保持しています。

切削作業

セッティングができたのいよいよ切削作業です。初めての旋盤加工ですが、切削量さえ小さくすれば意外と簡単にできる印象です。

切削距離が長いので上下2段に分けて作業しました。下は上側が終わり下側を削っているところです。

旋盤加工 軸を削っている様子

最後にハンドル取り付け用の四角部分も10φを超える部分を削ります。四角形の角が取れますがハンドルの固定には問題無い程度です。

ベアリングの組み込み

軸が削れたのでベアリングを組み込みます。軸固定金具の内径がそのままなので隙間が大きくなりますが、今回はそのまま使います。下写真のように軸固定金具の両側に10φのベアリングを入れるだけです。

ベアリングを組み込んだ様子。上下逆さにしています。

下は操作ハンドル側から見た様子です。

横から見たところ

結果、軽くてガタがなく、非常に快適になりました。
目盛り付カラーを目一杯寄せて固定しても動きが硬くなりません。この時、摺動固定時のダイアルの遊びが1目盛り(0.1mm相当)と小さいです。

下段へのベアリング追加

下側はネジ棒が長くて削れない

下側も上側同様に改造したいのですが、ネジ棒が長すぎてボール盤の下に入らないため、旋盤加工ができません。

軸固定金具を浮かして12φのベアリングを取り付ける

それで、こちらは軸固定金具を前に出してスペースを作る方法を採用しました。

下記写真のように、金具を固定するM6のボルトを長いものに交換し、ボールベアリングが入る長さ分前に出してナットで固定します。

両側にベアリングを組み込んだ

一番奥に11φの座金、ベアリング、固定金具、ベアリング、目盛り付カラーという順に入れています。11φの座金は、軸内側の外径が11.5φ、ベアリング内径が12φなので必要です。

下は裏側から見た様子です。

裏側からみたところ

軸に対しベアリングの内径があっていないので芯ずれのようなことにならないか懸念しましたが、実際はそれほど問題なく動作しました。これで下側もベアリングの効果で軽くスムーズになりました。

摺動固定時のダイアルの遊びは、こちらは2目盛りに改善しました。

改造の完成

以上の改造で、ガタ無く遊びが少なくて動きが軽い快適なクロスバイスに仕上がりました。

完成の姿

頭初の写真が改造が完成したバイスの全体像ですが、真上から見ると下の写真のようになります。

改造が完成したクロスバイスを真上から見たところ

更に改善するとすれば
  • 上下段の固定金具を作り直す
    軸に対して固定金具の内径をあわすのですが、いつか暇な時にやることにします。
  • 固定をカラーでなくナットで行う
    軸にM10のネジを切りナットで確実に最適点に固定しようというものです。ネジ切りのハードルが高いです。

今回の購入したバイスは摺動部分の直線性やネジ山自体の精度は出ています。品質管理をちゃんとすればいい商品になるのに、品質を良くしようという意識が弱いとできないものなのですね。

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