三上山(近江富士)登山と御上神社

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11月下旬友人と三上山(みかみやま)と御上神社(みかみじんじゃ)へ行ってきました。三上山は住んでいるところから比較的近いのにこれまで登ったことがなく、今回が初めてです。

三上山と御上神社

滋賀県・琵琶湖の東南、中山道沿いにある標高432mの三上山は、その美しい姿から近江富士とも呼ばれますが、稜線が富士山より急に見える小高い山です。かつては神が宿る神体山として御神山と呼ばれ、その里宮・御上神社が麓に鎮座します。またこの山を7巻半していた「大ムカデ」を武将「俵藤太」が弓矢で退治したという伝説からムカデ山の別名もあります。

ルートとアクセス

山頂までの登山道は、御上神社側からの表登山道裏登山道の2ルートの他、反対側の近江富士花緑公園側からのルートもあります。

御上神社前近江富士花緑公園に無料駐車場・トイレがあります。裏登山道登り口にも6台ほど駐車できますが、トイレはありません。公共交通ならJR琵琶湖線野洲駅から御上神社や裏登山口まで歩いて15分弱くらいです

三上山登山

御上神社前駐車場に車を止め、裏登山道登り口を目指しました。

裏登山道登り口から表登山道へ

最初、国道8号線「御上神社前」の信号から東に向かって歩いて道に迷いました。正解は一つ北の「三上」の信号を東へ入っていくと自然と裏登山道登り口に到達します。登り口の広場は車6~7台が止められる駐車場になっていました。途中から表登山道へも行けるので、ここが一番利用の多い登り口となっているようです。

登り口の近くには、下の写真の石の作品が有りました。有名な俵の藤太(藤原秀郷)の大ムカデ退治伝説にちなんだモニュメントでしょう。大ムカデは三上山を7巻半していたといいますが、一番下を台座とすると7巻半のあと頭を上げているように見えます。「7巻半とはハチマキに少し足りないということか」という突っ込みもありますが、それにしてもそんなムカデが目の前にいたら…。

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表登山道へ進む

イノシシ対策のゲートを入り少し行くと表登山道への分岐点があります。今回は、登りは表登山道(健脚向き)、下りは裏登山道(初心者向き)の計画ですので、表登山道へ進みます。

しばらく行くと妙見堂跡がありました。

妙見堂跡

ここを過ぎて林の中の登山道を進みます。道は整備されていますが、上るにつれ勾配が急になり、足に応えて日頃の運動不足を感じさせられます。

割れ岩

表登山道を登っていくと、途中に割れ岩への分岐があり、私たちは割れ岩へ進みました。

“巨岩の間の隙間を人が通る”のは県下では「太郎坊神社」が有名ですが、これはもっと細いです。太っている人は通れないのではと思う程の隙間があり、写真のように私はリュックを降ろして通過できました。

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写真のように下側は急坂ですが、鎖があるので初心者も楽しめるポイントです。

足に応える岩のコース

割れ岩から上は頂上までは岩の登山道となる。巨岩がたくさん現れ、その間や上を登る。かなり段差のある坂道が続くので、足に応える。健脚向きコースたる所以だ。

岩ばかりの道

岩ばかりの道。小さいですが写真上部に見えているように一部鉄柵がしてある

展望台から山頂へ

途中展望できるポイントは2つあります。

最初の展望台

かなり頂上に近づいたころ、下のように琵琶湖方面が眺望できるポイントがありました。

琵琶湖方面(西方向)が眺望できる。画面中央よりやや左の一番高い頂上が比叡山

山頂すぐ下の展望台

更に上ると、次は頂上のすぐ下に展望台があり、こちらは南西方向が開けていました。

南西方向の眺望。野洲川とその向こうは湖南アルプスの山々

奥宮と山頂

展望台のすぐ山頂側に磐座(いわくら)と呼ばれる大きな岩が祭られています。その向こうに御上神社の奥宮がありました。%e5%a5%a5%e5%ae%ae

神社の脇を抜けると裏はすぐ山頂です。

山頂は平になっていてベンチがおいてあります。

ここで昼食を食べることもできるのですが、私たちは景色の良い展望台に戻りました。

持って行ったホワイトガソリンの小型コンロを久しぶりに使ってみると、炎が安定せず苦労しましたが、何とか湯を沸かすことができました。友人の愛妻弁当はもちろんでしょうが、私のカップラーメンでもこういうところで食べると実においしい。食後のコーヒーも楽しみました。

苔岩がある裏参道を降りる

帰りは裏参道で降りることにしました。こちらは初心者コースとされる比較的なだらかなので特に降りるときには膝に優しいのがうれしい。

主に林の中を通る道ですが、少し急なところや岩場もあり、岩には苔が多い。下の写真のようにその苔の岩の上を通るところもあった。

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檜皮の採取作業

かなり麓に近づいたころ、木立の中で木の皮を剥く作業している人がいた。

檜の皮剥き

原皮師(もとかわし)が檜の皮をむいていた

檜皮葺(ひわだぶき)に使う檜(ヒノキ)の皮を採取しているのだ。参考に下にWikipediaから引用しておきます。

檜皮葺(ひわだぶき)は、樹齢70年以上の充分な樹径のある檜の立ち木からむいた皮を成型した檜皮を用いる。 檜皮を取る際、ヒノキを伐採せずに表皮だけを剥がすように採取することから、環境にやさしい施工方法であるといわれる。 近年は充分な樹径のあるヒノキの減少や、原皮師(もとかわし)と呼ばれる檜皮採取の職人の減少などの課題がある。

御上神社

三上山を降りたあと、その三上山を御神体としている御上神社にお参りしました。信仰から言うと順序が逆かもしれませんが、そのかわり時間に余裕があったのでじっくりとお参りできました。

楼門

駐車場からの入り口に鳥居があり、更に進むと立派な風格の楼門があります。

御上神社楼門(正面)

御上神社楼門(正面)

御上神社楼門(背面)

御上神社楼門(背面)

楼門は鎌倉時代後期の造営。裏から見ても立派。三間一戸、入母屋造、檜皮葺。国の重要文化財に指定されている。

拝殿

楼門をくぐると拝殿があります。拝殿も重要文化財です。その奥には本殿があり、楼門・拝殿・本殿が一直線に並んでいます。

拝殿

拝殿は檜皮葺で本殿と似た構造で、かつての本殿を移築・改造したものと伝わります。

本殿

下の写真が国宝の本殿です。

御上神社本殿

御上神社本殿(国宝)

本殿の外壁には、仏堂建築にしばしば見られる漆喰の壁や連子窓があります。これは神社建築と仏堂建築の要素とを融合させた独特のもので「御上造(みかみづくり)」と呼ばれます。鎌倉時代後期の造営とされます。

摂社若宮神社

本殿の両側にも社があり、左側が国の重要文化財に指定の摂社若宮神社です。社殿の屋根は檜皮葺で鎌倉時代後期の造営。

摂社若宮神社

摂社若宮神社

国宝、重要文化財が身近に

これまでの紹介したように境内には国宝の本殿のほか、拝殿・楼門・摂社若宮神社(いずれも国の重要文化財)などの社殿があります。しかも、その国宝や重要文化財が無料ですぐ目の前で見られ、手で触れることさえできます。

意外に思われますが、京都は戦国時代の度重なる動乱で中世以前の建築物がほとんど焼失してしまっているのですが、滋賀には(一部は織田信長の焼き討ちにあったものの)中世の貴重な建築物・文化財が数多く残っているのです。

このほか、御神神社には国の重要文化財指定の木造狛犬(京都国立博物館寄託)が伝わるほか、秋季古例祭(ずいき祭り)は国の重要無形民俗文化財に指定されています。

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