夏は雑草がよく伸びて草刈が大変ですが、草刈機として回転刃式の刈払い機が一番よく使われています。 その刈払い機用のアタッチメントもいく種類か売られていますが、私は写真のような「バリカン名人L型」なるものを5年前に通販で買って使用しています。
最近これが故障したため、例によって自分で修理を試みることなりました。
バリカン名人とは
バリカン名人て何?
写真のように、草刈の刈払い機につけるアタッチメントです。
刈払い機の回転刃を外して代わりに取り付け、バリカン形式の刃にできるものです。
私が使用しているのは、ニシガキ工業製 バリカン名人 L型400(型番N-831)です。 刈刃は劣化してきたので一度交換しました。
ニシガキ工業は「播州三木打刃物」で知られる兵庫県三木市にあり、リンク:ニシガキ工業 草刈機用バリカン のように他にも種類を出しています。
長所
- 回転刃より安全
石が飛ばないし、際ぎりぎりまで刈れる。硬いものに当たってもキックバックが無い。
刈払い機での事故は振り回している時に起きることが多いが、これは平行に移動するだけでよい。 - 斜面が刈りやすい
使い易い角度に調節でき、振り回さず平行に移動するだけでよいので、斜面刈りが楽である。 - 生垣の剪定にも使える
エンジン剪定機として使える。特に高い所は得意。
短所
- 刈払い機の先端重量が大幅に増え、疲れる
L型バリカンは1.8kgあります。刈払い機の取っ手(ループハンドル)の位置を前に移動してバランスを取るのですが、左手が非常に疲れます。
おそらくこの対策のため、別売の車輪もあるが、完成度が低く使いにくい。 - 上下角の変更はレバーでワンタッチだが、水平角の変更はボルトが3箇所なので面倒
- 刈刃が特殊
交換刃は本体同様ホームセンターには無く通販で買うことになるが、汎用品ではないのでコスト高。
- 取り付け・取り外しは簡単でない
回転刃と両方使う場合の取り替えは面倒。一度つけたら専用になるだろう
このため私は回転刃用とバリカン刃用の2台の刈払い機を持っている。
このバリカン名人は、自走型草刈機を持っている人が、溝など刈り残し部分を刈るのには最適でお薦めです。
故障と交換部品の入手
ある日、使っていると突然刃が動かなくなった。ゴミを取り除いてエンジンを高回転にしても刃が動かない。
故障箇所
バリカン名人のギアケースの蓋を開けてみました。 刃を動かすためのカムがグラグラです。右の写真のように、カムがついている軸(出力軸と呼ぶ)が折れていました。
破断面を見ると半分ほど色など状態が違うので、この軸は最初から欠陥を持っていたと思われる。
残る軸の根元部分を取り出すためにギアケースの分解をしました。 分解途中の写真は省略<(_ _)>しますが、後で述べるように苦労しました。
最終的には残っている出力軸とそれについているもの(傘歯車、ベアリングユニット)を取り出すことができました。
部品の入手
販売元のニシガキ工業に連絡したところ、故障品を送付すれば修理する(有料)とのこと。
自分で修理したいので部品だけの供給を依頼したところ、応じてくれた。軸とカム、角座板の部品代に送料を合わせて2千円弱だった。 角座板は一個紛失したため購入した。 頼んだら分解図なるものもつけてくれた。
以前にボルトが折れたときも無料で送ってくれたが、アフタサービスが親切な会社だ。日本製は買うときは高いけど、こういう時は良かったと思う。
組み込み
分解も苦労したけど、組み込みもよ~く考えないとできない。
傘歯車、ベアリング、出力軸の取り付け
部品が揃ったところで組み込みの検討に入る。
右は出力軸にベアリング、傘歯車、カムを仮付けして、ケースに組み込む手順を考える。 こういう修理では、本来なら古いグリースを全てきれいに取り除くのですが、手抜きしてます
(^_^;)
右は、出力軸の傘歯車(大)に、中間軸の傘歯車(小)を組み付ける最終的なメージを確認しているところ。
写真左の一部見えているのが刈り払い機に取り付ける入力軸の金具で、エンジンの回転トルクは入力軸から中間軸、出力軸へと伝わる。 各軸の接点は傘歯車になっていて、回転数ダウンを行うと同時に回転軸の方向を変えて、刃先の方向を自由に変えられる機能を実現している。
出力軸の組み込み手順は以下のようにした。
- ベアリングユニットを組み込む
ケースの内側からなのでやりにくいが、はめ込み/叩き入れた。 - 出力軸をベアリングユニットに取り付ける
ベアリングをケース内側から支えながら外から叩きいれた。 - 傘歯車を出力軸に取り付ける
ねじ込み式だが、どうせ使うと締まるので強く締める必要は無い。
右は上記の組み込みができた様子。
中間軸(横軸)の取り付け
次に中間軸を組み込む。
そのままでは傘歯車同士が当たりうまく行かない。中間軸の小型傘歯車を奥に一旦スライドすると出力軸の傘歯車との噛みあわせがうまく行った。
ギアが噛みあったら、ギヤボックスを閉じ、両側に出てくる中間軸にボルトをはめ締め付ける。(右の写真)
中間軸を締めたボルト部はゴムキャップで防護する。 右は先ほどと反対側だが、ゴムが劣化してひび割れてきている。
カム部の組み立て
カムの入るボックスに出力軸を出して、3枚の角座板で抑える。
次にいよいよ2枚のバリカン刃を、カムにはめ込む形で組み込みます。
右は組み込んだところですが、この後たっぷりとグリースをつけます。
ダイカスト製の蓋をして、その上から更にスチールのカバーをして共締めします。右が蓋をしたところです。
これで完成です。早速試運転してみると問題なく動作しました。
\(^▽^)/
苦労したところなど
今回の修理ではかなり苦労しましたので、その辺を記録しておきます。
途中から分解できない
右図までは容易に分解できたが、ここからが進まない。
見えているのは中間軸の傘歯車ですが、左側からボックス内に入っている出力軸(写真では奥まって見えていない)とその先についている傘歯車を取り出すことができない。二つの軸の傘歯車の噛み込みを解消して取り出す方法がわからないのです。知恵の輪のようだ。 お盆の間ずっと悩んでいました。
お盆明け再度トライして、各軸はベアリングユニットで支えられているが、そのベアリングユニットは叩いて外せることに気が付いてやっと分解することができた。
傘歯車とカムを折れた出力軸から外せない
折れた出力軸の両端には傘歯車とカムが付いている。再利用のため外そうとするが外れない。
それぞれねじ込みであるが、どうしても緩まないい。もちろん左ネジでないか確認している。 エンジンからの駆動するトルクが常に締めるように働くので、使用中により硬く締まっていくのだ。メーカー修理では部品を外さず新品交換するのだろう。
傘歯車は以下のようにして外した。
右の写真のように、ヤスリで削って出力軸に溝を掘った。
通常のドライバーでは力が入らない。 右の写真のように小型万力に鉄片(古い小刀)を挟み、ドライバーとして使って緩めることができた。
しかし、カムはどうしても外すことができず、あきらめて交換部品を購入したわけである。
分解部品の整理と手順の記録など組み立て時への配慮が大切
今回分解した角座板を紛失しましたので、以下は反省をこめて書きます。
①分解した部品を整理しておくこと
全部一緒くたにするのではなく、使用場所ごとにグループ分けして箱にいれると良い。
②組み立て時のことを考えておく
・部品の入手などで時間が経過すると分解時のことを忘れてしまうので注意
交換部品だけでなくその組み立て図を入手する。今回分解図なるものをつけてくれたので助かった。
・分解途中の写真を要所で撮っておくと後で役に立つ。
余談:切手代用支払い
今回、部品代の支払いは切手でOKということで、全額切手で支払った。 昔の通販では、よく「切手代用可」というのを見かけたのを懐かしく思い出しました。
しかし額面の指定も無く、使用するとき不便ではないのか、といらぬ心配をしてしまう。 そこで郵便局へ行ったついでに聞いてみたところ、切手の額面交換には手数料5円がかかるが、料金別納郵便などの窓口支払いでは現金代わりに使えるという。
そうか、(゚ー゚)(。_。)ウンウン 切手は郵便局発行の通貨だったんだ、と納得しました。