昨年は葉を虫に食われ全然だめだった枇杷が、今年は写真のように沢山成りました。
近所や親戚知人などに上げてもたくさん残ったので、コンポート、ジャム、ジュース、枇杷酒に保存加工しました。
これを梅仕事に倣って枇杷仕事と勝手に呼ぶことにしました。
(2016.6.17、2017.7.2)その後の経験を加味して加筆・修正しました。
枇杷の前処理
枇杷の処理は忙しい
- 枇杷はぼけたような甘さと表現されますが、未熟だとますます物足りません。
かといって長く木に残し過ぎると、しぼんだり腐ったりして落ちてしまいます。 - 収穫した実の追熟的なことはできず、収穫後どんどん痛んでいきます。
- 表皮は簡単に剥け、大きな種も比較的簡単に取り出せるのですが、種の周りの薄皮と小さな種を取るのが面倒である。
- 表皮を剥いたあと空気中に放置すると黒っぽく変色する
このように梅仕事以上に急がなくてはなりません。しかも梅とほぼ時期が重なるので大変です。
手間がかかる枇杷の前処理を一番効率よくする方法はないかと試行錯誤した結果が以下の方法です。コンポート、ジャム、ジュースを作るときに、ほぼ共通の作業です。
枇杷
枇杷の軸は残して収穫する。軸を少し残して切り取るのです。なぜなら軸を取ると穴が開き細菌が入って腐りやすくなるからです。
枇杷以外の用意するもの
- ボール 剥いた枇杷を入れておくもの
- 鍋(湯を沸かしておく)
- すくい網 またはザル
- 水:1Lくらい
- クエン酸(食用グレード):小さじ1
健康食品としても注目されていますが、掃除にも大活躍してくれます。 - ナイフ 枇杷の実を切り割るのに使う
- スプーン 種や薄皮をとるのに使う
枇杷の前処理
- ボールに水とクエン酸を入れ、割り箸などでかき混ぜてクエン酸を溶かす
変色防止のため剥いた実を入れるものです。ただの水でも良いが、レモン水やクエン酸のほうが効果が高い。 - 枇杷10個程度を5~10秒間沸騰させたお湯につける
洗う手間を省きつつ、消毒効果を狙います。
私は、鍋にお湯を沸かし枇杷をいれ、30秒後網ですくい上げましたが、ザルに入れて湯通ししても良いでしょう。うどんの湯通しのような感じです。
(2016.6.16追加)お湯に漬ける時間は10秒で十分と思います) - ナイフで切り目をいれ半分に割る
少し冷めたら残っている軸を取り、枇杷を半分に割るように切ります。お尻のほうからナイフを入れたほうがやりやすいです。 - 種を取る
大きな種は簡単にとれます。薄皮と一緒に小さい種が残っていることがありますのでこれも逃さないようにとります。 - 種の周囲の薄皮と小さな種を取る
スプーンを用いて取りますが、これが一番面倒。簡単に剥けることもあるが、てこずることが多い。 薄皮の間に残っている小さな種も一緒にとる。種は色が黒いので見分けがつきます。- 薄皮は残っていても食感に問題ないと感じますので種だけはきちんと取れば良いと思います。(2016.6.16追記)
- 種と薄皮の黒い部分だけを取りジャムにしましたが全然大丈夫でした。(2017.7.2追記)
- 表皮をむく
お尻のほうからむく。お尻の部分の硬いところを一緒にもぎ取るようにする。 最後に表皮を剥くのは、前の過程で、表皮があったほうが持ちやすく作業しやすいため。 - 果肉のみをボールに入れる
種はいろいろと利用する方法があり、利用するときは捨てないで摂っておく
3~7まで湯通しした枇杷全てできるまで繰り返す。できたら次の10個の湯通しというように全ての枇杷を処理する。
以上の手順は一番丁寧に処理する場合で、種や薄膜が残っていても良い場合はその処理を省略します。
コンポートを作る
まずコンポートをつくります。要するに砂糖煮にすると果物の缶詰とほぼ同様なものになります。
用意するもの
【用具】
- 鍋:ホーローかステンレス鍋
ステンレス鍋は熱が拡散しないため焦げやすいので注意(2017.7.2追記) - 保存容器:蓋付の広口の瓶
私は蜂蜜が入っていた空き瓶を使いました。 - ザル:前処理した枇杷を水切りするため
【材料】
- 枇杷:1kg(前処理する前の重さ)
- 白ワイン:200ml
- 水800ml
- グラニュー糖:160g
- レモン果汁:大さじ2
煮る
- 前処理したボールの枇杷をクエン酸水ごとザルにあけ、軽く水で洗いして異物が混入していないか確認し、あれば取り除く。
- 鍋に枇杷以外の材料をいれ、少し暖めてグラニュー糖を溶かす。
- 前処理済みの枇杷を鍋に入れる(右の写真)
- 沸騰後弱火で10分程度煮ます。
瓶詰め
- 瓶を消毒する
少量のホワイトリカーを瓶に入れ、蓋をして振り、ホワイトリカーを捨てる。 - 鍋から瓶に移す
熱いので気をつけて瓶に移します。
右はできたコンポートの瓶詰め(2回分)です。
冷めたら冷蔵庫に保存します。
長期保存したいなら、下記のジャムと同様に瓶詰め後の下煮沸消毒を追加すると良いでしょう。
ただし瓶が大きくなるとそれなりの大きい鍋などを用意する必要があります。
下記のジャムのところで紹介している広口の電気ポットは丁度良いですが、自己責任で。
種を取らず丸ごとコンポート
先にも書いたように種の周りの薄膜を取るのに手間がかかるので効率化できないかと調査してみると、リンク
に例があり、これを参考に種を取らずにコンポートを作りました。
- 枇杷の前処理
種なしと同様に湯通したあと、表皮を剥くだけでまるごとボールに入れていきます。つまり上記前処理の3.4.5.の工程を省略します。 - 後は種無しコンポートと全く同じ処理します
この方法は効率が非常に良いです。前処理が正直苦痛だったのですが、これならすいすい進むので苦になりません。
出来上がったものを食べてみると、口に入れてから種を出しますが生食するときもおなじですからそれほど気になりません。おまけに種の仁の味も出てきています。
処理のスピードが速いことは大きな利点で、来年からは余った枇杷は全てこれにしようと思います。
ジャムを作る
用意するもの
【用具】
- 鍋
ホーロー鍋が最適。ステンレスは焦げやすいので注意。 - 深めの鍋または広口電気ポット
ジャムを瓶ごと煮沸するのに使います。普通は深め鍋を使います。
私は電気ポットを使いました。ただしメーカーの想定外使用なので自己責任です。 - 蓋付保存瓶
市販ジャムの空き瓶の再利用可。空き瓶目的で外国製等の安いジャムを買う手もあります 100円ショップにもジャムがありました。もちろん各種サイズの瓶もあります。ただし、長期保存のためには金属製の蓋付であることが必要です。 - へら
枇杷の果肉を切る(つぶす)ことが出来るもの - トング
以前は料理箸とミトンでやっていましたが、Amazonで右のトングを買いました。(末尾にリンクを記載)
これを使うとビンの煮沸消毒が楽になります。
【材料】
- 枇杷:1kg
- グラニュー糖:200~300g
白砂糖でも可 - レモン果汁
上記の前処理でクエン酸につけた場合は無しでも良い。 - ペクチン:適量
ジャムにはよく使用されるペクチンは、りんごから抽出して作るらしいのですが、高価です。
枇杷ジャムは固まりにくいので、右のペクチンをスーパーで見つけ購入しました。(末尾に記載のようにamazonでも売っています)
内容は11gの袋4個入りで、成分表示はグラニュー糖74%、ペクチン25%、乳酸カルシウム1% 。説明の使用例では、イチゴ200gに対し一袋でした。
作り方
-
- 枇杷の前処理
基本的に上記の通りにしますが、内側の薄皮は残っていても大丈夫です(黒くなっている薄皮は取ります)。種は小さいものも含めて完全に取り除きます。 - 鍋に前処理した枇杷を入れ、その上に砂糖を入れます
下の写真で、左は砂糖を入れた直後ですが、かき混ぜて暫くすると溶けた砂糖と果汁で右のように液が上がってきます。
- 枇杷の前処理
- 中火で煮ます
焦げつかさないようかき混ぜながら煮ます。 - 途中かき混ぜながら、大きい果肉を小さくする。
平の金属へらでかき混ぜながら、大きい果肉を切りこみました (写真右)。 - ある程度水分が減り少し粘りが出てきたらペクチンを入れる(※注)
少量をまんべんなく振りかけてはよくかき混ぜる。5gの小袋を使い切るまで繰り返しました。 - 更に煮る
焦がさないように更に煮てとろっとしてきたらOKです。この段階ではジャムらしくはなりませんが、冷えたらよい固さになります。
※注:以前はペクチンをあらかじめ水で溶いておく方法でしたが、一旦水分が増えるのでいまいちです。今回はペクチンを水に溶かさず直接振り掛ける方法で作ったところうまくいったので修正しました。(2017.7.2)
長期保存のための瓶詰め処理
次に紹介するのは私流の瓶詰め法ですが、火傷には十分注意して下さい。
- 瓶を消毒
少量のホワイトリカーを入れてふる。または熱湯消毒する。 - ジャムを鍋から瓶に移す
大き目のスプーンなどを用いて移します。
この段階ではジャムは汁気が多くて、ペクチンの効果がありません。 - 瓶ごと煮沸消毒
電気ポットに入れ、蓋を軽く乗せておいて再沸騰させる。このときトングを使うとやりやすい。 - 蓋をする
キッチンペーパーを折って右手にもち、軽く蓋を閉める。(持ち上げ時落下しない程度)。
次に右手で瓶を持ち上げ、ミトン(手袋)をした左手で底を持つて蓋をキチンと閉める。- 冷めると強力に締まるので蓋を強く締める必要はありません(2017.7.2追記)
- トングがあれば一旦取り出して蓋をする方が安全です(2017.7.2追記)
- 更に煮沸
完全を期すためもう一度湯に入れて煮る。 - 湯から上げて自然冷却。
逆さ向けに置いて自然冷却します。
金属製の蓋だと瓶より冷却による収縮率が大きいため、きっちり密封してくれます。この方法だと強くしまるため、開ける時はふた部分を暖めないと開きません。
右はできたジャム。これだけたくさんあると長期保存しなければならないので、その処理を完全にしたわけです。
なお、冷えたものはペクチンの効果が現れ、粘り気が出てき丁度良い硬さになっていました。
ジュースを作る
次はジュースにしてみましょう。 我が家にはジューサーがないのでミキサーを使います。
用意するもの
【道具】
- ミキサー
- 保存容器
- ろ過するときはその用具
私は電動コーヒーメーカーのろ過機能を使いました。
【材料】
- 枇杷 1kg
- 砂糖 800g
枇杷の前準備
- 枇杷の前処理
前記の前処理を行います。薄皮は多少残っても良いが、種は小さいものも完全に取る。 - ボールに枇杷と砂糖を入れ、混ぜる
前記ジャムの過程で紹介したように、砂糖を入れて混ぜるだけで液が出てきますので水を加えることなくミキサーにかけられます。つまり果汁100%です。
ミキサーにかける
- ボールの中身を全てミキサーに入れる
もし、水分が不足するようなら水を足します。 - ミキサーをかける
瓶詰め
できたものは果肉の成分が混じったままで、透明なジュースではありません。 舌触りを気にしなければ、このほうが食物繊維も多く摂れるので健康には良いでしょう。
数日以内に飲むならこのまま瓶詰めして冷蔵庫へ入れときましょう
ろ過と長期保存
ろ過もしてみました。
- 濾す
私は電動コーヒーメーカーのフィルタ機構を利用、フィルタもコーヒー用紙フィルタを使いました。 - 煮沸
保存のため鍋などに移し、沸騰させ過ぎないよう弱火で煮沸します。 - 瓶詰め
消毒した瓶に移し蓋をして冷まします。
右の写真は、できたジュースを氷を入れて楽しんでいるところです。ろ過で透明になり、りんごジュースとよく似た色をしています。
大変おいしいですが、作るのに手がかかり過ぎ、私には贅沢過ぎかな? ジューサーや最近流行のスロージュースを作る機械があればお勧めです。
果実酒を作る
枇杷酒
枇杷酒は今まで作ったことが無かったのですが、うわさによると格別においしいそうです。
今回、果実酒をホワイトリカーとブランデーに変えて2種類作りました。
【容器】
1 | 2 | |
広口瓶 | 5L瓶 | 4L瓶 |
【材料】
1 | 2 | |
枇杷 | 2.3kg | 2kg |
枇杷の種 | 8個 | 5個 |
氷砂糖 | 1kg | 800g |
果実用酒の種類 | ホワイトリカー | ブランデー |
果実用酒の量 | 3L | 1.8L |
レモン果汁 | 大さじ2 | 小さじ2 |
【漬け方】
- 枇杷を洗い、水分を拭き取る
これまでのように表皮を剥いたりせず、洗うだけです。
自然乾燥かペーパータオル等でぬぐいます。 - 瓶をアルコール消毒する
ホワイトリカー等を使います - 枇杷と氷砂糖を瓶に入れる
できるだけバランスよく交互に入れます。 - 酒を入れる
ホワイトリカーまたはブランデーを入れます。 - レモン果汁を入れる
- 蓋をして容器を左右に軽くまわして混ぜる
- 冷暗所に保管する
- 3ヵ月後、枇杷と種を取り出す このころから飲み頃だそうです。
枇杷の種酒
枇杷の種から作る果実酒は薬効が高いことでも知られています。 これは過去に作った分が残っており、今回は少々疲れ気味だったので少量だけ作りました。
【容器】
- 蓋付広口瓶
【材料】
- 枇杷の種 1kg
- 氷砂糖 800g
- 果実酒用お酒:通常はホワイトリカー。私は今回ブランデーを使用しました。
【漬け方】
- 枇杷の種を良く洗って乾かしておく
- 瓶に少量のお酒をいれ、振って消毒する
- 瓶に枇杷の種、氷砂糖、お酒をいれる
- 冷暗所に保管する
- 一年後種を取り出す
半年後くらいから飲めますが、一年以上置いたほうがおいしいです。
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左からペクチンの11g4袋入り、中央同じく44g10袋入り、ビン煮沸用トング、用途が広いクエン酸。