以前から風呂のシャワー付きサーモ水栓の調子が悪くて交換用器具を買っておいたのですが、まだ取替えができていませんでした。そして先日突然キッチンの混合水栓の温度調節ができなくなってしまいました。
これら二つの水栓の取替え工事をまとめて行うことにしました。
キッチンの混合水栓の取替
まず、緊急性の高いキッチンから始めました。
現状
現状は右の写真の壁付け式シングルレバー混合水栓です。
蛇口下側の空間が狭くてボトルなどに水を入れるとき不便だったので、写真のような蛇口が上に持ち上がった形のものに替えています。
不具合
レバーの動きが固くて温度調節すなわち湯水混合比の調整ができなくなりました。
元々この水栓は
- 水量調節が今の標準と逆で、レバーを下げると出る
- 温度調節が標準と逆で、レバーを右に回すとお湯が出る。
- レバーの左右位置によっては完全に止水せずポタポタ落ちる
- レバーの内部が緩んで修理していたが時間が経つとまた緩む
- 20年以上使用している
という状況だったので、修理せず新品に交換することにしました。
水道の配管の確認
湯水の左右配管は向かって左側が「湯」、右側が「水」が標準ですが、現状はその通りでした。もし反対だったら湯水の出る方向がレバーの表示と逆になるのでやっかいです。
配管のピッチ(間隔)を測定すると197mmでした。
器具の購入
INAX(LIXIL)の シングルレバー壁付キッチン水栓 RSF-561をAmazonで購入しました。品番の末尾にNが付くタイプもありますが、寒冷地用で水抜きが付いています。
取り付け可能ピッチは 120~215mmでOKです。蛇口がストレートで、このままだと蛇口下の空間が狭いので、従来の蛇口を付け替えて使うことにします。
下が購入した水栓とその部品の現物です。
交換作業
1.元水栓を止める
最初に水道の元栓を締めますが、工事中に手を洗いたいこともあり少し水を汲み置いた方が良いかもしれません。
2.古い水栓の取り外し
本体の取り外し
後ろにあるナットを緩めて本体を外します。雄ネジは本体の後ろにありますので、前から見ると時計回転で緩みます。
外した後は右の写真のように取付脚が残ります。
ナットを回す工具
ナットを回すにはスパナなりモンキーレンチを使いますが、私は以前購入した「ラチェット式たて型アルミモーターレンチ」(写真右)を使いました。本来ラチェット式で連続して回転できるハズなのにうまく動作しません(≧◇≦)
が、先に取り付けた樹脂のアダプタが、ナットに傷を付けてしまうのを防いでくれます。傷防止には、テープを巻いたり、布を当てたりしても良いです。
3.古い取付脚の取り外し
これは今回苦戦しました。
まず湯側は、取付脚を回転すると給水管が供回りするのです。「ウオーターポンププライヤー」と「万力」を使い、何とか外れました。供回りしたパイプはもう一度締めておきました。
パイプ側に「持ち出しソケット(ザルボ)」と呼ばれる延長継ぎ手が付いて残りました。
水側は、最初からウオーターポンププライヤーで掴んで共回りを防ぎましたが、こちらはザルボが取付脚にくっついて外れました。
給水管やザルボに残っている古いシールテープなどはきれいに取り除きます。
4.仮付け調査
本格的に取り付ける前に、仮付けして検討します。
今回の場合は
- ザルボの必要性
シンクの襟が取付脚の回転の邪魔になるため必要とわかります。 - ザルボは4回、蛇口も4回強までしかねじ込みできません
いずれもザルボのネジ山数で制限されます。 - 給水管の壁からの出量が同じでなく水(右側)が短いのが問題
これが今回の最大の問題点です。古い水栓は右だけパッキンが2枚入っていましたが、おそらくその対策でしょう。右が引っ込んでいる分を取付脚のねじ込み回転を少なくして合わしたいところですが、4回転から更に少なくすると水漏れし易くなるのが心配です。 - シールテープの巻く位置
今回はねじ込み量が最大4回なので、取付脚も先端に巻きます。
5. ザルボ(持出しソケット)の取り付け
シールテープの巻きつけ
- ザルボにシールテープを巻きつけます
水栓の説明書では標準で5回巻きとあります。私は6回、ねじ込み量が少ないときは7,8回巻いたほうが良いと思います。引っ張りながらネジ溝に食い込むように巻きますので、作業者によりテープの伸び方に差があるでしょう。ねじ込んでみてきつすぎたりゆるすぎた場合はやり直します。
ネジ部長さがテープ幅と同じなので先端にあわせて巻きます。先に少しはみ出たりした分は鋏でカットしました。
ちなみに、ザルボの孔を見ると六角レンチが使えるようになっていますね。
ザルボのねじ込み
- 右側の出量が少ない対策として、ねじ込みを3回転半で止めました。
4回転の左より半回転少なくして持出し量を稼ぐわけです。
6.取り付け脚の取り付け
シールテープの巻きつけ
- 取付脚に送り座(ワンザ)を奥までねじ込んでおきます
- 取付脚にシールテープを巻く
もし、ねじ込み回数が多い場合でも最適な一カ所に重ね巻きします。 - ザルボのワン座をはめ込む
こちらも忘れないように
取付脚のねじ込み
- ねじ込み量を確認
最終、湯側は時計の2時、水側は10時くらいの位置になります。今回スタートが両方とも真上だったので、左は継ぎ手4+ねじ込み4.2=8.2回転、右は継ぎ手3.5+ねじ込み3.3=6.8回転になりました。 - ねじ込みが3回転を過ぎたら慎重に回し、正規の位置より少し手前で止めます。
- 戻す方向に回してはいけない
戻してしまったら水漏れの原因になりますので、シールテープを巻き直すところからやり直さなけばなりません。
7.水栓本体の取り付け
- 本体がやや左上がりの状態で仮止めする
左右のの取付脚を本体が嵌る位置まで更に回して本体を取り付けます。このとき本体が左上がりに傾いた状態であること。ナットは軽く締めておきます。 - 本体を水平になるまで動かす
本体を持って水平にします。このとき両方の取付脚は右回転します。 - ホン締めする
モンキーレンチで本締めします。すると、もう水栓は動きません。 - 取付脚とザルボのワン座を回転して壁際まで送る
8.蛇口の取り付け
- 本体の下に蛇口を取り付けます。中にUパッキンがあるので。落としたときは注意。
付属の水栓を試しに付けて見たのが下の写真左。やはり水栓下の空間が狭い。それで予定通り元の水栓に取り替えることにした。ネジの寸法も問題無く、右のように取り付けできた。
9.通水確認
- 水道の元栓を開け、水とお湯が出ること、水漏れが無いことを確認します。
実は今回右側から少し水漏れが発生し、やり直しました。最初施工説明書に従いシールテープ5回だったのですが、取付脚の回転がゆるく感じていました。シールテープを7回に増やして取り付け直しなんとか漏水は止まりましが、根本的な問題として取付脚のねじ込みが不足しているのが心配です。
10.泡沫口の掃除
- 蛇口の泡沫口を取り外して掃除します
工事などで出るゴミを取り除くためです。従来の泡沫口だったのですが、ほとんどゴミはありませんでした。
11.流量調節
- お湯はボイラーの能力が特別大きい場合を除いて、通常は最大のままで調節しません。
- 水の流量はお湯の流量と同じくらいか、やや多めに合わせます。
取り付け脚にある流量調節栓を、マイナスドライバーで右に回すと流量が減少します。
12.ザルボ(持ち出しソケット)の取替
前記までの作業が終わり一応水漏れはしていないものの、水側の取付脚のねじ込み不足しているのが気になっていました。
シールテープがなくなったので近所のホームセンターに行ったらザルボが置いてありました。
現状使用のものより5mm長い20mmのものを、180円と安かったこともあり買って来ました。右写真がそれですが、先にぎざぎざがあり、おそらく供回りして外れるのを防止するためでしょう。
両方とも替えたかったのですが、湯(左)側は堅くてどうしても外せなかったので、問題の水(右)側だけを交換しました。(右写真)
ねじ込みに大きな六角レンチが必要ですが、これは下記記事で買っていた「立カラン締め」付属のものが合いました。
次に取付脚を、前後位置が湯側に合うまでねじ込んだところ、4回転を確保できました。これで水漏れの心配事がなくなりました。
後は、もう一度本体を取り付けて、キッチンの水栓の取替え作業が全て終わりです。
風呂のシャワーサーモ水栓の取替
以前から不調で器具を購入しておいた
このシャワー水栓は元々水とお湯が別々の水栓だったのを、随分前に私がサーモ混合水栓に取り替えたものです。当初から温度設定が微妙でしたが近年不安定になっていました。そして最近はとうとうお湯が出なくなっていました。
それでセールの時に安く(一般にサーモ水栓は高価です)買っておいたものが、同じINAX(LIXIL)のサーモ付き浴室シャワー水栓 壁付きタイプ BF-HE145TSD(下記写真)で、右はその部品です。
*[BF-HE145TSD] INAX 浴室シャワー水栓 蛇口 サーモ付き水栓 壁付きタイプ… |
取替え作業
このように部品を購入済みなのにまだ取替ができていなかったのですが、キッチンの工事の勢いで取替作業をします。
1.元栓を閉め、古い水栓を取り外す
キッチンと同様に作業を進めます。こちらはザルボはありません。
2.仮付け確認
こちらはザルボがないため取付脚は9回転までできましたが、ねじ山一つ余してテープを巻くとして6回転ぐらいで使用することにします。湯と水の管の、壁からの出量は揃っていて回転数での調整は不要です。
3.取付脚の取付
- 先に送り座(ワンザ)をはめ、奥までねじ込んでおきます
忘れるとシールテープの巻き直ししなければなりません(経験者は語る)(^_^;) - シールテープを巻きつけ
6回程度巻きます - ねじ込み
5回回した後は慎重に回し、湯側(左)1時、水側(右)10時ぐらいで、左が上がった状態で本体の取付ピッチに合うよう調整します。
4.水栓本体
水栓本体の取り付け
左上がりの斜めで取り付けます。仮止めなのでナットは強くは締めません。
水平になったらナットをホン締めします。
- 取付脚のワン座を回転して壁際まで送る
以上で取付完了です。
5.水出し確認
水道の元栓を開けて、温度設定が水側、湯側で出ること、水漏れがないことを確認しました。
6.ゴミ掃除
サーモはゴミが詰まると故障するので、取付アームにストレーナーとういうフィルタが仕込まれています。工事などでゴミが溜まっている可能性が高いので外して清掃します。
少々やりにくいですが、取付アームに見えているの外側の切れ込みにドライバーを入れて外すとストレーナが見えるので、指かピンセットで取り出します。
7.流量調節
キッチンと同じように、お湯の流量は最大のまま、水側をお湯と同じ位に絞りました。このことによって温度設定を変えても流量は変わりません。
8.温度調節
説明書には給湯器の供給湯温を50~60度にせよとあります。
水栓の温度レバーを最高温にしてを測定して見ると43度くらいでしたので、50度になるよう給湯器の温度設定を上げました。
使ってみて再調整
水側の流量を手直し
シャワーを使ってみると温度を低くしても水量が少なくゆるいです。これでは夏には水圧不足で不満になると予想されます。それ以上に風呂に水を入れるのに3倍以上時間がかかるようになってしまいました。
それで、水入れにかかる時間が我慢できる程度に水の流量を増やしました。それでも40度に設定時は流量は減りますが、湯温の変化は感じられません。サーモによって流量が制御されているのですね。
給湯器の温度設定を下げた
給湯器から近いキッチンのお湯の温度がやけに熱いので測って見ると60度になっていました。高すぎる気がしたので、風呂の最高湯温が45度になるよう給湯器の温度設定を下げました。
給湯器の供給温度には変動幅があるのですが、一番下がった場合にでもお風呂の欲しい湯温が確保できれる温度にしておけば、後はサーモ機能で調節してくれるという訳です。
水栓取替工事のノウハウ
私の経験で得た、水栓取替工事で気をつけるべき点を列挙します。
- 取付脚を外すとき壁側の供回りに気をつける
ザルボがある場合は残した方が再度取り付ける手間が省ける - シールテープを巻く前の状態で仮取付して下調べする。
取付脚を何回転させるか、シールテープの位置はどこがよいかを決める - シールテープは6~8回巻く
経験上5回ではやや不足する。ねじ込み回数が3回程度しかない場合は7,8回必要。 - 取付脚を戻し回転すると水漏れの原因になる
そのために取付アダプタの回転を最終位置の手前で止め、本体を左上がりの状態で仮止めする。この後本体を水平にしてナットを本締めする。 - レンチでナットを回す時、傷防止策をする
ナットは柔らかい金属なので直に回すと傷を付けることがある。専用工具でない場合は布をナットに巻いたり、レンチ側にテープを巻くなど養生すると良い。
健康のありがたみは病気になってわかるといいますが、水栓が直って水と湯がいつでも手軽に使える生活に戻り、幸せを取り戻したような感じがします。