加茂神社の馬上武芸奉納まつり

井伊直虎を彷彿させる女性射手による流鏑馬(やぶさめ)

馬の聖地と言われる加茂神社(滋賀県近江八幡市)で行われる馬上武芸奉納まつりを動画で紹介します和種馬を使った古式の馬上武芸の再現が2014年から実現し、ここで紹介するのは2016年のものです。

加茂神社

加茂神社の宮司さんとは知り合いでお世話になっているのに、加茂神社が馬に関係ある神社とくらいしか認識がなく、詳しい由緒は知りませんでした。

ネットで調べて加茂神社の地が日本の馬牧場の発祥地であることや、この馬上武芸奉納まつりのことを知り、今回初めて見に行きました。

加茂神社へのアクセス

加茂神社は滋賀県近江八幡市加茂町1691番地にあります。公共交通では、JR琵琶湖線の近江八幡駅から近江バス「篠原駅行き」で加茂東下車、徒歩5分です。駐車場もありますが、当日は満杯でした。

加茂神社の由来

神社のHPにある加茂神社の詳しい由来などによると概略以下の通りです。

1350余年前、日本が唐・新羅の連合軍に白村江の戦いにで惨敗し、「これからは騎乗技術の発展と馬匹の繁殖が大事」と考えた天智天皇は、この地に日本初の国営牧場を築いて馬の調教と繁殖に力を注がれ、日本の馬の文化が発祥致しました。

奈良時代になり、日本の荒廃を憂いた聖武天皇は国民の災いを封じ国土の平安を祈るため、陰陽道の祖といわれる吉備真備(きびのまきび)に命じて、日本の「気」の集まる(パワースポット)当地を選定し、天平8年(736)に当社を創建されました。

1350余年もの馬との歴史を持つ土地柄と、全国的に極まれな「古式による競馬行事」が脈々と受け継がれ、全国的に見ても、馬の心と人の心の寄り集まった神社は他にはなく、人々は「馬の聖地」と呼ぶようになりました。

こうして全国随一「馬・競馬・乗馬」守護と仰がれていると共に、「方除・鬼門除・災難除・厄除・八方除」守護、「縁結・子授・安産」守護、交通安全「車」守護等の霊験あらたかな神社として崇敬されています。

馬上武芸奉納まつり(第一部)流鏑馬・馬上武芸

馬上武芸奉納祭りは関係者の尽力により、和種馬による日本伝統の馬上武芸のイベントとして近畿地方では初めて、神社での奉納は全国でも初めてのイベントとして2014年に始まりました。今回2016年は3回目で11月26日(土)に開催されました。

奉納者(乗馬演武者)は紅葉台木曽馬牧場関西 代表 磯部郁美(いそべいくみ)他30名。
木曽馬約10頭が山梨県から、奉納者も関東一円からと近畿地方からの合同チームです。
約三万坪の森厳なる境内に古来から使われてきた直線400㍍の馬場が会場です。

和種馬で伝統武芸を再現

使用される馬はサラブレッド種ではなく、全て日本伝統の和種馬です。

和種馬は、在来和種(馬)日本在来馬(にほんざいらいば)とも呼ばれ、現存のものは北海道和種、木曽馬などの8種に分かれますが、その多くは個体数がたいへん少なく、絶滅が危ぶまれています。

有名な義経の鵯越(ひよどりごえ)の話を聞いた時、正直「ほんまかい?!馬であんな険しいところを下るのは無理だろう」と思いました。それは我々が馬というとサラブレッド種を思い浮かべるからで、今回たくましい和種馬を見てこの馬なら可能かもしれないと思いました。

和種馬はサラブレッド程速くはありませんが、山間地が多い日本には適した馬なのです。

この催しはまだあまり知られていないようで、当日は観客が少なく、特等席でしっかり見ることができしました。動画で撮影しましたので紹介します。

あいにく、当日は馬場のすぐ前にある住宅の足場撤去作業が行われていてカンカンという音がうるさかったですが、馬はよく訓練されていて影響はないようでした。それと近くのおばさん達の世間話がうるさかったですが、これはこの生物の特性上仕方がありません。

午前の部は、10:30分から流鏑馬(やぶさめ)と馬上武芸の奉納・供覧が行われました。

布引き(流し旗)

馬上武芸奉納まつりの始まりを布告する流し旗が最初の演目です。一つ演目を挟んで五色の流し旗も行われたので、一つの動画ににまとめました。

風の抵抗を受ける旗を片手で真っすぐ支える技術が見ものです。

馬上舞(羽衣、鈴)

馬上で羽衣や鈴を手にした女性乗り手が華麗に行進します。馬の上下の影響を足腰で吸収し上半身が上下しないように安定した姿勢を保ちます。

追物射(型→実射)、押捩り(型→実射)、追物射・押捩り相射ち

最初に型のデモンストレーションがり、次に実際に的を矢を射ます。

追物射(おものい)は、走りながら前方の的を射ます。押捩り(おしもじり)は、後方の的に向かって振り返って射ます。

最後に両者の組み合わせの演武で、追うものと追われるものの打ち合いという騎馬戦を想定したものでしょう。

弓手下(型のみ→実射)と馬手下(実射)

野原を逃げる兎などの獲物を追いかけながら射る時に使う形です。弓手(ゆんで)とは弓を持つ左手側、馬手(めて)は右側を指します。

弓手下(ゆんでした)は馬の左前方に獲物を追いかけながら、地上を逃げる獲物に向かって射る型です。馬上から地上の獲物を狙う場合、弓を持っている弓手(左側)の方が打ちやすいのです。

しかし、獲物に右に回り込まれた場合は馬を立て直す時間がありませんので、素早く体制を入れ替えて馬手(めて)に構え直して射ます。これが馬手下(めてした)の型です。

長槍

馬上で長槍を使う大変勇ましい演武です。

同様に長刀(なぎなた)の演武もあったのですが、カメラのトラブルで撮影できませんでした。

横打連射

馬場途中の横にある的に向かって3名が次々と連続して射るものです。

流鏑馬 奉納儀式

流鏑馬(やぶさめ)は神社の行事として有名なのでご存知でしょう。おそらくこれが流鏑馬の正装と思われる衣装の3名が順に行って奉納します。

 流鏑馬 奉納(本乗り)

願乗り

流鏑馬と同様走りながら横にある的を射るものですが、願をかけて行います。どれだけ的の中心に当たるかで成就を占うものです。

流鏑馬 演武供覧

前記奉納神事(本乗り)の流鏑馬とは別に演武供覧された流鏑馬です。

馬上武芸奉納まつり(第二部)競べ馬

午後の部は13時から競べ馬が行われました。

競べ馬は今流でいう競馬です。ただし、古式の競べ馬は、たくさんの馬が一斉に走るのではなく、2頭づつが勝負し、トーナメント方式で優勝が決まります。

馬場(競技コース)は古来から伝わるもので、距離は400mですが、幅がなく同時にたくさんの馬は走れません。

全部で7頭が出走し、優勝馬を予想する勝ち馬投票もありました。

競べ馬(くらべうま)準決勝

一回戦を勝ってきた4頭で準決勝が行われます。一走目は女性乗り手同士の対決になりました

競べ馬(くらべうま)決勝

準決勝を勝ち上がった2頭で決勝です。

スタートで出遅れたのか大差がついてしまいました。

決勝に限らず、勝ち名のりを受けた後、敗者の乗り手は馬を降りて戻ります。

貴重な古式の馬上武芸

この馬上武芸奉納まつりは古式の馬上武芸を勉強できる全国的にも珍しい貴重な催しです。歴史書や絵画絵巻に出てくる狩りや騎馬戦が具体的イメージで理解できると思います。

2017年のNHK大河ドラマは「女城主 直虎」ですが、動画を見てもらってもわかるように、多くの女性の馬関係者が活躍されていて、ここにも女性が活躍する場が広がっていました。

近江(滋賀)は京都に近くしばしば歴史の舞台に登場します。主役ではないかもしれませんが、京都にはないものもあります。近くでこんな素晴らしい催しがあり、私は幸運です。

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