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で椅子式のホーム炬燵を作成し、未完成でしたが実用になったのでそのまま使ってきました。遅くなりましたが、今年の冬を迎える前に完成させたいと思います。
目次
1.これまで使ってみて
テーブルの高さの問題 – 腰が痛くなる
当初、椅子式ホーム炬燵の嵩高いのが嫌で、できるだけ低くするよう設計しました。
しかし実際使ってみるとテレビを見るのには良いのですが、ノートパソコンで作業をしていると腰が痛くなってきます。机が低いとどうしても姿勢が悪くなり、腰に負担がかかるためです。
それで取り敢えず、ホーム炬燵用に売っていた脚のびたくん(下写真)というの樹脂製の台を買ってきて使用していました。ネットでも売っています。
椅子もそれに合わせて高くしました。
残っている課題
継ぎ脚の作成
前記の樹脂製台は手軽ですが、乗せているだけなのでテーブルを移動すると外れたりして不安定です。それできちんとした継ぎ脚を作成したいと思います。その時できれば何段階かに調整できれるようにしたい。
電気ヒーターの取付
これまで石油ファンヒーターから温風ダクトで熱をもらっていましたが、手軽に使える電気ヒーターも使えるように取り付けます。ヒーターは古い炬燵についていた物の再利用です。
塗装
これまで布団に隠れるので気にしていませんでしたが、完成にふさわしい塗装をします。
2.再設計
継ぎ脚の設計
必要な高さ
現状は「脚のびたくん」の高さでいけているが、今後のことも考え調整できるように考えました。
2個のアダプタによる4段階調節
使用する継ぎ足 | 高さ増加 | テーブル高さ | |
1 | 無し | 0 | 60cm |
2 | 短い継ぎ足 | 3cm | 63cm |
3 | 長い継ぎ足 | 6cm | 66cm |
4 | 短+長の両方 | 9cm | 69cm |
継ぎ足を3cmと6cmの2種用意し、必要に応じて表のように組み替えて高さを調整します。
固定方法は、テーブルの脚底に鬼目ナットを埋め込み、下からビスで継ぎ足をネジ止めすることにします。
ヒーターユニット取り付け構造の変更
ヒーターユニット取り付け構造は、「下から外せて任意の位置に固定できる」設計だったが、必要性を考慮すれば「上から外せて中央と奥の2点固定」で十分であると気がつき、構造を簡素化しました。
最終設計図は以下のようになりました。
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3.製作
継ぎ脚の製作
今回一番力を入れたところで、詳しく紹介します。
脚の底に鬼目ナットとダボ穴加工
- 脚の底にφ12mmの穴を開け、鬼目ナットを取り付ける
- ダボ用のポンチ痕を開ける
丁寧に罫書きを入れ、センターポンチで印を付けます - φ8mmのダボ穴を開けます。
穴開けには脚が長くてボール盤が使えないので、手持ちで電動ドリルを使いいました。
脚4本とも同じ加工をします。
継ぎ脚の切り出し
テーブル脚を作ったとき余った材料を残しておいたので、そこから3mmと6mmの長さに輪切りします。各4個必要です。
切断にはテーブルソーを使いましたが
の記事で紹介した「定尺切り」の方法を使い、簡単かつ正確に等寸加工できました。
継ぎ脚に木ダボを付ける
継ぎ足に穴を開けて2箇所づつ木ダボをつけます。
テーブル脚のダボ穴の位置に継ぎ脚のダボ位置を正確に合わせなければなりませんが、寸法で追って行く方法ではどうしても誤差が出てしまいます。
そこで使うのが右のダボマーカー(ダボ用マーキングポンチ)で、これを使うと現物合わせで正確にポンチできます。
以下、木ダボ埋め込みの手順です。
- 脚の底にあけたダボ用穴にダボ穴マーカーを置く(右図)
- この上から真っすぐな位置に継ぎ足を置いて、ゴムハンマーで叩いてマーキングする
私は立てて行いましたが、平面上で横向きにしたほうが位置を合わせやすいことが後でわかりました。
- ついたマーク(ポンチ痕)にボール盤を使って8mmの穴を開ける
錐先は8mmのスパイラルタイプを使うと穴径がやや大きくてダボがゆるかったので、通常の形のものを使いました。
- 8mmの木ダボを打ち込む
- 木ダボの余分な長さを切り、ヤスリでエッジを整える
継ぎ足に中央の穴を開ける
垂直に材に孔を開けるのは意外に難しい。
ボール盤(小型の安物)を持っていますが、正確に垂直孔を開けるのは難しいです。板に孔を開けているうちは気づきませんでしたが、ブロック状の木片に長い孔を開けると垂直に開いていないのがよくわかるのです。今回、固定バイスに手を入れる等して何とか垂直が出るように改善しました。
中央の穴加工の工夫
最初先に8φの穴を開けたら、次に18φのセンターを合わせられなかったので、下記の手順にしました。
- テーブル脚の底に鬼目ナットの穴にダボマーカーを置いて中心穴位置をマーキングする。
- φ3mm程度の下穴を開ける(φ18mmの穴より深くしておく)
- ビスの頭を隠すφ18mmの穴をあける
- ビスを通すφ8.5mm孔を開ける
上記のように継ぎ足に先にφ3mmの錐で長い孔を開けておくことによりと、18φの穴を開けた後でも、3φ孔をガイドに8φの貫通孔を正確な位置に開けられます。
継ぎ足の形を整える
下はできあがった長、短の継ぎ脚(塗装後)です。位置決めはダボで行い、M8のビスは固定するだけです。ビスの頭を沈み込ませる穴はφ18mmです。
上図で長さ75mmのビスを使って約20mm出ています。
継ぎ脚一個の時は、長・短とも長さ40mmのビスで15mm出るように設計しています。
あと、4本の脚と継ぎ脚はダボ位置が全く同じではなく、他の継ぎ脚とは合いませんので、それぞれペアで使用するようマーキングしています。後で思えば、1本目の脚の穴位置をダボ穴マーカーで継ぎ脚を経由して2本目以降に写すようにすれば全ての位置が揃ったでしょう。
右は実際に使用している状態です。
木目を合わせることを考えていなかったのも反省点ですが、他は思い通りに仕上がりました。
ヒーターユニットの準備
古い炬燵から取り出した部品を利用してヒーターユニットを作ります。
ヒーターと周辺の木を再利用
古い炬燵のヒーターに、元々の木枠をカットして取り付け、ヒーターユニット化しました。(右写真)
旧来の組み付け用穴が空いていますが通常目に入らないところなのでこのままとします。
なお、上部に見えているのはハードボードで、更にヒータとの間にトタン板のような金属板が2枚挟まれています。
棚ダボを付ける
写真のように、ヒーターユニットの両側に、棚板受け用の「棚ダボ」と呼ばれるピン金具を付けます。
棚ダボは一般的な、差し込み穴径5mm用 ダボ直径7mm、突起長さ7mmのものです。
枠木に5mmの穴をあけましたが、今回の目的には少し緩かったので接着剤で固定しました。
ヒーターユニット取り付け桟の加工
桟にスライド溝を掘る
桟木に、ヒーターユニットを取り付ける細工をします。
棚ダボがスライドする溝を彫るのですが、今回はルーターテーブル用に新しく購入したルーターの試運転を兼ねて使ってみることにしました。
ルーターは写真のように大型で手持ちではかなり重く、慣れるまで失敗の連続でした。それでもなんとか下のようにできました。
上の真ん中の切り欠き部より棚ダボを落とし込み、スライドして左右どちらかの凹み部分に落ち着かせます。
塗装
脚や幕板は古材を利用していますので、元の塗装が残っています。幕板は傷を修正するだけで済ませ、脚と継ぎ足を塗装しました。
脚に部分的に残っている塗装は、塗装前に剥がします。サンドペーパーでも良いのですが、写真のサンダーを使って楽をしました。バッテリー式でコードがなく使いやすいです。
塗装にはスプレー式のカラーニスを使いました。色は古材に合わせ赤みがある「チーク」を選びましたが、実際の色味は思ったより黄色っぽいです。
4.組み立て
枠の組み立て
一旦ばらした枠を元通り組み立てます。4箇所の脚と継ぎ脚は位置と組み合わせを一緒にするため、使用時に見えない位置にマジックでA,B,C,Dの記号を書き入れてあります。
ヒーターユニット取り付けとスライドの確認
塗装のためにばらした脚を組み付け、ヒーターユニット固定用の桟木をネジ止めします。
上は早速ヒーターユニットを取り付けたところです。
スライドしてみるとスムーズに動きます。
右は、奥に移動したところで落とし込みの効果できちんと止まります。
下は奥まで移動したところを横から見たもの。定位置の左から座ったとき、ヒーターユニとが膝に当たらず思い通りです。
内天板を取り付け
枠に蓋をする天板は、予定通り厚さ3mmのベニア合板を切って作り、小さい木ねじで4隅をとめました。その後、使ってみると熱で反ってきて、長辺に二カ所づつ追加が必要でした。
炬燵布団
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前回買った炬燵布団は、炬燵の高さを高くしたため裾長さが不足するようになりましたので、右のものを買い直しました。
完成の姿
いよいよ布団とテーブル天板をセットしてみます。
写真は継ぎ足を二個とも使い69cmの高さにしていますが、今度の布団はまだ余裕があります。
これで今年の冬を迎える準備の一つができました。というか、もう既に使っています。(^_^;)
今回の木工作業の教訓は、寸法で追っていって精度を上げるのは難しいが、「定尺切り」やダボマーカーの使用法など、現物合わせで精度を上げる工夫があるということでした。