サイクロン式集塵機の制作~構想編

E-Value製EVC-200ECL

木工を本格的に始めると、木くずなどのゴミ処理が楽なサイクロン式集塵機が欲しくなります。 集塵機(掃除機)と組み合わせるプレセパレーターというサイクロン式アダプタも売られているのですが、値段が高いです。DIYのテーマとして手頃なこともあり、サイクロン集塵機を自作されている方が多くおられます。

私は現状、写真のEValue製集塵機 EVC-200SCL を使っています。吸引力はあるのですが、フィルタが早く目詰まりし、その掃除が面倒です。 それで、この集塵機を改造してサイクロン集塵機にできないかと検討をはじめました。

(この記事は構想までで、設計・製作編の記事を予定しているのですが、製作着手が遅れています)

※サイクロンセパレーターの販売例 Oneida ダスト・デピュティー ¥14,990

現用の集塵機EVC-200SCL

EVC-200SCLの不満点

EVC-200SCLは吸引力は十分あるのですが、使い勝手として下記不満が有ります。
①フィルタがすぐ目詰まりし掃除が面倒
紙パック式で直ぐ捨てられる家庭用と違い、布式のフィルタです。細かい埃を多く吸うわけですからフィルタが直ぐ目詰まりします。布フィルタに付いた埃を別の掃除機など取るのですが、面倒です。
②ゴミの容量が小さい
後で構造を見てもらえればわかりますが、意外とゴミの容量が少ないのです。木工を始めるとたくさんの削りかすが出ますので、もっと大容量が欲しいです。
③吸い込みノズルがちゃち
コストダウンでしょうね。ちゃちで軽すぎて使いにくい。家庭用が立派に思えます。
④音が大きい
これは通常の家庭用ではないので仕方が無いかな。我慢できる範囲です。

最近木工を少し本格的にやり出して、上記の内①②を改善したくなった訳です。 それでこの吸塵機をサイクロン式に改造できないかということと、吸塵機自体の仕組みを勉強するため、まずEVC-200SCLを分解してその構造を調べることにしました。

EVC-200SCLの構造

EVC-200SCLは固定している「パッチンファスナー」を外して上下を分離でき、下の缶に溜まるゴミを捨てる構造である。 缶側には吸引口がついているが、吹き出し口が斜め下に向けてあるので少しは渦状になるサイクロン効果を狙っているのだろう。上部本体には吸引機構やフィルタが付いている。フィルター部が占める体積は結構大きいため缶に溜められるゴミの量は意外と少ない。フィルタの掃除は右の状態でブラシや掃除機を使って行う。

缶の中  缶から取り出した本体
少しサイクロン的に吸入口に細工がしてある缶(左)とフィルタ部が体積を占めている本体(右)

フィルター部

布フィルタを取り外したのが下左の写真。わかりにくいが、強すぎる吸い込み力を抑える機構がある。また缶の中心では無く偏心した位置に有るのがわかる。更にネジ止めを外して本体から分離し、上側から見たのが下右で、吸引口が見える。

フィルターを取ったところ1 取り出したフィルター部
布フィルタを剥がしたフィルタ部(左)とそれを本体から外して上部から見たところ(右)

モーターファン部

フィルタ部を外した本体には下左のようにファンが見える。UFOのような円盤状で、下の丸い穴から吸い込み、周囲の薄いスリットから吐き出す構造である。上部には吐き出し口が見える。 下右は本体上部の蓋カバーを外したところで、モーター部やスイッチへの配線が見えている。 なお、本体上部蓋カバーの固定に一カ所だけ「いじり止め付きトルクスネジ」が使われていた。AC100V配線を素人がさわらないようにとの安全面の配慮だろう。

吸引フィン モーター部2
薄い円盤状でUFOのような吸引ファンが見える本体(左)と上部のカバーを外してモーター部を見る(右)
空気吐き出し口の樹脂の形はサイクロンの吸入部に利用できそうな形をしています。 しかし、そのためには中にあるモーターを別途外に配置する必要がありますが、そのようなスペースがないので簡単にはサイクロン式に改造できないことがわかりました。

サイクロン方式を構想する

インターネットで調べるとたくさんのサイクロン方式吸塵機に関する情報があります。 それらを参考にしながら、どんな構成にするか検討します。

現行集塵機にサイクロン方式ゴミ分離部を付加する

サイクロン式の吸塵機は空気を吸い込む機能とサイクロン方式でゴミを分離する機能に分けられます。
・吸引機能は現状の集塵機を利用し、サイクロン機能を自作する
・集塵機自体は余り加工しないで元の形に復旧できるようにしておきたい
・吸塵機のフィルタも残し、サイクロンで完全には分離できないで残った粉塵を取る
という方針で進めることにしました。

移動しやすい一体型にする

インターネット上には吸引装置とサイクロン部の2体型にして、サイクロン部に掃除機からの吸引ホースを繋ぐやり方を多く目にしますが、ここでは一体型にしてスペースを節約し、且つ移動を楽にしたいと考えます。私の場合木工専用の工房がないので、その時々で空き場所を探して作業するので移動が楽なことは大切なのです。

ペール缶を利用する
ペール缶
ペール缶

ペール缶は入手容易でDIY工作でよく使われます。 調べてみると上部の直径がEVC-200SCLの缶とほぼ同じ大きさではありませんか。と言うよりEVC200がペール缶サイズにすることによりコストダウンしているのでしょう。 これを利用しない手はありません。

早速近所のガソリンスタンドへ行くと、無料でもらうことができました。それが右の写真ですが、中も綺麗に洗ってありました。 なお、ペール缶は下部の直径が上部より少し小さくなっていて、持ち手取り付け部下のふくらみまで下の缶を重ねて保管できるようになっています。

一番簡単な構成を検討(第一案)
構想 第1案
第一案

これまでの調査を元に、一番簡単な構成になるように考えたのが右図の案です。 EVC-200SCLの蓋部(モーター部)とごみ缶の間に、ペール缶をかました形です。青い線がEVC200SCLを利用する部分、黒い線が追加する部分です。

  • フィルター部とペール缶の間に隔壁(内筒)を設け、ペール缶の上部にゴミ吸入口をつけます。
  • 内筒と中心筒はモーター部に取り付け、モーター部を外せば点検が容易にできるようにします。
  • フィルター部に対しペール缶の直径が小さくスペースが不足して窮屈になっています。
  • 内筒は百均で売っているゴミ箱の利用を想定してますので傾斜があります。排気は下部に設けた穴から吸い出します。

右図の形状は、標準的な形と比較するとサイクロンの回転半径が大きく、コーン部の傾斜がほとんどありません。 ネット上での事例を見るとオリジナルからかなり変形してもそれなりに性能が得られるようであり、この案でも現状よりはるかに改善されることが期待できます。

簡単に作るならこの案ですが、ゴミ(粉塵)の分離性能にこだわるなら物足りない感じはします。

標準に近い形状の構想(第二案)

性能の良いサイクロン部の形状
木工所で見かけた物
サイクロン式煙突?

最近偶然に、ある木工所の壁に右の写真のものを発見しました。 今はストーブの煙突として使われているようですが、上部の笠を除けば、まさにサイクロン式分離器であり、不要になった集塵機の再利用でしょう。  この形はサイクロン方式分離器のオーソドックスな形で、分離性能が良いとされる物です。 改めてその理由を推測してみますと

  • 半径を小さくして遠心力を強くする
  • 細長くして吸引口とゴミが回転して落下する部分を遠ざける
  • 下の口を細くしているので溜まったゴミをかき回さない。粉塵の逆流がおきにくい。

なるほど納得のいくものです。

前記第一案でもそこそこの物になると思いますが、どうせ作るならこの形で性能の良いものを作りたくなりました。 現状あるもの、入手できる材料により若干はアレンジするとしても、できるだけ発表されている効率の良い寸法に近づけたいと思います。

三角コーンを利用
三角コーン
三角コーン

サイクロンの傾斜部を一から作るのは面倒ですので、手に入れやすい工事現場用三角コーン(カラーコーン)がよく使われます。 私は丁度手持に右のような通常の大型タイプのものがあります。多分引越し屋さんの忘れ物だと思うのですが、家の前の道路に長い間放置してあったので引き取っておいたものです。

上記三角コーンはサイズと傾斜が丁度サイクロンに適していて都合がよいのですが、樹脂が軟質で負圧に負けて凹むという欠点があります。これは補強するか、負圧がかからない構造にすれば補えますので、今回利用したいと思います

基本の構成
構想 第2案
第2案

傾斜部の材料が決まったので構想図を描いてみたのが右図です。青い線がEVC200SCLを利用する部分、黒い線が追加する部分です。

  • 集塵機のモーター部を上に、最下部に集塵機の缶を使うのは第一案と同じですが、間のペール缶を三個使用して外郭とします。
    3段積みは長いコーン部に対応するためですが、このため外形は全高約1.5mの縦長になります。
  • 直線部が理想型と比べ短いですが、高さをこれ以上高くしたくないのでこの寸法にしました。
  • 基本寸法としてサイクロン部の上部の直径200mm、三角コーン下部穴と吸排気口は直径50mmとします。
  • 従ってホースも基本50φです。当面は今ある30φ程度のホースを使いますが、将来的に木工作業機械と接続する時は50φのホースで繋げるようにしておきます。
構造の詳細

少し詳しく意図する構造を説明します。

  • 上部とサイクロン部、サイクロン部とゴミ溜め缶の間は付け外しを考慮して、SVC200と同じように「パッチンファスナー」で固定します。
  • ペール缶の間の接続は重なりを100mm程度とし、ゴムを挟んで密閉度を確保します。
  • 三角コーン部の弱さは、ペール缶により構造の強度と密閉度を保ちますので問題になりません。また右図のようにバイパス穴を設けることにより三角コーンが負圧で凹むことを防ぎます。
  • 内筒と中心筒に使う材料は百均などで探すつもりです。

(この記事はここまで、続編記事予定あり)


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