DIY工作で使う小型の「テーブルソー」(テーブル丸ノコとも言う)を買いました。写真のEvalue ETS-10KNです。
ネットで検索してもブログなどでの紹介が少ないようなので、購入経過や精度確認などについて紹介します。
【追記】1.鋸刃の取付構造(2017年5月30日)
2.刃の傾斜角45度での切断(2018年4月2日)
目次
テーブルソーが欲しい
フローリングなどのDIYで木の切断に丸鋸を使用していますが、毎回精度良く切るのはむつかしいです。
右のような「スライド丸鋸」を使えば精度良く能率的に切断できます。 しかし、それは板の横切りの場合で、長尺ものの縦切りができず、買うのはもったいないと思いました。
それで大きな木材でも簡単に精度良く切れる「テーブルソー」が欲しくなり、次の3つの候補を検討しました。
1.トリトン ワークセンター2000
オーストラリアのメーカー トリトンのテーブルソー、 ワークセンター2000です。
定価は¥59,800ですが、丁度今¥48,000というセールをしています。(2014年3月4日現在続行中(KQLFT TOOLS)
専用丸鋸だけでなく他社の丸鋸を使うこともできます。 板を固定して丸鋸をスライドする横切りモードもあり、良く考えられた機械です。
テーブルから出る刃の高さを横からハンドルで調整するには、別売の「ハイワインダーキットWCJ390」が必要です。
評判では購入した状態では精度が出ていないことが多く、自分で調整設定が必要だとか。しかしその設定は簡単ではなく有料出張サービスのビジネスがあるようです。
また、値段の割に「華奢」とか「柔」という評価が多いのが気になります。写真を見ると脚の構造がやわな感じがします。
2.E Value 木工用テーブルソー ETS-10KN
日立やマキタから出ている小型テーブルソーの類似機種ですが、驚くほど安いです。地元のホームセンターでも2万円弱で売っています。
購入サイトの評判を見ると、コストパーフォーマンスが良くこれで十分と言う意見が多い半面、精度が不足しているので改造が必要という意見もあります。
実際ホームセンターで見本を触ってみると傾斜ガイドにかなりのガタがありました。
しかし、ネットで検索してもこの機種を実際に使用している様子や、どう改造したらよいのか具体的な改造法の記事はほとんどありませんでした。
ただ、テーブルソーの一般論としてDIYCITY週末職人工房~小型テーブルソーに 解説があり、参考になりました。
【2014年3月4日追記】 地元のホームセンターの特価セールの広告がありました。( ̄▽ ̄;)!!安い。 もう少し早くやって欲しかった(*_*)
・販売店:アヤハディオ,ディオワールド
・セール期間:2014年3月5日(水)~18日(火)
・セール価格:¥14,800(平常は¥19,800円ほど)
【2014年3月19日追記】上記セールは終了しました。
3.自作
テーブルソーの自作に関する記事は検索するとたくさんあり、これらを参考にして頑張れば作れないことはなさそうです。
しかし素人がいきなり自作しても精度が心配ですし、設計と製作には時間がかかりそうです。 道具の製作ばかりに時間を取られ、本来の目的がなかなか達成できないという状況が懸念されます。
結論として、時間と費用で2のETS-10KNを購入することに決定しました。
E Value ETS-10KNを購入
購入と開梱
ネットで検索すると1万2千円程度で売っているサイトがありました。 住所は埼玉県の表示がありますが電話番号がありません。支払いは代引き不可、銀行振り込みだけです。 日本語が不自然でおかしいなと思って、詳しく調べると
w( ▼o▼ )w オオォォ!! 危ない危ない。どうもサギサイトらしい。 日本語がおかしくなかったらひっかかっていたかもしれません。
信頼できそうな中で一番安い「建設ラッシュ」というサイトで発注。この商品はメーカーから月水金に発送の直送品で、木曜日注文で土曜日に到着しました。右の写真のようにかなり大きいです。
右が開梱したところです。
なんと、部材が発泡スチロールの緩衝材の外にあります。 省スペースで本体の保護も兼ねている? それとも予定外の部品をむりやり同梱するため?
発砲スチロールの薄い緩衝材をとると本体が出てきます。 最初からテーブル上面に汚れがありましたが、これくらいは中国製だからと気にしません。
右は本体を取り出したところですが、箱の底にも部材があります。
これで不都合が起きなければすごい合理化ですね。日本メーカーにはできないでしょう。 めったに事故は起きないし、起きたときはその部材だけ送ればよいと言う考えでしょうか。
組み立て
台の組み立て
まず台の組み立てを行います。説明書には完成図があるだけで組み立て順序などの説明はありません。
右は鉄部材を並べたところで、この他にボルトナットやレンチなど小さな付属品があります。 組み立てる時にわかったのですが、ナット2個が不良でした。一個はネジが切れてなく、他は回り止めがついていませんでした。中国製らしい不良です。 とりあえず代用品を使い、後で説明書にあるサービスの番号に電話したら送ってくれました。
組み立ては、まず脚になる部材A4本にゴム足をつけます。 次に、部材AとBをボルトナットで固定、続いてC、D、Eの順に組みつけていく。 正規でない組み方をすると穴位置がずれてボルトが通らないので間違えることはない。
ナットには緩み止がついていて途中で手で回らなくなりますので、後はボックスレンチを使って締めます。 組み立て時の締付はゆるくして全部組み上げた後、最後にきつく締める。
右が組み上がった台です。全くガタツキが無く優れものです。
昇降ハンドルのノブ取り付け
本体横の「昇降ハンドル」のノブ(取っ手)が別に同梱されているので、ねじ込んで取り付けます。 右は取り付け後の様子。
昇降ハンドルは鋸刃の昇降をするものであると同時に、押し込むと鋸コ刃の傾斜角度を調整できる。 傾斜角度調整後は「傾斜ロックノブ」(写真では上の赤いもの)で固定します。(鋸刃の昇降はロック無し)
安全カバーの取り付け・調整
鋸刃をカバーする安全カバーは割刃兼取り付け金具と一体になっています。
本体の後面に出ている回転軸に、割刃が鋸刃と一直線になるように調整します。かつ割刃と鋸刃を2mm以下まで近づけよと書いてあるのですが、右の写真までしか接近しませんでした。
下左の写真は後ろ側から見たところで、鋸刃の傾斜に伴いカバーも回転している様子。
下右の写真は上から見たところですが、手前が少し左に曲がっています。 それに一度も使っていないのにケース内部に木屑の粉が着いています。(中国品質)
内部の様子
以上で本体の組み立ては終わりで、後は4本のボルトで台に固定するのですが、その前に内部を覗いてみます。
右は底から内部を見たところですが、シンプルな構造です。
本体は樹脂製で、アルミダイカスト製のテーブルを4本のビスで止めています。 モーターや刃の傾斜機構を付けた金具はテーブルに固定されています。
鋸刃の上方に集塵口が見えていますが、このようにオープンになっていてはほとんど吸い込めないでしょう。
精度はどうか
試用する前に、気になる精度を調べてみた。
1.テーブルトップの平坦性
右の写真のように、右端が1mm強下がっている。中央や左側は問題なし。
どれくらいの剛性があるか、手で修正する方向に押してみた。アルミダイキャストが薄いためか結構変形する手ごたえがあり、若干歪が改善できた感じがする。剛性が不足している証拠であり、使用中に変形させないように注意が必要である。
なお、左右両端面は直線性が悪く(中央が膨らんでいる)、横切り治具のガイドなどでの利用には適さない。
2.ノコ刃の傾斜角度
ガイド溝との平行度は一見問題なし。
しかし、よく見たらやや狂いがあったので平行度調整にトライした。別記事
で紹介しています。
天板との直角は出ていた。角度範囲は90度~45度であるが、両端のストップ位置を「角度ストッパーボルト」で調整ができる。
3.平行定規(縦切りガイド)
平行定規(縦切りガイド、ガイドフェンスとも呼ばれる)はノコ歯と平行になっていなければならない。
高級機は手前と奥両方にガイドレールがあって平行が保たれる構造になっているが、これはガイドレールは手前だけにしかないので平行に設定するのが面倒そうである。
取扱説明書には「平行定規のそれぞれ前と後からノコ刃までの距離を測り、正確にあわせてください。」とある。ヾ(・・ )ォィォィ
定規の手前のガイドレールには目盛り(指示の補正設定つき)があるのにどう利用するんだい? 奥には目盛りは無い。
実際にいろいろやってみたところ、設定のコツがわかった。
ハンドルでロックを緩めて定規をスライドし、手前をガイドに押し付けた状態で希望の目盛りにあわせ、そのままロックする。
この方法で設定したのが右の写真。ガイド溝との隙間から平行度が出ているのがわかります。 目盛り指示の補正設定もできるので、通常はこの目盛りだけで裁断寸法を設定できそうです。
4.傾斜定規(角度切りガイド)
傾斜定規(角度切り用ガイド、マイターゲージとも呼ばれる)のバーと本体の溝の遊びが大きい。これは最大の不満点であり残念である。 当面片方に押し当てて作業するようにしてカバーするしかないが、改善案も考えてみました。
- 溝に合う大きいレール(バー)を作る
溝の幅が中途半端でレールに使えるな規格部材が無い。自作するとなれば20mmから16.5mmまで削るのが面倒。現状のバーを広く改造できないものか。 - 市販のレールユニットを使う別のスライド機構を付加
市販の輸入工具や引き出しレールが転用できれば良いのだが溝幅が狭く入るものがない。 今の溝を拡大するのは強度が弱くなるのでできない。 - 2本の溝を使う
2本の溝があるので2つのガイド溝の両端(外外または内内)を当てるようする方法がある。
横切り治具を製作する時は使えそう。ただし刃を跨いで両レールを繋ぐ構造が必要。 - 新たに上部全体に2mm程度のアルミ板を乗せる
アルミ板の隙間で新たな溝を構成し、スライドガイド溝にする。
【2016/07/13追記】
傾斜定規に補助の当て板を作りました。
安全装備はどうか
テーブルソーはテーブルから刃が突き出している構造であり、使い方を誤ると大変危険な工具である。安全についてどうなっているかみておく。
電源スイッチ
電源スイッチはACコンセントを一旦抜くと、再び挿しても起動しない仕組みになっている。 フットスイッチで電源を切ることを考えているが、誤ってフットスイッチを踏んでも再び電源が入ってしまうことは無いのは良い。 過負荷などによる過電流を遮断するブレーカーも内臓している。
ブレーキ
この機種はブレーキがついていない。この値段では仕方がないと思うが、完全に止まるのを待って安全に気をつけたい。
安全カバー
テーブルソーはテーブルから突き出た鋸刃が高速回転する大変危険な構造である。安全カバー無しで使っている例も見られるが、うっかり手を触れたら大怪我する。 特にこの機種はブレーキがないのでなおさらだ。 この安全カバーは傾斜切断のため鋸刃を傾けても一緒に回転する機構になっているのが良い。
また上記「安全カバーの取り付け」の写真でわかるように、バネで板材を抑える金具がスプリッタについており、キックバックを防止している。
ETS-10KNの評価
試しにフロア材を切断してみたが、問題なく綺麗に切断できた。この機種を評価してみると
良いところ
丸鋸を使ってテーブルソーを自作する場合に難しい以下の点を実現している。
- 鋸刃の直径が255mmと大きく、厚みのあるもの(刃角90度で76mm)まで切れる
- 鋸刃の出量や傾きを横のハンドルで簡単にできる
部材固定のまま鋸刃を上昇しながら切ることができ、長尺物を横切りするときに等に便利。 - 鋸刃の角度を斜め設定するとき、スプリッターや安全カバーが同時に回転する
不満点
- 傾斜定規のがたつき(スライド機構の遊び)
- テーブルトップの平坦度(右側の下がり)
- ブレーキがない
- 吸塵がNG(集塵口はあるがそのままでは機能しない)
固体によりバラツキがありそうだが、手元に届いたものは上記1.2.以外はそこそこ精度が出ており、実用レベルに達している。日本式の細やかな品質レベルを求めなければ、これだけの機械が1万7千円とは驚きのコストパーフォーマンスである。
今後の改善・改造構想
このままで実用になることは確認できたが、将来的には下記の改造も検討したい。
フットスイッチの追加
切断作業中は手で板材を支えるので、足で電源をオンオフしたい。特に切断終了後は安全のため早く切りたいので、フットスイッチが欲しい。
【追記】実際に作成しました。下記記事で紹介しています。
延長テーブル・補助テーブル
大きな材料を切るときは安定のためテーブル面を前後左右に必要に応じて拡張したい。 今は木工用のテーブルがないので高さをあわせて作り、補助テーブルとして利用する 本体に折りたたみ式の拡張テーブルをつける。左右に穴があるので利用できる。
横切り治具の作成
傾斜定規のがたつきもあってこのままでは横切りはやりにくそうだ。DIYCITY週末職人工房~小型テーブルソーにも紹介されているような横切り用の治具を作りたい。 2本のレールを2つのガイド溝の両端(外外または内内)を当てるようすればガタは解消する。 ただし鋸刃を跨いで両レールを繋ぐ構造が必要。
傾斜定規のレールを広く改造
傾斜定規を別途手に入れて改造する案。 レールを半切りにして1mmのアルミ板に貼り付け、ネジでとめる。ガイド溝の底には1mmの板が入る余裕がある。 ネジでとめる際、幅を溝にあわせて調整する。
天面に板を張る
新たに上部全体に厚さ2mm程度のアルミ板を乗せて貼り付ける方法です。 主目的は傾斜定規ガイド溝のガタの改善です。 2枚のアルミ板の隙間で新たなガイド溝を作る。間隔を20mmなどにすれば市販の規格寸法の平板がレールとして使えます。 テーブル上面の平面度をカバーし、強度も上げることができます。 角度定規はレールを取り替えるだけでよいが、平行定規は下がつかえるので改造が必要になります。
吸塵の改善
吸塵についてはいい加減な構造になっている。底に落ちるものを受けるものや吸塵装置に吸い込むためのカバーを追加したい。
移動輪
台ごと移動するのに苦になるほど重くはないが、移動用の車輪があったほうが楽である。普段は固定できるものが良い。
鋸刃の取り付け構造【2017年5月30日追記】
コメント欄でφ15.88mmの孔径の鋸刃がつくのか?という質問がありました。取扱説明書にはつくとありますが、実際に鋸刃の取り付け構造を調べました。
鋸刃を取り外す付属のスパナとメガネレンチを用意し、テーブルインサートと呼ぶ赤い板をビス2本を弛めて外します。
次に昇降ハンドルで鋸刃を一番上まで上げます。
右のように刃がナットで固定されているのが見えます。
取り付け構造は右の説明図のようになっています。(シャフトを示す線が間違っている)
フランジ(シャフトについた台座)にスパナをはめて回転を止めながら、メガネレンチでナットを弛めます。通常の右ネジです。
アフターフランジは軸に合わせた回転止めになっていますが、喰い込んでいて外すのに苦労しました。
外した鋸刃には右のように修正リング(変換リング)がついてきました。嵌め合い少しきついですが鋸刃から外れました。
下は分解した修正リング、アフターフランジ、ナットです。
修正リングはφ25.4mmの刃を使うときφ15.88mmの軸につくようにするものですから、φ15.88mmの鋸刃を使うときは、この修正リングを使わなければ良いわけです。
刃の傾斜角45度での切断【2018年4月2日追記】
刃の傾斜角45度について質問がありましたので追記します。
丁度、友人から頼まれて2×4材を45度の斜めで縦切りしました。下記写真は切断後のものです。
今回は刃の角度は、目一杯刃を傾けた状態(目盛りは44度と45度の間)で、友人はおよそ45度で良いとのことでしたのでこれで切断しました。切れた2枚を組み合わせると90度になっていました。
もし45度がでていないなら、下記写真のように、天板に角度ストッパーボルトがありますので、刃の傾き調整範囲の両端(垂直状態と45度傾斜状態)を調整できます。
もし、この調整でうまく行かないようなら、何か機構に不具合があると思われます。
ETS-10KNシリーズ記事
コメント
初めまして
1〜3まで読ませていただきました。質問なのですが、リンク先の「ノコ刃サイズ:外径255mm×内径25.4mm×60P(修正リング15.88-25.4mm併用)」とあります、15.88穴径の鋸刃をじかに取り付け可能なのでしょうか?
手持ちの鋸はシンコーのスライドソー(190mm)、マキタ丸鋸(190mm)TRITON ワークセンター2000(9″3/4吋 435mm)。今までTriton ダストコレクターをセットして使用していましたがもれこぼれる大鋸屑に閉口。その理由は鋸を冷却するため外部から取り入れた空気が大鋸屑を隙間という隙間に押し出してしまうことにヤット気付き、密閉型のテーブルソーを自作し、家庭用掃除機で吸引し、マキタをセット。つぎにfreud DADO 8″ をセットしようとしてハタと、「このままでは無理だ!」
サイコロ状のワークテーブルの内法は500mm四方、ここに収納可能な機種は、と物色中ここにたどり着きました。なおユキ技研のフレームは大判の部材カットを容易にするフレーム延長可能なのでその点については自己満足。天板ごとルーター、ジグソー各ユニット取り替えるシステムにしました。ユキ技研はこちら。 ↓
ワークテーブル (Work•Cube)と呼んでいますが、合板の表裏に大建遮音シートを貼り付け90dbを70dbにけいげん、もっと軽減できないか思案中。
http://www.yukilabo.co.jp/open_qhm_pub/index.php?LECOFRAME
シニアナビで日記カキコ中。よしなに
本文に追記しました通り、φ15.88mmの孔径の鋸刃を取り付けられます。修正リングを使わないだけです。
返信ありがとうございます。
はじめまして、木工歴4年目です!
同じテーブルソーを使用しているのですが、ノコの傾斜角度一番傾けて45度になるはずが、そこまで傾かないのですが、わたしのやり方がよくないのでしょうか。。
わかりましたら、教えていただけると嬉しいです。
丁度、鋸刃の傾斜角45度での切断をする機会があったので記事に追加しました。参考にしてください。
45度にならない件ついては、45度調整用ストッパボルトを回してみてください。それでもうまくいかない場合は、何か機構的な不具合と思われます。裏側を覗いてみてください。
写真つきでわかりやすい説明ありがとうございます!トライしてみます。
メンテナンス方法なども、わからず、油をさしたほうがいいのかなど笑、今後もブログ参考にさせていただきます☆