10月の天気の良い午後、この季節にしては暖かい日差しを浴びて気持ちよく散歩していたら、道端に結構いろいろな花を見かけました。このとき撮った写真を中心に秋の花を紹介します。
目次
たくましい野草の花
背高泡立草(セイタカアワダチソウ)
上記の写真の日差しを受けて輝くような黄色い花は、実は繁殖力が強すぎて嫌われ者の「背高泡立草」です。先入観無しで花だけを見ると日差しを浴びて輝くように綺麗で、原産地のアメリカでは州の花になっているところもあるというのもわかる気がします。
秋の野芥子(アキノノゲシ)
キク科アキノノゲシ属で東南アジア原産。人の活動領域にしか生えず、稲作と共に日本へ渡って来たとされる。春に咲く「野芥子(ノゲシ)」に似て秋に咲くので「秋の野芥子」だそうですが、葉は違うし、花もそれほど似ていません。薄い黄色の花は昼間開き、夕方にはしぼみます。
秋の野芥子は結球しないレタスの仲間で、葉や茎をちぎると白い液 (乳液)をだします。 兎の餌によく使われ、柔らかい若葉や蕾は食べられないことはないが、茹でただけでは苦味や渋味が残り、おいしくないようです。
花の後にできる実はそう果(果実の中に1つだけ種子があり開かない)で、冠毛があり小さいタンポポのようで、風で散布されます。
露草(ツユクサ)
右の写真のように、いかにも雑草らしく地面を這うような草に、小さい青紫の花がついていました。露草です。ツユクサ科ツユクサ属で東アジアで広く自生します。
名前は”露を帯びた草”から。朝露を受けて咲き始め、午後になるとしぼんできます。
古く万葉集などでは月草や着草と表され、花弁の青い色が「着」きやすいことから「着き草」と呼ばれたと言う。
花を拡大して見ると上の写真のようなに特徴的な形をしています。花弁は3枚あり、うち2枚は青で大きく、残り1枚は白で小さい。
この青色の花弁で紙や布を染めることができることから、「青花」(あおばな)、「藍花」(あいばな)と呼ばれ、染料としては容易に退色する特徴があり、染めの物の下絵に使われたりします。
花の季節に全草を採って乾燥させたものは生薬の鴨跖草(おうせきそう)と呼ばれ、下痢止め・解熱のほかダイエットに良いとか。 青い花が咲いている時期は食用にもなるそうです。
また、花を包んでいる苞(ほう)の形から「帽子花」(ぼうしばな)、蛍を飼うとき籠に入れることから「蛍草」(ほたるぐさ)とも呼ばれたりする別名の多い草です。
藤袴(フジバカマ)
これは我が家の庭に一人生えしていたもので、小さいピンク色の花がたくさんついています。調べて見てこれが「藤袴」なんだと知りました。この形で菊(きく)科なんですね。
花の色が藤(ふじ)色で、花弁の形が袴(はかま)のようであることから藤袴だそうです。
生草を少し乾燥させると、桜餅の葉(塩漬けされたオオシマザクラの葉)の香り(クマリンという成分の香)がして、中国では香水蘭(こうすいらん)とも呼ばれます。芳香剤の他、防虫剤、利尿剤、入浴剤として利用できるという。
昔からありふれた花でしたが、絶滅危惧種に指定されるほど最近は純粋の野生種が減って来ており、庭に咲いているのは大型で藤色が濃いのでおそらく園芸種だと思われます。
藤袴は秋の七草の一つです。秋の七草は山上憶良が万葉集の歌で選定したもので
- 萩
- 尾花-ススキ
- 葛花-葛(かずら)
- 撫子(なでしこ)
- 女郎花(おみなえし)
- 藤袴
- 朝貌(あさがお)-桔梗(ききょう)
「春の七草」と違い、「秋の七草」は花を見て楽しむもののようです。
人が植えて根付いた花
元は植えられたものが、今では他の野草たちと同様道端を飾ってくれています。
黄花秋桜(キバナコスモス)
道路に沿ってたくさん咲いているのは、写真歳時記黄花コスモスに蝶でも取り上げた黄花コスモスです。キク科コスモス属でメキシコ原産の多年草。コスモスの仲間で、黄色っぽい花が咲くのでこの名前になりました。
下の写真を見てのとおり、周りにつく舌状花は普通8枚で、先が3つに切れ込む。葉はコスモスよりも切れ込み方が粗く、裂片の幅が広いので、ヨモギのような感じである。
アメジストセージ
近所さんの道端に1mくらい伸びた茎に紫と白の花がたくさん咲いている花がありました。(下の写真)
調べると、紫蘇(しそ)科サルビア属のアメジストセージで、別名「サルビア・レウカンサ」、「メキシカンブッシュセージ」とも呼ばれ、原産地はメキシコ・中央アメリカの多年草です。サルビアの語源は健康でハーブの一つで、日本では秋に咲く短日性植物です。
遠目には紫色の印象が強く「アメジスト(紫水晶)セージ」という名の由縁です。
下の写真は花の拡大ですが、この紫色の部分は「がく」でフェルト生地のような毛が生えて軟らかい雰囲気を持ち、ベルベットセージと呼ばれることもあります。
「がく」からにょっきりと伸びるようについている淡いピンクがかった白色が花びらです。
冬の寒さが来るまで咲き続けて長く楽しませてくれます。
千日紅(センニチコウ)
50cmくらいの背丈で2cmほどの球状の濃いピンクの花がかわいく咲いていました。
ヒユ科センニチコウ属の千日紅で、熱帯アメリカ原産の一年草。千日草とも呼ばれ、夏から秋にかけて花の色が褪せずに咲き続けます。長い間咲き続けるといえば百日草ですが、千日紅と言う名は乾燥させても千日(3年)色褪せないということらしい。実際にドライフラワーにしても花色が褪せず、長い間楽しむことが出来ます。
花を拡大して撮ったのが下の写真です。花に見える部分は実は花ではなく、苞葉(ほうよう)と呼ばれる蕾を包んでいた葉っぱであり、その先から顔を出している小さく白いのが本当の花でです。
紅いところを触ってみるとカサカサとした感触です。「咲いている時からドライフラワー?」のような不思議な花です。