DIYに万力(バイス)は欠かせません。ちゃんとしたものは意外と高価で安いものを買うと精度が悪いことが多いのです。今回は購入した安物万力の精度を上げる改造を紹介します。
【追記】フライス加工で更に改善した内容を追記しました。(2017.10.29)
目次
二種の小型卓上万力を購入
プロクソン ミニバイス
下はプロクソンのXYテーブル用に買った小型バイスです。2,245円と少し高いですが、それなりの精度があります。
アマゾンで売っている「小型卓上万力」
アマゾンで同じくらい小型で安い小型バイス「小型卓上万力」(下写真)を見つけました。
開きが最大55mmの小型卓上バイスで、アルミ製で265gと軽いです。橙色のラバーの部分はネジで止めてあり、掴むものに合わせて取り付け位置を変えられます。机や作業台に直接固定することも可能です。
便利そうだったのでこれも買いました。同じものをたくさんの販売業者が扱っていますが、一番安いところで890円でした。
丸いものもつかめて便利
オレンジラバーのおかげで球体や楕円形小物も固定できるのが便利です。
締め付けると浮きが発生
以前の記事に書いたように、バイクのハンドルエンドを加工するとき使おうとしたのですが、写真のように可動片が浮いて掴んだものが傾いてしまいました。
単に掴めたらよい場合はいいけど、機械加工するためキチンと水平に保持したい場合はダメです。
それでこの小型卓上万力の精度を上げるべく改造をすることにしました。以下に紹介します。
可動片の浮きを対策(改造1)
可動片の浮きを防止するように下からワッシャーとビスで止めてあるのですが、浮きの原因は可動片の下の脚(突起部)が長過ぎて遊びが大きいためでした。
可動片の長い脚を削る
下は取り出した可動片です。長い突起部をヤスリで削りました。 アルミなので容易く削れます。
裏の摺動面を削る
削った可動片をはめた様子。
下がワッシャ―を取り付けた状態です。
相手の台側は塗装があり平らではありません。それで平に削りました!?というわけではなく、実はこの状態で強めに締めて無理やり摺動してワッシャ―で削れたものです。奥まっているのでやすりでは削れないのです。本来ならフライス盤(回転刃で金属の平面を削る機械)で削りたいところです。
【追記】最終は後記の通りフライス加工で削りました。
改善効果1
可動片の浮きはなくなりましたが、う~ん、未だ少し傾いています。
全体の精度アップ(改造2)
第2の原因は、咥え口の固定部側に比べ摺動片側の高さが少し高いことです。この辺の基本精度を全体に上げる改造を追加して行うことにしました。
台の摺動面を削る
摺動面が塗装では精度が出ません。全体にやすりで削りました。
ワッシャーを交換
改善1でワッシャーが小さいのが気になっていました。乗り代が小さいのです。内径は同じで外径が大きいワッシャーに交換したところピッタリでした。本来の設計ではこちらを使う意図ではないでしょうか。
ワッシャーの摺動面も前記と同じくワッシャー自体で粗く削った後、紙やすりで整えました。
咥え口の高さを揃える
閉じた状態でやすりで削ることにより、両者の高さは揃います。底面と平行に削ろうとするのですが、感覚でやったので平行精度はいまいちありません。
ラバー固定ネジを短く切る
可動片側のラバーを止めるときネジが最後まで入りません。可動片側のネジ深さが不足し、ネジ先当たっています。
元々製品そのままでその傾向があったのが、可動片のトップを削ったので余計目立つようになったと思われます。メネジの深さを長くしようと思いましたが、ネジがインチネジ(外径4.8mm#10)のためタップがなく、ビス側を短く切って対処しました。
改善効果2
以上の結果、下のようになりました。
ハンドルバーエンドを挟んでみます。
完璧ではありませんが、ほぼ思った通り改善できました。
改造を終えて
最初改善1までのつもりでスタートしましたが、満足できず結局改善2までやることになり、予想外に苦労しました。
- 単に保持できれば良い
- きちんと水平(垂直)に保持する
今回の教訓は、両者の間には大きな差があり、後者は難しいということでした。
更にフライス加工で改善(改造3)【2017年10月29日追記】
下記記事などで紹介しているようにフライス加工ができるようになりました。
それで、このバイスもフライス加工で更に改善しました。
上面の摺動面の平坦化
上面はヤスリで平坦化していましたが、感覚ではわからないうねりが生じていて摺動が固くなる場所がありました。それで下記の写真のようにフライス加工で切削して平坦化しました。
咥え口の天面の水平・平坦化
ハサミ口の上面も同じように切削して水平に平坦化しました。
これでハサミ口の上面が水平面として使えます。
裏面摺動面の平坦化
裏面はヤスリがけが出来なかったところですが、下写真のようにフライス加工しました
結果、裏面は最終下のようになりました。
全体としての仕上がりは当初の写真に掲げました。
この様にしてフライス加工により精度アップし、一段とガタなく全体的にスムースに摺動するようになりました。