家庭ゴミ集積所(ゴミステーション)設置工事をDIY

家庭ゴミ集積所(ゴミステーション)が道路拡張に伴い移転しなくてはいけなくなりました。現行のものは古くて寿命が来ていたので新調することになり、工事等全てDIYで行いましたので紹介します。

ゴミステーションとカラス対策

家庭ゴミ収集場の呼び方

各家庭から出るゴミを収集車が回収するまでの間置いておく集積場は、ゴミ集積所ゴミ収集庫ゴミ置き場ゴミステーションなど地方自体により呼び方が様々です。これを調査したサイトがありました。

総じてゴミステーションと呼ぶところが多いですね。これに限らず、現代の日本社会ではカタカナ(外国語、もしくは和製外国語)が多用されますが、かっこいいと勘違いしているのか、日本語能力がないのか、私は感心しません。外国語は高齢者が苦手だということも配慮すべきと思います。

ゴミ集積場は道路脇などに出しておくだけの場合と、ゴミを入れる箱や物置があるところもあり、ゴミ集積場全体をゴミステーションと呼んだり、箱や物置をゴミステーションと呼ぶこともあります。箱や物置には網を張ったものが多いです。

カラス対策

生ゴミ等のゴミ袋を道路脇などに出しておくだけの場合、清掃車が回収するまでにカラスが生ゴミを食い散らかすという問題があります。対策として網をかぶせるところが多いようですが、カラスは賢いので一筋縄ではいかないようです。

カラス対策は黄色い袋や網が良いという説がありますが

カラス対策に黄色いゴミ袋や網がよいという説がありますが、これは正確ではなく、カラスが黄色を嫌がるわけではではありません。

カラスは匂いより視力で餌を探します。人間の肉眼で見えない紫外線を見ることができ、食べ物の脂などが紫外線を強く反射するので見分けて漁ることができるということです。このことから、宇都宮大学の杉田昭栄教授が、人間の目には中身が識別できカラスには中身が識別できない袋として開発されたのが、紫外線をカットする加工がされている半透明の黄色いゴミ袋だったのです。

ですから、ただの黄色いゴミ袋や目の粗い網は効果がなく、それより黒いゴミ袋やゴミを新聞などで包み中を見えないようにする方が効果があります。

実際ある地域で、ゴミ袋の内側全面に新聞紙を入れているゴミ出しを見たことがあります。しかし、新聞紙で全部隠してしまっては、中身がある程度識別できるよう半透明のゴミ袋が指定されている意味がありません。包むなら残飯などカラスの餌になる部分だけ一部を包むようにすべきでしょう。

網より箱モノで対策するのが確実

それも面倒だし、視覚を遮っても一度学習したカラスには効果がないかもしれません。あと、ネットだと風で捲れたり、中身がはみ出したりと懸念事項が多いです。

結局、確実な対策は、箱モノに入れることです。

我がゴミステーションの実情

現状のゴミステーション

下の写真が現状のゴミステーションです。網を張っているのでカラスは大丈夫ですが、上下の隙間からイタチが侵入して荒らしたことがあり、隙間を塞いで対策しています。

現状のゴミステーション

もう40年は使っていて見ての通り錆びてきています。水路の上にあるので足元が特に錆びがひどく修理をして持たせてありますが、さらに底板も錆びてきてかなり危ない状態になってきており、全体として寿命が来ていると判断されます。

新調することに決め、公的援助をもらえないか調査

今回県道の拡張に伴い、この場所を空けなければならなくなりました。前記のような状況ですので移動・修理はあきらめて、この機会に新調することにしました。

市に問い合わせると、「道路に出しているだけの自治会に対してはカラス対策の網を援助しているが、それ以上のゴミ集積箱等は各自治会でやって欲しい」とのこと。

次に、「県道の拡張工事で移動が必要になったのだから、道路工事で費用の一部を負担してもらえないか」と県道工事事務所に依頼しましたが断られました。元々の水路の上への設置が無届だったのでこちらも強く主張できなかったのです。

かくなる上は地元の利用者でやるしかなく、費用を抑えるためにDIYすることにしました。

方針検討と設計

希望スタイルは

デザイン

田舎では上記のような網張の物置タイプが多いですが、大抵見栄えが良くありません。アパートやマンションなどはスペースの関係もあって箱タイプが多いですね。中にはおしゃれな見栄えのものもあります。

必要な容量 現状のサイズが必要か?

現状は上記写真のように人が入れる高さで積み上げればかなりの量が入りますが、この大きさは本当に必要かを考えました。

普段の生ごみなどの生活ごみは問題ありません。問題は田舎は庭が広いですから、野焼きが原則禁止になり剪定ゴミがたくさん出ることや、大掃除・整理などのゴミです。

カラス対策が必要なのは生ごみだけです。「ゴミをたくさん出すときは、生ごみ以外を区別して外に置く」ようにすれば、大きい容量の箱は必要なくなります。

価格

サイズにもよりますが、従来のように網を張った小屋タイプは20-30万円程度かかりそうです。容量が小さくなりますが、箱タイプなら半額以下ででき、DIYすれば工事費も節約できます。

DIYゴミステーションの例

DIYの例をネットで調べたらイレクターを使った例が、矢崎のホームページに掲載されていました。下記写真のイレクター作品大賞第六回受賞作品 特別賞:ゴミ集積容器(町内ゴミステーション用)です。

イレクターパイプで作ったゴミステーション 受賞作品

これは安くできそうで優れものですね。ただ欲を言えば、中身が見え過ぎるのと、ネットなど耐久性が心配です。

ゴミ収集箱タイプで選択

今回特に考慮したポイントは

  • メンテナンスが楽で耐久性がある
  • 見栄えが良い
    外観デザインが良く、中身がもろに見えない。
  • 価格が手ごろ

で、結果選んだのは右図のヨドコウダストピット Rタイプです。

グッドデザイン賞をもらっているだけあってカッコ良く、 値段も手ごろです。サイズが2種類あります。

  • DPRA-1507
    横幅1500mm 800ℓ(45ℓゴミ袋18ヶ相当)
  • DPRA-1807
    横幅1800mm 1,000ℓ(45ℓゴミ袋22ヶ相当)

一家庭にゴミ袋2個づつの計算で9戸用と11戸用ということになります。

その特徴は

  • 中身が見えないが、優れた通気性と排水性
    換気ガラリによる通気と底板の傾斜により水が溜まらない
  • 蓋が開けやすい
    ガススプリングと持ちやすいハンドルで上ぶたが楽に開閉できる。
  • 南京錠が取り付けられる
  • 物置譲りの耐久性
    材質はガルバリウムカラー鋼板、亜鉛めっき鋼管・粉体塗装仕上げ。物置の技術で錆びにくいようです。

詳細は下記メーカーのホームページを参照ください。

ヨドコウ ダストピット Rタイプ

 購入

ゴミの量が多いので大きい方の1800mmタイプを選択。それでも容量不足が心配なのですが、剪定屑は外に出せば行けるはずということで購入を決定しました。

今はネットで安く買って配達してもらえるので楽です。物置と同じく部品のキットになっていて、別料金で組み立てと設置工事もしてくれます。今回は節約のためDIYで組み立てと工事を行います。商品が届いて設置まで日にちがあったので保管の場所が必要でした。

移動先場所選定

個人の土地を提供してもらえることはまずないので、公共的な土地が必要です。客商売などの店のすぐ近くは嫌われます。これまでは水路の上に自治会で勝手に設置しており、県・市などへの申請はしていませんでした。

現状位置の道路向かいで、水路と道路の間に2mほどのスペースあります。調べると水路はいわゆる青線と呼ばれるもので、水路とその横のスペースも含め国有地で、今は市の管理となっています。市に問い合わせると申請すればゴミステーションとして使用可能だとわかり、ここに決めました。

構想と設計

斜面に設置する方法

設置スペースは斜面になっています。鉄骨などで台を作る案も検討しましたが、耐久性を考えコンクリート基礎をすることにしました。

中古のブロック、畦畔ブロック、硬質スチロールの提供を受け、活用

町内に中古や端材ですがブロック、畦畔ブロック、硬質発砲スチロールを提供して頂ける方がおられ、活用することにしました。硬質スチロールは土の代わりコンクリの下に敷くもので道路工事にも使用されます。

設計図の作成

設計図はJW-CADで作成しましたので、下に紹介します。クリックして拡大しないと縮小画面では分かりにくいと思います。

平面図

下が平面図です。県道と水路の間の幅約2mの斜面地にコンクリートで基礎を作り、ダストピットを設置します。横の空きスペースを低いブロック塀で囲います。

ゴミステーション工事 平面図

側面図

下が側面図(断面図)ですが、説明のため図法的には正確な断面図ではありません。

茶色はスチロールで、図にはありませんがその下にコンクリートベースを打設をしています。緑色が畦畔ブロック、青が普通の軽量ブロックです。

ゴミステーション工事 側面図

これは市への提出書類のために書きましたが、実際の工事では現場に合わせた変更が発生します。

申請書類の提出

下記書類を提出して申請しました。

  • 公共用地占有許可願い
  • 税金免除申請
  • 設計図
  • 隣地所有者の承諾書
    隣地(田)の農業関係者 土地改良組合、耕作者の承認
  • 自治会の承認(自治会長印)

設計図は素人の私が書いたものでしたが何も言われず、後日許可が下りました。

設置工事

調査や費用の援助、設計、申請などで時間がかかりました。道路工事の関係でリミットが近づいていましたので、夏の暑い時期でしたが工事に取り掛かりました。

基礎(コンクリート土間)工事

設置場所の準備(一日目)
草刈り

雑草が茂っていたので刈り取り、石ころを取り除きました。

敷地より少し広い位置に杭を打つ

土木・建築の工事は大抵くい打ちから始まります。今回も設置予定地の水路側に杭を打ちました。

設置場所 かなりの斜面になっている

底ベースコンクリート(2日目)

杭に水糸を張って道路との高さ関係を測定し、道路の高さに水平に板を張り付けます。以降は板から下の長さで高さの測定をしながら工事を進めます。

土堀り

設置予定地の底を掘ります。

板枠

コンクリート用の型枠を設置します。

コンクリートは手捏ね

この時はコンクリートミキサーがなかったので鉄板の上で手でこねました。5名で作業しましたが、7月のこの時期暑かったです。仕事は午前中で切り上げました。

下は作業がおわり、片付けた後の様子です。

底ベースのコンクリート打ち終了

ブロックで周辺を囲う(三日目)

畦畔ブロックや厚みの違うブロックを使って周辺を囲います。

高圧洗浄機でブロックの洗浄

頂いた中古のブロック類は長い間屋外に放置してあったので苔やゴミがついています。たわしでこすっていたのでは大変です。ケルヒャーの高圧洗浄機できれいにしました。

基礎ブロック設置工事

水路側は畦畔ブロックを横と縦に使い2段に積みました。横は軽量ブロック2段です。

下がその工事が終わったところで、2日目はここで終了しました。

コンクリート土間工事(四日目)
硬質発砲スチロール材を使用した盛り土

頂いた断熱材の発砲スチロールを盛り土の代わりに使います。道路などの土木工事で使われる手法です。もらったスチロールは端材なので並べて敷き詰め、砂で隙間を埋めます。

モルタル仕上げ

床面は雨水が流れる勾配を付けて、モルタルで仕上げます。

コンクリート土間の完成

乾燥でひび割れ

上の写真は次の日にもう乾いたところを撮影しました。工事は昼前にモルタル工事が完成し、夕方5時頃水を打ったが効果不十分、乾燥が早すぎてヒビが入ってしまいました。調べると、このような暑い時期はシートで被う対策が必要だということです。

ゴミ集積箱の組み立て(五日目)

一応設置場所ができたので、買っておいたダストピットを組み立てます。今回この工事を指導してもらっている先生と二人で作業しました。

説明書を見ながら組んでいくのですが、使用するタッピングビス・ボルトの種類が多いので、きちんと区別が必要です。

ネジ締めには電動ドリルを使いましたが、なめることも多いです。時間はかかりますが手で絞めた方が確実です。
なんとか下のように筐体が組み上がりました。

筐体の組み上がり

最後に鍵を取付用としたら嵌め合いが少々ずれています。(≧▽≦;)
ネジを弛めて筐体の歪みを調整するにはかなり工程を戻る必要があります。(´ε`;)メンドクサ…

先生はフックの受け金具を少し削って対処されました。下の写真の赤〇部分です。

フック部分

ダストピットの設置(六日目)

設置工事

組みあがったダストピットを軽トラに乗せて現地に運びました。予定通りの位置(隅奥)に置きます。

ダストピットを設置したところ

裏側から見た設置の様子

固定

強風で倒れたりしないようコンクリートアンカーで固定します。

位置を決め土間にアンカー指定の穴をあけます。振動ドリルを使いますが、モルタルなんで何とかあきました。

穴があけばあとは難しくありません。アンカーをハンマーで打ち込んで固定し、ダストピットの脚についている固定金具をボルトで固定します。

アンカーで固定

この後、耐久性向上のためアンカー部分をモルタルで覆いました。

外スペースのブロック囲い(七日目)

ダストピットの右側のスペースの用途は下記の通りです。

  • 再生ゴミ収集時の収集箱・袋の置き場
  • 剪定ゴミなどカラスの心配のない燃えるゴミ置き場

これらが風で飛ばされたり、溝に落ちたりしないよう囲いをします。土間全体を囲う方法もありますが、今回は必要最低限の範囲に絞り、下の写真のようにブロックを積みました。ここに使ったブロックは購入したものです。

ブロックの囲い

オリジナル設計では2段でしたが3段に変更し、縦・横に鉄筋を入れています。
縦筋は土間にドリルで穴を開けて差し込んでいます。きちんとした設計なら土間を打つときに立てておくのですが、簡易法です。

鍵とステッカー

この場所は県道際にあるため部外者のゴミの持ち込みが懸念されます。それで収集日以外は鍵をしています。従来は南京錠だったのですが鍵を管理しなければならず、今回は鍵が不要な数字タイプにしました。

ステッカーと鍵

ステッカー

また、写真のようにステッカーを貼っていますが、これもDIYで作成しました。

使ったのは右のA4サイズの商品です。

  • 印刷用フィルム
  • 保護用フィルム

で1セットで3セット入っています。使用法は

  1. 印刷用フィルムにインクジェットプリンターで印刷する
  2. 保護用フィルムの保護紙をめくりながら、2枚を貼り付ける
  3. 必要な大きさにカットする
  4. 印刷用紙の保護紙をはがして貼り付ける

全体の様子は下のようになります。

スタッカーの耐久性向上

反省点として、上記説明書通りの方法だと印刷フィルムと保護フィルムが同じ大きさになるので、周辺から雨水が染み込みやすくなります。実際一年経過して剥がれてきています。

対策として、先に印刷用紙だけを貼り付け、後から少し大きめにカットした保護フィルムを貼るようにすれば改善できると思います。近いうちにこの方法を試してみようと思っています。

工事期間

作業は原則日曜日、暑い時期なので午前中の半日、人数は最大5人(コンクリート工事のとき)、お盆の時期は行事があるので中断しました。結局工事期間は一月半位かかりました。

設置工事後

市への報告

  • 設置工事完了報告書
    写真を付けて報告しました。
  • ゴミステーション移動の報告
    収集を新しいゴミステーションでしてもらう手続きです。

旧ゴミステーションの処分と周辺整備

工事業者の便宜が得られた

当初県道工事事務所に申し込んだ援助は断られましたが、後に、道路工事の業者に頼んだら便宜を図ってくれました。

  • 不要になった古いゴミステーションの処分
    工事の他の廃材と一緒に処分してくれました。
  • ゴミステーションと道路の間の嵩上げ
    道路の舗装面の仕上がりが従来より高くなったのでその分ステーション前の土間の嵩上げをしてくれました。
  • 横斜面の整備の援助
    斜面の崩れ対策に使う縁石の移動や土砂盛りなどの作業をやってくれました。

これらの作業は人手でやると大きな労力ですので助かりました。ダメもとで依頼はしてみるものです。

費用集計

今回かかった材料費をまとめると以下のようになりました。

No 材料品名 単価 数量 価格
1 ゴミ収集箱 91,900 1 91,900
2 セメント 25kg 377 12 4,525
3 砂 20kg 213 30 6,390
4 砂利 20kg 205 18 3,684
5 バラス 20kg 214 7 1,496
6 鉄筋 475 5 2,375
7 ワイヤーメッシュ 408 2 816
8 市への許可申請書類用
公図取得手数料
450 1 450
9 コンクリートブロック 105 18 1,890
10 数字鍵 1 699
材料費 合計金額 114,225

上表は実際出費した費用の集計で、金額は全て消費税込みです。
他には、好意で提供してもらったコンクリートアンカー、コンクリ用ドリル錐、中古ブロック、発泡スチロール等があります。

材料費は利用している各戸で等分して負担しました。その他の労働力、用具・工具、休憩のお茶・お菓子、水道・電源コンセントの提供など、それぞれの住民ができる範囲で協力し合いました。

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