少し前になりますが、ポリ袋の空気を抜いて保存するツール「CLICCA」を家電量販店で偶然見つけて、買ってきました。実際使ってみたところを紹介します。
目次
CLICCAとは
袋のまま簡易真空保存する「クリッカ」
買ったのは右の「CLICCA(クリッカ)スタート4個セット CLIP-4で、当時2,000円(税別)でした。中身は
- 弁 橙2個、緑2個の合計4個
- クリップ 4個
- 手動ポンプ
別売でCL1-2:バルブ・クリップ追加2個セット もあります。
専用袋ではなく市販品や商品の入っていた袋を使えるのが特徴です。
真空?保存
簡易真空保存と謳っていますが、真空という用語に違和感を覚えます。
一般に真空環境では、次の2種類の要因で食品保存に効果が期待できます。
- 容器内の空気を追い出す・・・空気が殆ど無い
- 容器内の気圧が低い・・・真空
固形容器の真空は、1.空気を抜いて、結果2.内部圧力が下がります。この商品の場合、空間自体が縮小し、1.残存空気が少ないことでは優れていますが、わずかに残った空間の2.圧力はそれほど低くないでしょう。
問題はその状態を持続できるのかですが、パッと見て、クリップと弁(バルブ)、この程度で空気の戻りを防げるのか?と思いました。
使い方
バルブを袋に装着してポンピング
- 2個ペアになったバルブを袋の内外から挟み、押し込んで固定する
このとき、バルブ中央の突き出た部分で袋に穴が空きます。
取り付ける位置は、入る物やクリップの取り付け位置を考慮して決めます。 - 保存したいものを入れ、袋の空いている口をクリップで閉じる
- ポンプをバルブにあてがい、手で操作してシュッシュと空気を抜く
- 空気がなくなり、抵抗が大きくなったらポンプを外す
使える袋
専用の袋もあるようですが、市販のジップ袋、商品が入っていた袋も利用できるというのが謳い文句です。
ただし、クリップで挟める幅は20cm弱で、メーカー指定の厚みは 0.06mm以上です。
実際上の要点は
- 袋のサイズはバルブやクリップを取り付ける大きさの余裕が必要
- クリップで挟むところのしわをとる
- 幅が広い袋の場合、斜めに切るなど明け口を狭くする
- 背面に帯がある合掌袋はやや気密不十分になる可能性
- 商品の袋にこだわらない
伸びないガサガサした袋より、伸縮性・柔軟性のある袋が適している
粉を入れる場合
粉が弁に付くと空気が漏れます。粉物は別の袋に入れて2重にすれば使えるでしょう。
珈琲も粉が出るので直では駄目で、2重袋にする必要があります。
液体を入れる場合
空気を抜くときが難しいでしょう。凍らせてから、キッチンペーパーでさっと水分を取れば行けるかもしれません。
使用結果
空気を抜くことはできる
ポンプで何回かスポシュポすれば空気が抜け、袋がペチャンコになります。ポンプを外しても戻りません。下はコーヒー(粉)と菓子袋の例ですが、うまくいきました。
一日で空気が入り、長期の真空を保持できない
しかし大抵の場合次の日には空気が入っていました。密封が完全ではないようです。
何か悪いところがないか見直して何回か試しましたが、劇的には改善されませんでした。
空気が入る要因を考察
弁(バルブ)について
弁は他の真空容器でも実績があるシリコン樹脂でできていますが、クリッカでの懸念は、
- 内容物が付着しやすい
通常固形容器は蓋に弁が付いているが、袋の場合内容物との距離がないので、内容物の粉が弁につきやすい。 - 負圧効果による密着力が弱い
真空容器の弁は真空度が上がるにつれて大気の圧力がかかり、弁を容器に密着させるが、袋はそのような作用がない。
クリップについて
- 市販商品に多い合掌とじの場合、帯部分での厚みの段差が影響すると思われる
- 袋の厚みがメーカー指定の0.06mm以上あるかわからない
袋が薄いかもしれないが、家庭で測る手段がないし、袋にも厚みが書いていない - クリップの能力の限界
そもそも市販の袋とクリップで完全な密閉度を得るのは無理なような気がする
結論
市販のポリ袋をそのままバルブやクリップで留めて真空にする発想は良い。これがしっかり機能すれば便利な商品です。
しかし、現状のものでは、気密が十分ではなく、少しずつ空気が入ってきてしまうのです。数日間キッチリ保存したい時は、1日ごとにポンプで空気を抜くなどしなければなりません。
袋に入れて冷凍する前に空気を抜くぐらいの用途なら実用的に使えると思いますが、袋で長期真空保存したいなら、専用の真空パック器を買った方が良いでしょう。