自分で不動産登記 (3)建物表題登記用図面の作成

建物図

今回は、建物表題登記で必要になる図面(建物図面と各階平面図)の作成について紹介します。

作成にはパソコンを使いますが、使用アプリソフトウエアは、JW-CADです。 初めてのJW-CADですが、連休3日間で作成しようという試みです。

準備

建築表題登記に必要な図面の概略

  • 建築表題登記の申請には、建物図と、各階平面図を添付することが必要
  • B4の用紙の左半分に各階平面図、右側に建物図を描く
  • 建物図は建物の立つ敷地の形状と、建物の配置関係を表すもの、縮尺は1/500
  • 各階平面図は各階の床面積を表す平面図、縮尺は1/250、各階ごとに床面積の計算表をつける

JW-CADを準備する

今回図面作成に使用するJW-CADは、日本製の建築用CADソフトでフリーウエアです。 ソフトメーカーのCADが、その存在を脅かされるくらいすばらしいとの評判で、かねて使ってみたいと思っていました。

JW-CADをインストール

JW-CAD本家のホームページJw_cadのページのリンクから最新版(執筆時点でVer7.11)をダウンロードします。

これを解凍してインストールするのですが、JW-CADは1997年からの歴史があり、今となっては流儀が古い部分があります。プログラムとデータを一緒に一つのフォルダに入れるタイプなのです。なので普通にProgramとしてインストールすると、プログラムとデータを分離扱いする最近のOSではセキュリティチェックに引っかかってしまいます。
私はWindows7を使用していますが、インストールするフォルダはDドライブにJW-CAD用フォルダを新しく作るよう指定しました。

それ以外は普通にインストールできます。 下図はJW-CADを立ち上げたときの画面です。

JW-CAD画面

操作に慣れる

設定関係はとりあえず初期設定のままでOKです。

JW-CADの操作は、最新のWindowsCADの作法とは違う独自な所があります。
私が気がついた主なポイントを列記します。

  • 画面上部のバーに操作の細部動作設定があり、画面下に次の操作の説明が表示される
  • マウスを左右同時にクリックしながら動かす方向で、表示画面の[拡大]、[縮小]、[全画面化]、[前回サイズに戻す]ができる
  • マウスで場所を指示するとき、左クリックは任意の点、右クリックは線の端点
  • 範囲の選択時、終点指示に左クリックは図形のみ選択、右クリックは文字も含まれる

他にもあると思いますが、要するに慣れです。わからないことがあればネットで検索すれば親切な解説がすぐ見つかり、マニュアルは必要を感じません。

レイヤーを覚える

CADが紙の製図と違うところですが、描き始める前にレイヤーの仕組みを理解しておく必要があります。

  • JW-CADは16のレイヤーグループを持ち、各レイヤーグループには16枚のレイヤーがある
  • レイヤーごとに表示・非表示・すかし表示に切り替えられる
  • レイヤーグループごとに縮尺が変えられる
    登記申請では建物図面は1/500、平面図は1/250であるが、このレイヤーグループで対応できる
  • 下書きや面積を計算するための補助線を別レイヤーにしておき、表示・非表示を切り替える
    使用例として、各階平面図をグループ0、建物図をグループ1、画枠(製図枠)をグループFなどとします。

図面の作成

画枠を用意

図面を書くにあたり、先人が用意してくれたサンプルファイルを利用すると手早くできます。
私はJWWで建物登記図面を作成しよう!から頂きました。リンクページの右上にダウンロードリンクがあります。
登記に必要な大きさはB4ですが、JW-CADにB4の用紙設定が無いので、A3の用紙にB4サイズの画枠が書かれています。画枠はレイヤーグループFに置くのが一般的で、これもそうなっています。

これを雛形に作成していきます。

方位について(2016年9月14日追記)

建物図面は水平、垂直線で描くのが楽で見やすいです。上記ひな型に北方指示マークがありますが、これを回転するには、JW-CADの移動(または複写)機能を使い、貼り付けるときに画面上部のウインドウで回転角度を指定します。

各階平面図を描く

1階の平面図

先のリンク JWWで建物登記図面を作成しよう! では、敷地の測量図、もしくは座標成果を入手して座標を展開する方法の説明がありますが、今回座標データがないため採用せず、普通に書いていきます。

書き方の要点は

  • レイヤーグループ0を縮尺1/250に設定して、左上部に書く
  • まず水平線と垂直線を使って書く
    JW-CADでラインをX,Y方向に固定しておく
  • 線の端点を右クリックで掴んで線を引くことにより正確に繋ぐことができる
    斜め線はこの段階で正確に書ける
  • 寸法の表示
    登記申請では建築や機械製図のような寸法補助線は使わないようです。
    寸法はラインの外側に書くだけ。入り組んでスペースがないときは引き出し線を使う。
2階の平面図

一階と同様にして二階部分を下側に書きます。

  • 一階をそのまま別レイヤーの下方にコピーして下図とする
    このとき、階の上下で対応する左右位置を揃える必要がありますが、y方向移動の複写を使うと完璧に一致させることができます。複写時の書き込みレイヤーの設定に注意してください。
  • 更に別のレイヤーに2階を作図します
    先の下図のレイヤーを「すかし」にしておき、それをなぞりながら2階を書きます。下図の端点は右クリックでつかめます。
  • 2階と違う1階の部分を破線(点線)で描く
床面積の計算

まず、一階の床面積を計算します。

要点は

  • 長方形に分割して面積を計算
    別レイヤーに分割の補助線を引く。
    計算がやりやすい合理的な分割をする。
    有効桁数はmm単位までが普通ですが、建築確認の図面の通りにするのが無難です。
  • 各分割長方形の辺の長さをJW-CADの機能で測定して確認する
    JW-CADはmm単位だが、表題登記の単位はm(メートル)です。
  • 各分割長方形の面積を計算し、それらを合計する
    私はエクセルで表にして計算しました。計算途中は全ての有効数字を使います。
    丸めて計算すると分割法により面積が少し変わる可能性があります。
  • 最後に床面積として、切捨てで小数点以下二桁にする
  • 計算した床面積が、建築確認の床面積と比較し、妥当であることを確認する
    私の場合、法務局で確認したとおりバルコニーを入れていないが、建築確認には入っているので差が出た。

2階の床面積も一階と同様にエクセルで計算します。

求積表を平面図に付ける

エクセルの表を、JW-CAD上で文字で書くのは、手間です。
エクセルの表をJW-CADに貼り付けるフリーソフトを見つけたので、利用させてもらうことにします。 エクセルのアドインソフトで、かなり以前に作られたものだが、エクセル2007,2010でも使えるようです。

 ・インストール

ベクターの エクセルで作成した表を Jw_win にコピーするエクセルアドイン からダウンロードできる。

・使用法

使い方のテキストが同梱されています。
エクセルで作成した求積表部分を選択しアドインを実行、JW-CADで貼り付けする。
私の場合アドインの設定で、縮尺を1/250にして図面上の長さを50mmに指定したらぴったりの大きさにできた。

建物図を描く

一階平面図をコピー

建物を表すものとして一階平面図を使います。

  • 建物図は、レイヤーグループ1で、縮小率1/500に設定します
  • 建物を表す一階平面図は先に作ったものをコピーします
    1/2に縮尺されて貼り付けられるようにします
  • 方角は普通はそのままコピーした方がよい
    建物図が各階平面図と同じ方角のほうが見やすいからです。
    この結果、通常上が北である敷地図を、建物にあわせて回転して描くことになります。
    逆に敷地図の方角に建物図を合わせたいときは場合は、上記コピー時に回転して貼り付けます。
敷地は、何を元に作図するか

当地は地積図が無い地域なので、公図と建築確認の図面で敷地図を書くことになります。

公図は今のような技術が無い昔に作られたもので、寸法も入ってないので、現状で改めて境界確定して実測した図面とは違ってくるのは普通のことである。
今回も、実測して書かれた建築確認の三斜求積図と違っていました。 しかし、三斜求積図は面積を求めるときの図面で、寸法関係の情報はCAD入力するのに十分でない。

それで今回のような目的には、スキャナーで読み取り、JW-CADに取り込んでなぞる方法を採用します。 建物図は、境界と建物の距離以外の寸法は書かないので、敷地はこれで十分過ぎるくらいなのです。

JW-CADへの画像の取り込み方法は

JWのCADの使い方ー 画像編集(画像挿入・画像同梱)

に解説されています。 ただし、JW-CADはオリジナルのままではBMP形式にしか対応しておらず、JPEG画像を読み込むことができません。次のいずれかの対応策が必要です。

  1. スキャンデータをBMP形式にする
  2. JPEGなどを読み込めるプラグインをJW-CADにインストールする
    JPEGのファイルを取り込む「スージープラグイン」をJW-CADのフォルダにコピーします。
敷地図の作成

このように、三斜求積図の形・大きさを写し、公図の情報を入れて敷地図を作ることになります。

1.三斜求積図をスキャナーで取り込む

三斜求積図もしくはそれを元にした建物位置を含む図面を用意してスキャンします。
複合機附属のスキャナーソフトの設定にBMP形式があったのでBMPで取り込みました。

2.JW-CADに取り込む

取り込みはJW-CADの画像コマンドで行います。具体的には

JWのCADの使い方ー 画像編集(画像挿入・画像同梱)

を参照するとわかりやすい。

3.基準となる線を決め、別のレイヤー上に対応した線を引く

取り込んだ画像を下書きにするため、拡大縮小・回転・移動したいのですが、そのためにどこか基準線を決めます。そして敷地を描くレイヤーに対応した線を引きます。

4.JW-CADの拡大・縮小と回転で、建物の大きさと向きを合わせる
  • 画像の線が敷地図の線に一致するように、移動コマンドで対応点を指示するだけで拡大縮小・回転・移動が一発でできます。
  • この場合もとの三斜求積図に建物が配置されていたほうがわかりやすい
  • 敷地の外形がある程度正確でないと一階平面図の配置関係の矛盾が露呈してしまいます。
5.方角マークを入れる

私は、元のサンプルにあった方角マークを地形図の方向と合わせて回転・移動しました。

6.基準線からなぞる形で地形図を描く

精度についてはそこそこで良く、それほど神経質になる必要はありません。

7.最後に公図に似せて道路や隣接地の地番などを記入

ちなみに公図もJW-CADに取り込んでみましたが、一致しないというか、派手に違っていました。 昔からの公図は寸法の正確性は考慮されていない説明イラストなのです。

今回作成した敷地図は、建物の図面にあわせてた寸法の正確性をもたせるために公図を作り直したようなものです。

配置関係の寸法を記入

後は敷地境界と建物の距離を書きます。寸法は建築確認の図面に書かれています。

通常3点の寸法で位置関係を示しています。 敷地境界線と建物が平行の場合は2点で指示される場合があり、今回はそれでした。

以上により下記のような図面ができました。

各階平面図・建物図

図形描画にはどれだけの精度が必要か

1.各階平面図
  • 床面積を決定するのが目的なので図形自体の精度はそこそこでよいと言えます
  • 各寸法については、建築確認の図面は設計図なので理論値であり、実物は誤差が生じているはずです

しかし出来上がっている建物を測定しても精度はしれているので、実際的には建築確認図面の流用しかないと思います。
もちろん、確認のため何点か実測しますが、もし施工ミス等で違っていれば大変なことです。(全て測定しなおし、建築確認図面の修正)

 2.建物図
  • 地積測量図が無い場合、敷地の形状は公図に準じた正確さで良いことになります。建物の配置が特定できれば、かなりラフでもOKかと思われる。
  • 肝心なのは境界線との距離で、再測定して確認しておきましょう。

要するに建物の配置が特定できて床面積をきちんと出していると登記官が認めれば良いわけです。 実際もっとラフな図面でも認められるらしく、床面積など意識して多少小さめにするとかも可能かも?

印刷出力

図面が書けたら、JW-CADの移動機能を使って配置関係を整えるなど、全体の体裁を綺麗にします。

プリンタがB4で出力できない場合の対処

B4で印刷出力できれば良いのですが、プリンタがA4までの用紙にしか対応していないことが多いと思います。私は次のようにしてB4に出力しました。

1.プリンターでA4に縮小印刷します

まず、プリンターの機能でA4にモノクロ印刷しました。

2.コンビニなどでB4に(拡大)コピーする

次にコンビニに行ってB4に拡大コピーしました。
線の太さが0.2mm以内という規定がありますが、拡大コピーでも十分範囲内です。

当地では用紙はコピー紙でよいことを確認済ですので、このまま提出できます。

以上、図面の作成は二日でできました。 JW-CADや、Exsel Toなどのフリーソフトや自分で登記した先人のおかげです。<(_ _)> 感謝を表明します。

実際の登記申請については下記の記事で紹介していますが、この図面でまったく問題ありませんでした。

自分で不動産登記 (2)建物表題登記
前回の地目変更登記に続いて、今回は建物表題登記の申請です。 10月15日に申請、16日に登記官から問合せ電話、24日に登記所に電話したら登記完了していて、29日に登記完了証を受け取りました。 ...


所感:規制緩和(行政改革)が必要

建築確認と登記の2重行政の無駄

今回の作業を終わって、なぜこんな無駄なことをやっているのかと痛感しました。

  • 行政の現地確認は建築確認で終わっている
  • 図面の作成は建築確認で実質できている

なのに、建築確認と登記法が別に動いているので、その形式を合わすためだけの図面作成の作業と現地確認(土地家屋調査士、または登記官)が必要になっている。

その手間、費用の無駄が日本全国で発生し続けているわけです。新築で建築確認できているなら、本来、土地家屋調査士の出番は必要ないのです。

行政改革案を提案する

で、新築の場合以下のように行政改革することを提案します。

  1. 建築確認時に登記に必要な建物図、各階平面図を作成する
    建築設計士にとってはほんの少しの手間でできることである
  2. 建築基準法と登記で床面積の算出基準を統一する
    どうしても統一できない分は明確にして建築確認時に登記の床面積も算出しておく
  3. 登記時には建築確認で検査された図面を提出する
    登記所の現地確認は本人申請でも不要になる

これで、土地家屋調査士を介さず、本人もしくは司法書士でも容易に申請できることになります。 そして何よりも日本全国で繰り返されている無駄を改革できます。

政治家の方、見ていてくれてますか?よろしくぅ(^o^)/

※個人情報保護のため実際の申請内容とは変えている部分があります。


登記申請で参考にしている本です

  


スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

  1. こさか より:

    初めまして 登記を自分でやろうと思って奮闘しています。
    建物表題登記用図面作成における質問ですが、
    対象が2個(住宅と倉庫など)有る場合の図面の構成や
    JW-CADでの作成方法について分かれば教えてください。
    よろしくお願いします。

  2. e-farmer より:

    ブログ訪問ありがとうございます。

    ご質問の件、私も建物表題登記はこれが初めてで2棟ある場合は経験がありませんが、次のように考えます。

    1.別々の登記にする場合
     通常は1個の建物ごとに1つの登記簿になり、建物表題登記は建物ごとにします。

    2.登記を一つにする場合
     昔の田舎の登記では、母屋を主たる建物、便所や納屋、風呂場を附属建物にしたものがよくあります。
    こさかさんの場合も住宅と倉庫が近接していて効用上一体として利用される状態にあれば、倉庫を附属建物として、1つにすることができるのではないでしょうか。

    こさかさんが知りたいのは、この場合の図面の構成をどうするかということだと思いますが
     ・建物図には主たる建て物と付属建物の両方配置
     ・各階平面図も2棟分を同一の用紙に書く
      2棟であっても住宅と倉庫ぐらいなら規定の縮尺で用紙の大きさに十分入ると思います。
    ということになるのではないでしょうか。

    以上は所詮素人の私の考えで自信はありません。
    地方によって受け付けの規則が違ったりおしますので、一度近くの登記所に行って相談されることをお勧めします。昔と違い、相談専門の担当者がいて無料で親切に教えてくれますよ。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

トップへ戻る