以前の記事ディオワールドのツールマスターズ で紹介しましたが、昨年の春、写真の”マルチプル電動スタンド”なるものを買っていました。
丸鋸、ルーター、ジグソーを取りつけることができる簡易テーブルです。
最近になってぼつぼつ使い始めたのでレビューします。
“マルチプル電動スタンド”はこんなもの
私は別記事で紹介しているようにホームセンターで買いましたが、ネットでも売られています。
丸鋸、ルーター、ジグソーの3種類を取り付けられるマルチ卓上スタンドである。 テーブルサイズ:440mm×350mm、高さ:240mm、重量6Kgと小型軽量。
真上からの外観と取付工具
右は上から天板をみたもので、厚み2mmの鉄板をプレスで成型しており、電動工具を固定するビスの頭と工具の刃が出る穴が見える。
工具の取付位置は、右側が丸鋸、左上がルーター、左下がジグソーで、刃を穴から上に突き出せる位置に裏から当てがい、L字金具と蝶ナットで固定する。 ただし、一度に使えるのは一つだけで、他の工具を使いたい時は付け替える。
中央やや左寄りの縦のラインは、丸鋸用傾斜定規のバー用ガイド溝である。
電気的スイッチの類はなく、電動工具のACプラグを直接ACコンセントにつなぐ。
長所
- 安いこと
同じような丸鋸用テーブルは大手メーカー純正品もありますが、値段が倍以上高い。 - 丸鋸の他にルーター、ジグソーと計3種の電動工具が使用できる
短所
1.テーブルが小さく、天板の平坦性も良くない(右写真)ので、精度は本格的な工具に劣る
- きっちりした「直角」・「直線」で切りたい場合、細かな調整がやりにくい
- 精密な加工はむつかしい
- 縦切りガイドを平行に固定するのが面倒で、固定するとき動きやすい
- 傾斜定規は簡易型。ガイド溝も天板にプレスによる浅い窪みをつけたもの
2.丸鋸の安全カバー(セーフティーガード)が簡易型
- 丸鋸の傾斜切断ではカバーが使えない。
- 安全カバーの取付部は右写真のようになっており、着脱が面倒である。
3.電気的なスイッチがない
スタンドの下に手を入れて直接工具のスイッチを入り切りしなければならない。
これは手元スイッチをつければカバーできる。
私は右写真のように、コードリールに100円ショップで売っている節電スイッチをつけている。
ただし、この方法は、工具の電気ブレーキ機能は効かない。
評価
事項以降で紹介するように、実際に使ってみると、電動工具を手持ちで使うのと比べ、できることが大違い。固定により作業性も向上するし、それなりに役に立つことがわかった。
「テーブルソーやルーターテーブルを使ったことが無いので、購入や自作の検討のためにがどんなものか試してみたい」とか、「使用頻度がほとんどないのでお金をかけたくない」という場合にはちょうど良い。
丸鋸をつけて使う
ブログ *ever green* ~ナチュルNaturally~|マルチプル電動スタンドで、ほぞ作り にレビューされているのが参考になります。
ここでは角材の角を45度に切り取る傾斜切断の例を紹介します。
丸鋸の取り付け
右は下から見た丸鋸の取り付けの様子。
丸鋸は日立の7型160mm。 ボルトと丸鋸のベースの距離があると締め付ける位置が支点側に近くなり、てこの(逆)原理で丸鋸の金具に力がかからない。蝶ナットの手締めだけでは緩くてプライヤなどを使う必要があった。あまり強く締めすぎるとテーブルを変形させる恐れがある。
マキタの9インチの丸鋸もつけてみたが、今度は大きすぎてルーター止め用のビスを外さなければならないほどギリギリだった。
傾斜角度を先に丸鋸単体で設定した後、テーブルに取り付ける。 右は真横から見た取付の様子。
右はテーブル上面。安全カバー・割刃は、傾斜切断に対応していないので外している。
溝の幅は45度にギリギリ対応できているが、7インチの丸鋸では鋸刃の出量が小さく、厚みのあるものには対応できない。
縦引き用ガイドは平行に位置設定するのが面倒で使いにくい。先に紹介したブログ記事のように、別のガイド板をクランプで止めた方がましだろう。
角材を加工する
テーブルの足に使う予定の角材(古材)の一角を、斜め45度に落とす「縦引き」をした。
右図のようにできあがった。穴などがあるのは古材再利用のため。黒い部分は切削による焼けで、後でサンダーで仕上げて消す予定。
角を落としたのはデザインのためであり、寸法精度は必要ない部分なので十分目的を達した。 確かに手持ちの丸鋸では難しいことを、これを使えばできることを実感した。
ルーターをつけて使う
上記角材の加工後、記事テーブルソーETS-10KN (1)購入で紹介したようにテーブルソーを買ったので、私としてはこちらのルーターてブルとしての使い方に期待している。
取り付け
ルーターはボッシュのPOF-400Aです。説明書には「ルーターテーブルに固定する使い方には対応していない。どうしても使いたいなら電源スイッチ部分をポリ袋などで包んで使え」とあった。防塵対策だろう。
取り付け時や高さ調整の時は台ごとひっくり返してやりましたが、本格的なルーターテーブルと違い、台が小さくて軽く、オープンなのでやりやすいです。
ガイドなしの加工例
右はガイドを使わない加工の様子です。
次項で紹介するガイドフェンス用の底板に半円状の穴を削っています。材料を両手で持つことができ、刃がよく見えるのでやりやすい。
ガイドフェンスを作る
簡単なルーター用ガイドフェンスを作りました。
ガイドフェンスは、テーブルに当たる底面と材料に当たる面の平坦性、それに両者の直交性がきもです。
材料は手元にあった古材の単板を利用したのですが、一見真っ直ぐに見えていても反っていますし、厚みも一定ではありません。 選別しても平坦度の良いのは片面だけで、反対面で直角を出さなければならず苦労しました。素直にMDF材を買ってくるべきでした。
角材のエッジを丸に加工
できたガイドフェンスを使い、先に加工したテーブル脚用角材の反対の角を丸く削ります。
右はガイドフェンスを2個のクランプを使って電動スタンドのテーブルに取り付けた様子です。 写真にはありませんが、作業するときはスタンド脚の爪をクランプで作業台に固定します。
ルーターの位置が中央でなく左寄りですので、テーブル左側を延長したいところですが、入り側が長いので何とか使えるだろうと、このままやってみます。
削る量、即ちビットの刃を出す量(右の写真の小さい○印)の調整は、ルーターの機能を使います。
このPOF-400Aは戻す方向のバネ力が強いので刃を出すのに力が要ります。なので微調整どころではなく、ストッパーに突き当たるまで出して固定するしかありません。
よって高さ調整は、ストッパーをセットする位置を、目盛りを頼りに設定することにより行いました。(右の写真の大きい○印)
フェンスの位置とビットの高さの微調整は、試し削りと修正を何回か繰り返して行いました。
こうして設定ができたらいよいよ本番の切削です。 角材を右からガイドに沿ってゆっくり送ります。これぐらいの削りシロだと一回で削れます。 準備の時間に比べ本番はあっという間に4本とも終わりました。
右はさらにサンダーで仕上げたものですが、傷を埋めたダボが無ければ塗装がいらないくらい表面がきれいです。
本当はもっと大きなアールの丸みにしたかったのですが、手持ちビットの大きさによりギリギリ精一杯です。 まあ、「真四角の脚に比べればデザイン性向上著しい」と自画自賛。
σ(^_^;)
ジグソーをつけて使う
ジグソーについては下記記事に掲載しましたので参照ください。(2017年9月12日追記)