昨年春の事故を経験してドライブレコーダーの必要性を痛感し、乗り換え予定の新車には取り付けようと思っています。新車はまだですが、種々検討のため先行してDOD社のIS220Wというドライブレコーダーを買いました。
【追記】吸盤が脱落するようになったので対策しました(2017.7.26)
目次
ドライブレコーダーの必要性を実感
証拠がなければ事故時の過失割合は形式的に決まる
例えば私が昨年経験した直進車と右折車の事故の場合、過失割合は原則、直進:右折=2:8で決まってしまう。それを変えるには、相手が認めれば別ですが、主張を裏付ける証拠が必要になります。
日本では事故相手が歩行者や自転車の場合、弱者保護の考え方から通常は車の100%過失とされます。例外として少し前に話題になりましたが、対自転車の交通事故で、ドライブレコーダーの証拠で飛び出してきた自転車が悪いと認定され、車の運転者に無罪の判決がおりました。
自賠責の不正請求問題
私の事故では両者に体の異常がなく物損事故処理でしたが、後日相手が背骨が痛いと言い出し、結果自賠責保険が支払われた。支払い額は丁度120万円で、接骨院の治療費が57万円余、慰謝料が48万円余!(残り14万円ほどが通常の整形外科の診療費と薬代)
自賠責では、事故後どこか具合が悪いと接骨院に通えば治療費はもちろん、他に通院1日あたり4,200円(具体的には下記計算式)の慰謝料が出るのです。
4,200円×(治療期間、または実治療日数×2の少ない方)
近年事故件数や負傷者が減少しているのに自賠責保険の請求額が増えて、保険料が値上げされました。自賠責は国の制度ですが、任意保険を扱う損保会社が一括して事故調査をして立替払いします。患者に支払う保険金が自賠責の限度額120万円を超えなければ自社の腹が痛まないので、実際は治療確認などをせずに保険金を支払うことが多いという。こういう事情により、接骨院が慰謝料が入ると患者に持ちかけて不正に治療をしたことにするなど、交通事故の接骨院治療(マッサージなど)が自賠責保険不正受給の温床になっていると社会問題化しています。
私の事故の真実のほどは不明だが、対人支払額合計が自賠責限度の120万円丁度なんて出来過ぎ! 慰謝料が4200の倍数ではない…調節している!
税務査察のように抜き打ち調査して厳罰を下さないと解決しませんな、こういう状況は。(o_o*
事故歴がつくと大きく車の価値が下がる
今回の私の事故では、相手は治療していても警察には届けないため、人身事故扱いになりませんでした。費用も対人、対物(相手の車)、車両(自車)全て保険で処理され、事故に関しての直接の出費はなく、次年度からの任意保険料が少し上がったくらいです。
ところが、先ごろ車買い替えのため下取りの見積もりをしてもらったら、修理歴があるので通常より30万円ぐらい安くなると言われた。完全に修理してもらっても車の価値は大きく下がっていたのです。
ドライブレコーダーの効能
このように車で事故になればすぐ数十万のお金が動きますので、ドライブレコーダーに1-2万円の投資はすべきだと思うのです。事故が起こった時の証拠になるほか、目立つようにドライブレコーダーを付けていることが当たり屋の未然防止にもなります。証拠が残ると意識すれば自分も運転が慎重になります。また記録の画質が良ければ旅行の良い思い出にもなります。
DOD IS220Wを購入
DOD IS220Wを選択
今回どうせなら画質が良くて旅行の記録になり、夜も実用になることを重点に探しました。
結果、選んだのは台湾メーカーDODのIS220Wという極めてマイナーな機種。低価格ですが夜も画質が良いと評判で、その画質はYou-Tubeで確認できます。
アマゾン(販売店はがくーどっとこむ)で買いましたが、9,999円と同クラスの日本製に比べ各段に安いです。
IS220Wは、上位機種LS460WのGPSがない小型版とされ、次の特徴があります。
特徴
- 高画質
ソニー製レンズ使用、1080P記録 - 夜も綺麗
F1.8レンズ MAX ISO3200(WDR機能付き) - 西日本信号対応(27.5fps撮影)
- 撮影視野角 140度
- 小型
欠点
- GPSなし
GPSがないので位置情報、速度情報、時計の自動補正などの機能はない。
入手前の調査では情報が少なく不明点多し
特にライブ機能(録画時のカメラ映像出力)についてはバックモニターに使う予定もあったので気になっていたが、ネットで調べてもユーザーが少なく、情報が少ない。現物を入手して調べるしかない、と腹をくくって注文したわけです。
外観
届いた商品を箱から取り出した第一印象は、とても小型で軽い。
両面テープ固定スタンドが付属しない
付属品を調べたら、英語マニュアル、日本語マニュアルともに付属品として記載されている両面テープで固定するスタンドが入っていなかった。販売店に問い合わせると、最初は「すぐ送ります」ということだったが、後になって「日本向けには付属していない」という。改めてアマゾンの説明の文を読み直すと、確かに付属品に記載されていませんでした。
マニュアルは英語のみですが、日本語版は、購入後メールで知らされた専用ページからダウンロードできました。
電源はマイクロUSB端子
電源端子はマイクロUSBコネクタで、12V→5V変換機能がついたシガーライター用電源ケーブルが付属しています。
記録媒体はマイクロSDカード
記録に使うのはマイクロSDカードで、容量は取説には32GBまでになっていますが、拡張フォーマッターを使えば64Gも使えました。
私はSANDISKの64GB海外パッケージ版が安かったので購入しましたが、SANに限らず、海外パッケージ版は安いが偽物も出回っているので、例えばアマゾンでも信頼できる販売店を選んで購入すること。
拡張フォーマッターはFormatting 64GB microSDXC Cards for DOD Tech Cameras/DOD CANADAからダウンロードできます。
最初そのままカードを入れても認識されなかったが、拡張フォーマットするとちゃんと認識されました。
AV OUT端子
AVジャックの仕様
AV OUT端子は、マニュアルでは3.5mmAVジャックとなっていますが、極数やピンアサインが不明。特に4極の場合ピンアサインが各種あり、最低限アースの位置がわからないとケーブルも買えない。
販売店に聞くとメーカーに問い合わせてくれて、3極で先からモノラル音声、映像、GND だという。ところが手持ちのケーブルで確認しようとしたら、3.5mmのジャックが入らない。2.5mm規格なのだ。
ライブビュー(録画中映像出力)はできる?
私は、録画中にもAV OUTに映像出力されていることを期待していた。車両後方に使う場合、別モニターに常時映す(ライブビュー)スマートミラー的使い方を兼ねたいからである。
【COMON(カモン)製】2.5mmステレオ(オス)→RCA(オス/赤・白)変換ケーブル/1.5m【25SR2-15】 |
メーカーのHPやマニュアルを見てもどこにも書いていない。販売店に聞いてみると、HDMI出力とAV OUTには録画時は出力されないとのこと。
これまでの経過から販売店の商品知識が当てにならないと思い、実際はどうなのか調べることにした。
手持ちに2.5mmジャック用のケーブルがないので、右の2.5mm3極-RCAピン変換ケーブルを購入。本来ステレオ音声用で、赤が右音声、白が左音声です。
このジャックを挿すと本体の液晶画面は消え、接続相手のテレビに映像出力されました。接続は赤が映像、白が音声でした。
そして録画が可能であった。つまりドライブレコーダーとして動作中でも出力され、ライブビュー可能なのです。
電源とAVOUT端子の同時挿入【2017年6月1日追記】
車をステップワゴンに買い替えてモニターテレビに画像を出そうとしましたが、上記AVジャックと電源コネクタでは干渉して同時に入りませんでした。余程細身のAVジャックでないとだめです。
それで右のようにAVジャックの樹脂部を削って対策しました。
HDMI出力端子
HDMI端子も調べるため、右のミニHDMI端子~ノーマルHDMI端子のケーブルを購入。これでテレビのHDMI端子と接続すると、本体の液晶表示が消えて、同じ内容の画面がテレビから出ました。
この時録画映像の確認など一通りの操作ができますが、一点制約があり、動画の録画ができない。これは販売店の情報通りでした。なのでHDMI出力はライブビューには使えないことがわかりました。
駐車モード
この駐車モードは常時電源オンでモーション検出するタイプです。スタンバイモードでGを検出して電源オンするものではありません。
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駐車モードの動作
駐車モードをオンにしておくと、一定時間画像に変化がないと液晶画面が右の表示になり、録画がオフになります。これは録画スタンバイ状態であり、動きがあると録画が再開されます。
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電源を常に供給しておく必要がある
メニューで駐車モードをオンにしたとき、画面に右のイラスト表示が出て常時電源供給が必要なことを訴えます。外部供給の電源が切れると内蔵バッテリーが残っていても電源オフになります。
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タイマー機能はない
消費電流を実測してみたところ録画時で約250mA。録画停止時は約190mA、スクリーンセーバーを設定しても約130mAの電流を消費しており、これを常時供給しなければならない。車の常時オン電源から取る場合は、バッテリー上がり防止付の12v-5V変換器を通して電源供給するのが良いと思われます。
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他機能とのトレードオフ
タイムラプス撮影はオフになります。Gセンサーによる機能も動作しない(?未確認)
上記のように数百mAの電流を常時供給しなければならないので車には使いにくい。むしろ駐車場などの監視カメラ向きであり、駐車場モードと呼ぶべきかも。
その他の機能
- SDカード満杯時のループ録画
- Gセンサー感知によるファイル上書き保護
- 画像上下反転
取付が上下逆の場合に対応できるよう、記録映像が180度回転する。 - タイムプラス
画像を間引いて一定期間ごとに録画するため、再生すると早い動きになる - パスワード設定、
- ナンバープレートスタンプ
ライセンスナンバーなどを設定しておいて映像に記録できる
取付と設定
最終的には買い替え後の新しい車に取り付ける予定ですが、まず現車N-BOX+に取り付けて試用してみました。
N-BOX+に取り付け
吸盤スタンドで取り付け
吸盤スタンドで取り付けます。取付位置は、フロントガラス上部で、左右は中央より助手席寄り、運転席から見てルームミラーの向こう側になるように決めました。
下記写真が取り付けた様子です。
本当はルームミラーに隠れるようにしたかったのですが、N-BOXの場合、吸盤を最上部にしてもルームミラーの下側からIS220Wが見えます。
吸盤の接着面はねっとりした感じで、ガラスをきれいにして押し付けるとしっかりつきました。【追記】最後部の章に書きましたが、夏になって脱落してしまいました。
次に本体の取り付けですが、アームの先を本体の凹部に差し込み、右にスライドさせると固定されます。外すときはレバーを押して左にスライドさせます。慣れれば簡単に着脱でき良い方式だと思うが、独自の方式なので市販の取付台は使用できません。
外から見た取付状況はこんな感じです。
電源コードの引き回し
今回は仮なので簡単に済ませたいのですが、コードが邪魔なのも困ります。
下の写真のように
助手席側バイザー <>ウエザーストリップ(ドアヒンジ部のゴム)<>グローブボックス下<>シガーライターソケット
と引きまわし、長さが余った分はグローブボックス下で処理しました。
4つの動作モード
IS220Wは4つの動作モードがあり、通常電源が供給されるとまず録画モードになります。
録画を停止するとスタンバイモードになりますが、その状態でモードボタンを押すと、静止画モード → 再生モード → スタンバイモードと順に変わります。
- 録画モード
ドライブレコーダーとして動画記録の動作をしている状態 - スタンバイモード
上記で録画を停止したとき - カメラモード
デジカメのように写真を撮影できる - 再生モード
メモリに記録された動画や写真を再生する
設定メニュー
色々ありますが、日付・時刻だけを設定すればあとはとりあえず初期設定のままで使えます。
当地は西日本なので地域設定は60Hzのまま使用しましたが、東日本では地域を50Hzにした方が信号の点滅が無くて見やすいでしょう。
動画設定メニュー
スタンバイモード(録画停止中)のときにメニューボタンを押すと、動画の設定メニューに入ります。矢印キーで項目を移動しますが、3ページにわたっています。
- WDR オン
- 解像度 1080P 720P、720P60FPS、480PWVGA、VGA
- 露出 +0、+1、+2、+3
- ホワイトバランス オート、晴れ、曇り、電球
- 録音 オフ、オン
- 日付記録 オフ、オン
- ループ録画 オフ、2分、3分、5分
- Gセンサ オフ、強、中、弱
- ナンバープレート
- パスワード設定
- 画像反転 オフ、オン
- タイムラプス撮影 オフ 200m秒、500m秒、1秒、5秒
- 駐車モード オフ、オン
- ISO記録 オフ オン
初期設定メニュー
メニューを続けて2回押すと初期設定のメニューに入ります。2ページ構成です。
- フォーマット
- 言語 英語、日本語、他
- 日付/時刻 現在時刻の設定
- 電源周波数 50Hz、60Hz
- 操作音
- スクリーンセーバー オフ、3分、5分、10分
- TVモード NTSC、PAL
- バージョン
- 初期化
試用結果
記録されるファイル
細切れ(ループ録画で設定した長さ)のMOVファイル(H.264圧縮)に分割され記録されます。繋ぎ目の欠落はありませんが、少し(1秒ほど)重複があります。
再生映像の画質
車の振動
多少は車の振動の影響が出るだろうという予想に反し、再生画像のブレは全く気になりません。
「西日本(60Hz)設定」では脈打つような動きになる
西日本(60Hz)設定では信号対策のためカメラ部分は27.5 fps の動作ですが、microSDに記録する時は30fpsにレート変換処理されます。そのため11コマに対して1の割合で同じフレームが重複して挿入されるので脈打つような動き方の映像になってしまいます。
東日本(50HZ)設定だとこのようなことはないので、信号消えより動きの自然さを優先するなら、西日本地域でも敢えて50Hzに設定することです。
西日本のLED信号の見え方
実際の西日本でのLED信号の見え方ですが、西日本(60Hz)設定で昼間は速い点滅になります。どういうわけか夜は点滅しません。
東日本(50Hz)設定では信号が徐々に明るくなったり暗くなったりするので、タイミングにより消えているように見えます。
精細度
デジカメと比較したら落ちますが、ドライブレコーダーとしては期待通りの高画質。対向車のナンバーは動画では動きがあるので読めませんが、静止画にするとわかります。
下はトンネルを走行した例です。石榑トンネルは長いので、中間をカットしていますが、編集はカットのみの1080P映像をYou-Tubeにアップしました。
さすがにトンネルを出るときは白飛びしますね。
この日滋賀県側は大型車が通行規制されるほどの積雪で、走行はかなりの冒険気分でした。
夜も高画質
夜の感度も期待通りです。
ただしWDR(ダイナミックレンジ拡大機能)は1080Pでは効果がいまいちで、ライトが当たった明るいところは白飛びします。この点720P60の方が良いので、純粋にドライブレコーダーの用途なら720Pの方で使うのが良いかもしれない。
あと、なぜか西日本でも夜の信号は点滅しません。
撮影画角
ドライブレコーダーとして撮影画角が140度と広くなっていますが、そのわりに上記動画でもわかるように周辺の歪みが少ないです。また画角が広いため、その分記録映像を再生したときに実際より車の速度が速く感じられます。
カメラモードを試す
カメラモード(静止画モード)にすると超小型デジカメになります。その機能は以下のメニューの通りです。
メニュー
カメラモードのメニューは3ページ構成です。
- 画像サイズ:12M、10M、8M、5M、3M、2MHD、VGA、1.3M
12Mでは4032×3024ピクセル - カラーモード:カラー、白黒、セピア
- 手ぶれ補正:オフ、オン
- シャッターモード 単写、2秒タイマー、5秒タイマー、10秒タイマー
- ホワイトバランス
- ISO感度:オート、100、200、400
- 露出
- 日付/時刻:オフ、日付、日付/時刻
- 画質:ファイン、ノーマル、エコノミー
おそらく圧縮率の差 - シャープネス:ハード、ノーマル、ソフト
おそらく輪郭補正の強度
記録画像
最高で12M画素(4032×3024ピクセル)のJPEGファイル
総評
DOD社にはGPS付の高機能でさらに画質の良い460W、470W、470W+という機種もあるが、現在在庫切れで買うことができません。
IS220Wは、GPSはないがこの値段でこの画質、特に夜がこれだけ撮れるのは素晴らしい。画質重視でお手頃価格ならこれしかないでしょう。私のように初めてドライブレコーダーを導入する場合や、後方用の2台目にお薦めです。
これまでは映像機器で高画質といえば日本メーカー製だと思っていましたが、そうも言えなくなってきた。製造は中国なのに価格がこの2倍ぐらいする日本メーカーにはもっと頑張って欲しいと思います。
なお、販売店は商品知識が不足(両面テープの取付台の付属なし、AV端子のジャックの規格、AV OUTのライブビュー機能を知らない)でしたが、対応はたいへん親切だったことを付け加えておきます。
吸盤が脱落するようになった【2017年7月26日追記】
気候が暑くなったせいか、吸盤が脱落するようになりました。
ウインドウを綺麗に拭き、吸盤のゲル部分を濡らして再取付しても何時間かすると取れてしまいます。
支持アームの構造
この吸盤は真空を強化するレバーがないのでダメなのかと思いました。分解してみるとボールジョイントを締め付けるナットを回すと、同時に吸着レバーの中央部が引き上げられ真空度を上げる構造であることがわかりました。
しっかりつかないのは、ボールジョイント部が動かなくなるまで締め付けた状態でも、引き上げがほとんどできていないのです。おそらく設計が悪いか、設計通りの仕上げになっていないのでしょう。
ワッシャを追加
対策として下の写真のようにワッシャーを入れて引きが早くなるようにしました。
ワッシャーの厚みは1.2mmです。
結果、ナットをいっぱい締めると真空度がぐっと上がり、しっかりウインドウに固定されます。この時ボールジョイントはまだ本体が手で動かせる程度です。バックミラーでも手で動かせるわけですから完全に固定する必要はなく、このぐらいの方が、方向を微修正できて良いと思います。
下向きの角度調整範囲を広げる
今はステップワゴンに取り付けていますが、フロントウインドウが寝ているため、ボールジョイント部の下方向の角度調整に裕度がありません。更に今回のワッシャの追加で悪化し、最適位置に調整できなくなりました。支柱にある尾根状の突起と、周囲の枠が当たっているのです。下記写真の赤丸印部分。
対策として突起部をやすりで削って可動範囲を広げました。写真は可動範囲を広げた後のものです。