チェーンソーの修理

チェーンソーは危なくて素人が使うイメージの工具ではありませんが、「ぽつんと一軒家」というテレビ番組で、70歳を超えた女性が平気で使っているのを見て驚きました。

我が家は田舎で植木や果樹のある庭と山林も所有していますのでチェーンソーを持っています。

チェーンソーの調子が悪い

所有のチェーンソー(チェンソー)は共立製ECHO GC301(上の写真)です。小型のものでだいぶ以前にホームセンターで買いましたが、使用頻度は多くありませんでした。

チェーンを張ってもすぐ緩くなる

使っていて問題となる点は2つあります。

  • 使っているとチェーンが摩耗して切れ味が悪くなる
    これはそういうものなので新品チェーンを買うか、やすりで研ぐ(目立てという)しかありません。このチェーンソーには丸棒ヤスリが付属していましたが、研ぐのが難しいし、かなり面倒です。このチェーンのメンテナンスに関しては別途記事にしたいと思っています。
  • チェーンが緩くなる
    ガイドバー固定ネジをしっかり締めておいてもゆるくなってきます。ひどいときはチェーンがガイドバーから外れてしまいます。

ガイドバーの交換

ガイドバーにはチェーンの張りを調整しやすくする機構があり、インテンズバーと称します。下がその説明図です。


ガイドバーの固定ナット2個を緩めて、上図のようにマイナスドライバーを差し込んで廻し、張りを調整した後、再びガイドバーをナット締め付け固定します。ところがいくら調整しても、使っているうちにいつの間にか緩くなっているのです。

ガイドバーの交換

ガイドバーが悪いかもしれない、それにガイドバーが痛んできていることもあり交換しようと調査してみると、オレゴン製が合う(というかこちらが本家)と分かり、右図の物を購入しました。

早速交換してみましたが、状況は変わらりませんでした。

まだ固定が甘いのかと思い、更に固く締めたらとうとうネジが馬鹿になってしまった! (~_~;)

 

ネジ部品の交換

ネジ部品の購入

仕方なく交換部品を売っているところを探しました。なかなか見つかりませんでしたが、やっと見つけました。「やまびここもの」というサイトです。

やまびここものースタッドボルト

商品名 : スタッド ボルト (V224-000031) やまびこ純正
価格 : 310円、 2個、送料 : レターパックライト 370円、合計金額 : 990円

ナットは形が似ているものをモノタローで買いました。下が新旧のスタッドボルトとナットです。

スタッドボルトとナット。左側がねじバカになり外したもの、右側が購入したもの

完全に動かなくなった

購入したスタッドボルトとナットに取り替えて元通り組みなおしました。

最初は動いていたが、試し切りをしているうちに完全に動かなくなってしまった。

♪(≧▽≦;)アチャー もっと別の原因がありそうだ。

本格修理-クラッチを外す

ネットで調べるとクラッチドラムアセンブリの交換をされている記事があり、私も分解修理に挑戦することにしました

クラッチドラムアセンブリを外すには専用の工具が必要

下写真はサイドカバーを外した状態です。

サイドカバーを外したところ。中央の2個のナットがソーガイド固定ナット。(ガイドバー交換前)

バネのついた丸い部品がクラッチドラムアセンブリです。

これを外したいのですが、エンジンからの軸に特殊な3角翼の形(三矢のようでもある)のナットで固定されているようです。

この3角翼ナットを緩める特殊な工具が必要で、右のようにアマゾンで売っています。爪で三角翼ナットを引っ掛けて回すようです。

 

取り外しジグの作成

この代用品をボックスレンチを加工して作成されている方をネットで見受け、私も作ってみました。

ソケットレンチセットの17mmの六角ソケットを犠牲にしました。

加工はボール盤を改造した簡易フライスマシンで行いました。

上は仕上げ加工段階で、爪の頭を削って短くしているところです。(最初の方はうまく動画が撮れなくてすみません)

なお簡易フライスマシンについては下記の過去記事を参照ください。

ボール盤でフライス加工 (3)ボール盤のZ軸機能改造
最近の記事でおわかりのように、今ボール盤を使ったフライス加工がマイブームです。今回はボール盤をフライス盤のように使うためのℤ軸の精密移動機構とデジタルスケールを追加する改造を紹介します。

下はでき上った爪付きソケットです。

下写真のとおり当てがってみたところ行けそうです。

出来た爪付きソケットを当てがった様子

エンジン軸の回転を止める工夫が必要

軸側はエンジンに直結していて、そのままでは共回りしてしまうので外せません。対処する方法をネットで調べると2種類ありました。

  1. プラグの穴から回転止めを入れてエンジンの回転を止める
    回転ドメ用のジグ(ピストンストッパー)が売られています。前述の三角翼ナットを回すジグとセットの口紅のような形状のものです。このストッパー棒をプラグの代わりに取り付けてピストンを止めるものです。簡易的にロープで代用する方法もあります。
  2. インパクトドライバーを使う
    ピストン質量による慣性力を利用する方法で手軽です。考えついた人に拍手したいです。

なお両者を併用してはいけません。ピストンストッパーでシリンダーに穴があいた例があるそうです。

私はインパクトドライバーでやってみることにしました。インパクトが強すぎると機構を痛めると懸念する声もありますが、よほど強くしない限り心配いらないでしょう。むしろプラグに棒を差し込む法がシリンダを痛めたりするリスクがあると思います。

使用したインパクトドライバー

手持ちのPanasonicの14.4Vの充電式インパクトドライバーを使います。

パナソニック 14.4Vインパクトドライバー

インパクト強度を3段階に切り替えできます。当時高かったが思い切って買ったものです。パワフルでリチウム電池で長持ちし凄いと思ったものです。

余談ですが、充電式工具はバッテリーを共用するのが合理的です。最近僕はマキタの18Vシリーズで揃えています。マキタは安い互換バッテリーの存在と幅広い品揃えが魅力です。

インパクト強度:弱で取れた

注意点は逆ネジなので外すときは右に回すことです。インパクト強度:弱で数回やってみるとあっけなく緩み、クラッチケースが外れました。下が外したところです。

ベアリングが壊れている

ベアリングが壊れてバラバラになっています。これが原因だったんだ。

クラッチ側は下写真のように特に損傷がありませんでした。

外したクラッチ

ベアリングが壊れた原因

ベアリングがもともと不良だったのか、チェーンの貼り過ぎで負荷がかかりすぎたのか?どちらかでしょう。

チェーンは張りすぎてもいけません。チェーンは温まると伸びて緩み、冷えると縮みます。暖まった状態で緩いからときつく調整しすぎると冷えたときに張り過ぎになり負荷がかかります。

それで、暖まってからチェーンの張りを調整し、使い終わったら弛めておくのが最良らしい。しかしこの機種では調整に手間がかかるので、なかなかそこまでできません。他社製で採用されているように道具無しで簡単に調整できるのが良いと思う。

クラッチ部品の発注

クラッチ部分はおそらく各社共用可能な汎用部品になっているようです。アマゾンにクラッチドラムアセンブリとして売っています。

スプロケットの歯の数(6or7)やサイズで数種類あるようですが、規格が合いそうなものから右の中国産が安かったので手配しました。しかし、コロナの影響もあり到着に一か月以上かかりそうです。

近くチェーンソーを使う予定があるので他を探すと、前述の「やまびここもの」に、純正品のベアリング単体がクラッチ軸受けという名称でありました。

やまびここものークラッチ軸受け(ベアリング)

1470円+送料(レターパックライト)370円 合計1,840円

確実性重視でこちらも注文しました。

届いた純正ベアリング

「やまびここもの」からはベアリング(クラッチ軸受け)がすぐ届きました。

クラッチ軸受け

袋に貼ってあったラベル

 

製造も日本製のようです。

組み立て

部品がそろったので組み立てです。

クラッチドラムアセンブリの固定は、外すときと同じくインパクトドライバーを使います。(下写真) 強く締め付ける必要はありません。逆ネジの効果で使っているうちに適度に締まります。

サイドカバーのこべりツキ

サイドカバーの裏にコベリツキ

サイドカバー(クラッチカバーとも言う)はバーガイドと共締めして固定されていますので、先に外しています。下はその裏面です。

グリースが焼けてコべり着いたカバーの裏側

サイドカバーの裏側にグリースが焼けて固くこべりついています。

こちらは思い当たる事があります。この機械にはチェーンのブレーキ機構がついているのですが、当初よく理解していなかったのでブレーキを外すのを忘れたま長時間使用してたのが原因でしょう。ブレーキの摩擦熱でグリースと木屑が焼けて樹脂に焦げ付いたと思われます。(取り扱い説明書にはちゃんと注意書きがあります)

蓋の裏側のこべり付きを削る

ボール盤にエンドミルを付けてコベリツキを削り、下のようになりました。

まだ汚いですが、実用上は問題ないのでこれで良しとします。

これで修理が終わったので、元通りチェーン、チェーンガイドバー、カバーを組み立てます。

試し切りなど

早速試し切りを行いました(下写真)、問題なく復活しました。

その後、大きな山桜の太い枝を10本くらい切りましたが、チェーンが緩むようなことはなく、快調に使えました。

中国からクラッチドラムアセンブリが届いた

一か月以上経過し忘れたころになって注文品が届きました。中身は下のように5点ありました。

下側の2枚の円板はECHO GC301では使用していません。

このキットは、実際に取り付けてはいませんので確実ではありませんが、見たところECHO GC301でも使えそうです。

安いですね、送料込みで。ただ届くのが遅いし、耐久性は?です。

DIY修理を考えるなら補修部品を手に入れやすい機種を選ぶべき

故障したときに修理依頼するのなら近くの店で扱っているものを選ぶべきでしょう。

逆に私のようにきればDIYで修理したいと考えるなら、部品の入手が容易なものを選ぶべきです。

国産はメーカーまたは代理店修理を前提としているのでDIY修理用の部品は意外と入手しにくく、消費者には部品品番さえわからないことが多いです。一方世界的に普及している海外製品例えばスティール(ドイツ)、ハスクバーナ(スウェーデン)なら、アマゾン等で簡単に部品を安く入手できます。

その他メンテナンスについて

なお、チェーンの目立てなどメンテナンスについては別記事で紹介したいと思っています。

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